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認知症の人にやさしい神戸を目指して

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認知症は誰もがなる可能性のある病気です。もちろん誰もが罹るわけではありませんが、かなりの確率でそうなる可能性があります。

私は、たぶん認知症になるだろうと思います。母親は晩年認知症になりました。十代の母親の写真を見ると、自分に瓜二つで、性格も色濃く受け継ぎました。母親から受け継いだ遺伝子は、私をそうさせる可能性が高いだろうと想像します。もちろんこのことは科学的に立証されているわけではないので、単に自分の想像です。
そのような予兆を感じたとき、自分はどのように身を処すのか、それはそのときの自分に委ねたいと思います。

市民の誰もが向き合うことになる認知症に、神戸市はどのように関わるのが良いのか。

専門家、高齢者福祉に関わる関係者、市民が一堂に会し、議論が重ねられました。そのような検討の集大成として、「神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例」が制定され、2018年4月から施行されました。
この条例は、認知症の人の尊厳が保持され、その意思が尊重され、社会参加を促進すること、そして、認知症の人とそのご家族がより良い生活を実現するために必要な支援が受けられるよう、まち全体で支えることが明らかにされました。
この条例の目的を実現するため、具体的な検討が重ねられました。とくに問題とされたのは、行方不明や事故に遭い亡くなられるケース、物損等の損害を生じさせるようなケースが現実に発生していることです。悲嘆に暮れるご家族のみが被害の責任を負うことになるのは、公平の見地からも適切とは言えないのではないだろうか。また、認知症は加齢により誰もがなり得る病気であり、地域社会全体で負担を分かち合う仕組みが求められるのではないか。このような問題意識に立ち、神戸市独自の認知症対策である認知症『神戸モデル』が創設されました。

認知症の人にやさしい神戸をめざして①

このモデルは、「診断助成制度」と「事故救済制度」の2つの柱から構成されています。

1つ目の柱、「診断助成制度」では、65歳以上の方は自己負担ゼロで二段階の認知症診断を受診できます。
まず、かかりつけ医など身近な地域の医療機関で認知症の疑いがあるかどうかを診る「認知機能検診」(第一段階)を受けていただきます。検診で認知症の疑いがあると診断された方は、専門の医療機関で「認知症機能精密検査」(第二段階)を受けていただき、認知症かどうか、認知症の場合には病名の診断が行われます。
認知症を治すことは今の医療ではできませんが、適切な医療・介護サービスや助言を受け、地域社会との繋がりを持つことができれば、病状の進行を遅らせることができます。

2つ目の柱、「事故救済制度」では、認知症の方が起こした事故に遭われた全市民に最高3千万円の見舞金を支給します。また、「診断助成制度」で認知症と診断された方やそのご家族が賠償責任を負う場合に備えて、最高2億円を支給する賠償責任保険に市が保険料を負担して加入いただけます。さらに、事故の際、迅速に相談対応する24時間365日コールセンターを設置しているほか、非常時のかけつけサービスも行うGPS(衛星利用測位システム)の導入を支援しています。

認知症の人にやさしい神戸をめざして②

これら認知症「神戸モデル」の実施に必要な経費(年間約3億円)については、個人市民税均等割(年額3,500円)に400円を上乗せする超過課税を実施し、市民のみなさんから広くご負担をいただくことが議会で議決されました。

誰もが何らかの症状や兆しがあれば、気軽に診断を受けられる習慣が地域社会において広く深く浸透することを願います。認知症『神戸モデル』によって、本人はもちろん、ご家族や周囲の方々のご負担を少しでも減らし、みんなで認知症の方を支え合う社会、「認知症の人にやさしい神戸」を目指してまいります。

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