最終更新日:2020年8月11日
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市長臨時会見の模様をお届けします。
~医療提供体制のさらなる充実にむけて、新型コロナウイルス感染症患者を治療する医療機関を支援します~
会見資料はこちら(PDF:808KB)
司会:
それでは、市内の医療機関における遠隔ICUシステムの導入につきまして臨時会見を開催したいと思います。
本日の説明者をご紹介いたします。
株式会社T-ICUの中西智之代表取締役社長です。
久元喜造神戸市長です。
本日の流れですが、まず初めに、久元市長より遠隔ICUシステム導入の趣旨、概要をご説明いたしまして、続きまして、中西社長より遠隔ICUシステムについて、会社概要についてお話しいただきたいと思います。
それでは、久元市長、よろしくお願いいたします。
久元市長:
それでは、T-ICUさんと神戸市で、これから導入する遠隔ICUシステムについてお話をさせていただきたいと思いますが、その前提といたしまして、現在での神戸市の感染症の発生状況として、その特徴につきましてご説明を申し上げます。
陽性件数ですが、直近2週間、8月3日から8月9日までで103件ということになっておりまして、陽性件数のピーク時、4月6日から4月12日までの件数をかなり上回っております。同時に、この直近においては検査を積極的にやっているというのが特徴でして、新規検査が1,100件、その前が1,351件、陽性件数のピーク時の312件に比べますと検査数が大幅に拡大されているというのが特徴です。陽性率は上がっておりますが、ピーク時の24.4%に比べれば、これをかなり下回る9.4%となっております。
入院患者数ですが、8月10日時点で、入院が58人、それから、民間の療養施設に入っている入所が35人、入院・入所の患者数、合わせて93人ということで、ピーク時に比べれば、入院は下回っておりますが、入所はかなりピーク時に近づいているというのが現在の状況です。
年代別の感染者数、ちょっと数字が見にくいかもしれませんが、6月23日以降、つまり感染が収束して、また拡大を始めてから以降の状況を見れば、20代以下が48.6%を占めている。しかし、直近1週間では60代以上の増加も見られるというのがここのところの特徴です。
検査の状況ですが、感染が拡大し始めて以降、6月23日から8月9日まで、5,007件のPCR検査を行っています。この5,007件のうち症状がある人の検査、医師が必要と判断した方の検査、これが71.8%、濃厚接触者の検査が5.9%、それから、国基準には当てはまらないけれども積極的に検査をした健康観察者が22.3%、濃厚接触者と合わせれば28.2%の積極的検査を行っているというのが現在の状況です。
もう1つ、現在、特に感染が再拡大してから取り組んでいるが、いわゆるハイリスク施設での感染拡大を防止するという取組です。
3月、4月、5月の状況では、ハイリスク施設での患者の発生がかなり多かったわけですが、6月23日、再拡大してからはその発生が減少してきておりまして、ハイリスク、つまり医療機関、保育施設、福祉サービス、学校での感染拡大が減少しているということで、これは、積極的に検査を実施し、濃厚接触者を確認し、濃厚接触者以外の方の検査も行って、そして、感染経路を追跡して感染の拡大を抑えるということが、確定的なことは言えないかもしれませんが、功を奏しているという側面もあるのではないかと考えております。
3月から6月22日までの間、感染経路は、75.8%の方は確認をしておりまして、その後、6月23日から8月2日も54.3%、この数値はこれから増える可能性もあります。いずれにいたしましても、速報も含めて半数以上の感染経路が判明している、今後の保健所の調査によりまして、感染経路ありの割合がさらに増加するということになっております。
次の資料、これは神戸市の資料ではないわけですけれども、東京医大などの研究チームのアンケート調査ですが、風邪の症状があっても外出をした人がかなりいらっしゃるというデータです。風邪の症状があっても62%は仕事をしていたということで、外出をしなかった方は17%にとどまっているというデータが1つです。
もう1つは、これはアメリカの疾病対策センターの調査結果ですけれども、大半の感染者の方には発熱、せきや息切れのうち少なくとも1つの症状がある、逆に言いますと、せきが84%、発熱が80%ということで、必ずしも発熱を伴わないけれども感染をしているケースがかなりあるということがこの調査からは分かります。
そういうことからいいますと、感染の再拡大が見られている中で感染の拡大を抑えていくためには、熱がなくても、せきや喉の痛みなどの症状があれば、できるだけ外出を控えていただく、仕事を休んでいただくということがぜひ必要だと思いますので、市民の皆さんには、ぜひ、この点を留意していただいて、ご自身を守る、そして、感染をさせないということに心がけていただきたいと思います。
先ほど感染症患者を受け入れていただいている病院の先生方と意見交換をしたんですけれども、大変残念なことに、いわゆる風評被害というんでしょうか、医療従事者の方、あるいは患者の方などに対する根拠のない誹謗中傷などが起きているということ、これは大変残念なことです。繰り返し申し上げているわけですけれども、コロナは風邪やインフルエンザと同じで誰でもかかり得る病気で、我々が闘わなければならない敵はウイルスである、感染者は非難される対象ではなくて守られるべき存在であるということを改めて認識したいと思います。
以上が、ごく簡単ですけれども、直近における神戸市内の感染の状況ということですが、感染が拡大しているということを考えれば、医療提供体制と検査体制をしっかりと充実させていくということが必要です。
そこで、そういう観点に資する上で遠隔ICUシステムを導入するということですけれども、その目的は、やはり市内の医療機関において感染症患者に対して適切な治療を提供するということ、そして、これは非常に大事なことですけれども、患者の方の重症化を、できることならばいち早く察知するということ、そして、今は、重症患者の方は基本的には中央市民病院で受け入れていただいて治療に当たっていただいていますので、重症化が疑われる場合には、これをいち早く察知して、中央市民病院に搬送して迅速に対応するということが必要になってまいります。それ以外の市内の医療機関においては軽症・中等症患者の病床をしっかりと確保して、軽症・中等症患者に対してしっかりと治療をしていただく、あわせて、この治療、医療的ケアに当たっておられる医師・看護師の皆様方の負担軽減につなげるということが大変重要です。
その一方で、重症化のおそれが客観的にはない、可能性が低いにもかかわらず、重症化を恐れて患者さんが市内の医療機関から中央市民病院に転送されるということも抑制する必要があります。そういうことを通じて、中央市民病院が重症患者への対応を重点的に行うことができるようにする、こういうことができるようにするということは医療提供体制を充実させる上で非常に意味がある対応ということになるわけです。
こういう方向性に資する上で今回導入しようというのが遠隔ICUシステムを活用した感染症患者の方への対応です。
この図をご覧いただければと思いますけれども、集中治療専門医の先生方を数多く抱えておられるT-ICUさんと市内の医療機関との間をシステム化いたしまして、システムをつくりまして、そして、このシステムで、軽症・中等症患者が入院しておられる市内の医療機関の電子カルテあるいは生体情報モニターの中にあるデータ、例えば心拍とか呼吸に関する情報などをT-ICUさんに属する集中治療専門医の先生と共有するということをいたします。情報を共有して、集中治療専門のドクターがそれぞれの医療機関で治療、医療的ケアに当たっておられる先生方に対してコンサルテーションを行う、そして、集中治療専門医の先生方に対しては、新型コロナの感染が始まってから数多くの症例の経験のある中央市民病院から必要な治療方針についての提案をする、こういう形でサポートするというシステムを構築することといたします。市内の医療機関に入院しておられる軽症・中等症患者の方が重症化のおそれがあるということをいち早く察知すれば、保健所によって搬送する、こういうシステムをつくることといたします。
次のスケジュールをご覧いただければと思いますが、実は中央市民病院と西市民病院、そして西神戸医療センター、これは同じ神戸市民病院機構の中にある病院ですけれども、中央市民病院から西市民病院と西神戸医療センターに対して、このシステムを試行的に使いまして必要な助言や提案などを行いました。そして、このシステムの有用性というものが病院機構の中で、そして、この3病院の中でも検証し、有用性が確認されております。
そこで、このシステムをぜひ市内の病院に広げていこうということで、今月中にこのシステムを導入していただく病院を調整するという作業をいたしまして、9月からシステムの設置をし、運用を開始したいと考えております。
この事業は来年の3月までを予定しておりますが、今後の新型コロナウイルス感染症がどういうふうに推移するのかというのは分かりませんから、その状況を見て、延長の必要性ということも検討していきたいと考えております。
私からは以上です。
司会:
続きまして、中西社長、お願いいたします。
中西社長:
医療産業都市に参加させていただいております株式会社T-ICUの中西と申します。
私自身もICU、救急を専門とします20年目の医師になります。その専門としていますICUでは専門医の不足という問題がありまして、医師免許取得者というのは32万人、全国にいますけれども、集中治療専門医、ICU専門医は1,900人、0.6%ぐらいしかいません。日本には約1,000のICUがあるんですけれども、専門医が配置できていないICUが約7割あります。そのため、専門医がいるICUといないICUでは治療成績といいますか、救命率に差があるというのはデータで出ています。それを解決するのが、我々が4年前から取り組んでいる遠隔ICUです。
遠隔ICUをやるに当たって、我々は2つ提供していることがあります。1つは、ICUにいる患者様の電子カルテ、CTとかMRIといった情報を遠隔で見るということと、あと、バイタルサインも見られるようにする、そういう遠隔のシステムを提供します。それが1つ目。もう1つは、それを用いてアドバイスをする専門医あるいは認定看護師を抱えているという2つを我々は提供しています。ですから、システムだけを提供している会社というのは幾つかございますが、専門医をきっちり抱えて、相談にも乗って、適切なアドバイスができるというのはT-ICUだけです。
今回のコロナ禍の報道で、人工呼吸器が足りないですとかECMOが足りないということが注目されました。さらに、それを扱うドクターが足りないということも言われました。重症肺炎の人工呼吸器ECMOを扱うというのはまさしくICU専門医です。このICU専門医が足りないということがコロナで言われたんですけれども、先ほど申し上げましたように、実はコロナ禍の前からあった問題で、我々はそれに取り組んでまいりましたので、今まで提供してきたサービスといいますか、遠隔ICUをそのまま用いることによってコロナにも対応できると考えています。
私、昨日も救命センターで当直をしたんですけれども、コロナの患者さんが少しずつ増えてきている、重症の方も含めて増えてきている印象を持っています。ですので、遠隔ICUで、しっかり中央市民病院様とも連携して、医療崩壊を起こさないように取り組んでまいりたいと思っています。よろしくお願いします。
記者:
今回、導入される医療機関を選定されるに当たって、新たに病院に何か施設というか、設備を入れる必要であるとか、もし入れる場合に、そのサポートを神戸市が行うというような予定はありますでしょうか。
久元市長:
システムの内容は中西社長からお願いしたいと思いますが、それぞれの病院がシステムを導入するための初期費用、それから運用経費につきましては神戸市が負担をするということにいたします。大体1病院当たり、初期経費が100万円、運用経費については一月15万円ということを想定しておりまして、この分につきましては神戸市が負担をするとしております。
中西社長:
システムに関しましては、先ほど市長からご説明がありました、いわゆるノートパソコン、プラスアルファぐらいのシステムを各病院に提供させていただくと。それによって電子カルテの情報とバイタルサインモニターを遠隔からでも閲覧できるようになります。それを提供させていただきます。
記者:
ネットワークとか通信の環境に関してはどういった、例えばデータを見るために大容量が要るとか、そういう負担とかはあるんでしょうか。
中西社長:
通常のインターネット回線で十分対応できます。
記者:
市長にお伺いしたいんですけれども、先ほど中西社長からもお話がありましたが、専門医がいないICUというのがたくさんあるということを、私自身、あまり知らなかったんですが、そのようなことに対するお医者さんとか現場の方からの不安の声であったりということは聞かれていたんでしょうか。
久元市長:
専門医がいない病院がたくさんあるということはありませんね。それは、現実にICUがあるわけですから、そのICUを使って治療が現実に行われているわけですから、それに必要なドクターは配置をされています。
問題は、そういうドクター、ナースの皆さんの負担が非常に大きいということと、新型コロナウイルスは初めての経験ですから、それに対する知見、特にどういう場合に重症化するのかということについての知見、症例というもの、これもまだ手探りの状況ですから、これに対して集中的に、今回、必要な情報を共有して、治療方法に対する提案やコンサルティングを行うということです。
記者:
ありがとうございます。
あと、社長にもお伺いしたいんですけれども、T-ICUさんでは、専門医というのが何人ぐらいいらっしゃって、その中に、例えばコロナへの対応にも当たったことがある方が何人ぐらいいらっしゃるのかとか、そのあたりが分かれば教えてください。
中西社長:
専門医が33名います。さらに、認定看護師という、看護師でもさらにワンランク上の、集中治療に長けた看護師が15名います。何人がコロナの患者さんを診たかという人数までは、ちょっとはっきり把握していないんですけれども、33人のほとんどというか、全員がふだんは救命センターとか大学病院で働いている者ばかりですので、ほぼ全員がコロナウイルスの患者さんを治療したことがあります。
記者:
まず、先に中西社長にお伺いしたいんですけれども、T-ICUからの神戸市内の医療機関へのコンサルテーションというのが、いまいち具体的にイメージできないんですけれども、どういった形でされるんですかね。
中西社長:
よく頂く質問です。一番根本にあるというか、昔ですと、治療方針に悩んだときに、例えば大学の同級生ですとか先輩とかに電話をかけて相談すると。こういう患者さんがいるんだけど、どういう治療をしたらいいか、この薬とこの薬、どっちを使ったらいいかということを電話で相談していました。ただ、それですと、まず、必ず相手がつかまるわけじゃないということと、どうしても電話だと情報が限られますので、それを効率よく情報を得るために電子カルテを、特にCTとかMRIって画像を言葉にして伝えるってすごく難しいですので、それを共有した上で、T-ICUの専門医が治療方針を提案するということです。
記者:
ありがとうございます。
セカンドオピニオン的なものということなんですかね。要は、お互い、市内の医療機関にいる先生というのもICUに所属されている方ですし、T-ICUに所属されている方もふだんはほかのICUで働いている方だと思うんですけれども。
中西社長:
セカンドオピニオンと思っていただいても大きくは間違ってないと思います。ただ、セカンドオピニオンは、基本的に患者様がご自身で求めに行くといいますか、求められる状況にあるんですけれども、ICUですと、当然、ご自身も重症ですので動けない、あるいはご家族も、正直、分からない部分が多いということですので、医療従事者同士が会話をした上で、特に我々はコロナに関する知見もありますし、専門医としての経験、知識がありますので、それをもってアドバイスをするという感じです。
花田健康局長:
ちょっと補足なんですけど、今回のうちでやる分については、導入するのは二次救急レベルの病院なんですね。T-ICUさんで持たれている33人の専門医は三次救急をやられている、レベルが違うんです。ですので、三次救急レベルでないと、中央市民病院レベルでないとコロナの重症患者には対応できないので、そのレベルの方がコンサルテーションをするということなので、そもそも三次救急レベルをされていない方々に対して、三次救急を経験してコロナも診られている方がアドバイスするというようなことです。
記者:
ありがとうございます。
次に、市長にお伺いしたいんですけれども、中央市民病院からT-ICUへの、新型コロナウイルスのこれまでの経験の知見の共有であったり治療方針等の助言というのは具体的にはどのような形で行われるのでしょうか。
花田健康局長:
週に1回程度、遠隔の、Zoomとかを使ったような形での会議になると思うんですけれども、今までT-ICUで市内の病院にいろいろコンサルテーションした内容なんかをお聞きして、一個一個、個別に「この案件は」と相談を受けるんじゃなくて、今の状況を見て、こういう患者の場合にはこういうふうにすべきだと思いますというような全体的なアドバイス。それで、社長、よろしいですか。
中西社長:
はい。まだ頻度はこれから、ちょうど明日ですかね、中央市民の先生とご相談するんですけれども、我々は基本、二次救急で中等症以下ぐらいの患者さんを診ていると。その情報を中央市民の先生にお伝えする必要もあると思いますし、今、中央市民の重症患者がどれぐらいいるかというのもお聞きする必要があります。さらに、コロナですと、例えば今、お薬が幾つか、例えばアビガンですとかレムデシビル、いろいろ出ていますけれども、治療は継続していく必要がありますので、そのあたりを中央市民がどういうふうな治療方針を持っているかですとか、そういったところを共有するほうが、移ったときに、よりスムーズに治療が続けられると思いますので、そういったところを話し合えたらと思っています。
記者:
導入予定の病院などで、既にこういう期待の声が上がっているだとか、そういう声が今あるとかというのがあればお聞きしたいんですけれども。
久元市長:
これは、まず、先ほど申し上げましたように4月から中央市民病院と西市民病院、それから西神戸医療センターとの間で行いましたので、市内の医療機関に対してはこれからこのシステムを説明いたしまして、そして、これに参加するか参加しないかということのご意見を聞きたいと思っています。
記者:
そうすると、遠隔ICUシステムを導入する病院がどのぐらい増えるとか、あるいは、それに伴ってT-ICUさんの人員をどれぐらい増やさなければいけないとか、そういった話に関してはまだ決まっていないということですか。
久元市長:
先ほども申し上げましたように、実際に入院患者を受け入れている病院の数は限られていますから、そういう受け入れておられる病院に対して、こういうシステムを説明して、そして、お使いになられるかどうかということを、これからというんでしょうか、お伺いして、そして判断をしていただくということになります。
記者:
ということは、まだどれぐらい増えるかという数は決まっていないということでよろしいんですか。
久元市長:
そうです。これからです。
花田健康局長:
一応、コロナ患者を受け入れているのが13病院あるんですけれども、それと、感染対策をしている病院で診療報酬上の加算をもらっている病院があります。それを合わせて、全部で20病院に対して働きかけをしようと。それを今日から行っています。
記者:
なるほど。それで、その中から手を挙げたところが導入される?
花田健康局長:
そういうことです。その20病院に働きかけるとご理解いただけたらと思います。
記者:
それは、T-ICUさんは、今、専門医は33人とおっしゃっていますが、その33人で回していかれるという形になるということですか。
中西社長:
そうです。今はその33人でシフトを組んで、常に1人、24時間、誰かが対応できるようにしています。おそらく1人で対応できるとは思っているんですけれども、3月、4月から、我々はコロナ対策で増員が必要だと考えていましたので、増やした結果、33人になっていますので、2人体制まではできるようになっていますので、もし、かなりコールが多いようでしたら2人体制にする準備もしています。
記者:
市長にお伺いしたいんですけれども、こちらの導入の背景として、中央市民病院が、今、重症患者を診ていますけれども、その他の病院で、受入れに関して、重症化してしまうので躊躇してしまうですとか、初め、院内感染が発覚するまで中央市民病院にちょっと集中してしまうというような状況があったかと思いますけれども、どういう課題を抱えて、これの導入に至ったかという経緯を改めて教えていただけますでしょうか。
久元市長:
やはり重症患者については、中央市民以外のところでも重症患者を受け入れていただくことも予定しておりますが、基本的には中央市民病院で受け入れていただくわけですね。中央市民病院の負担も軽くしないといけない。中央市民病院の負担が出てくる要因としては、重症化するおそれがあれば中央市民病院に転院させるということ、これが横行しているとまでは言えませんけれど、そういうことが現に起きている可能性があります。ですから、重症化の兆候というものを発見するということは中央市民病院の負担を軽減することにもつながりますし、軽症・中等症患者を受け入れている病院においても、とにかく今回のコロナウイルスは初めての経験ですし、先ほど説明がありましたように二次救急の病院が多いわけですけれども、これもいろんな意味での負担というものがあるわけですね。ですから、その負担をいかに軽減するのかということで、今回はこのシステムで少しでもその負担の軽減につなげていこうと。軽症・中等症の患者さんを受け入れて、重症化を防ぎながら適切な治療をしていただく、そして、重症化の兆候が見られるような場合には、これは非常に難しい課題ですけれども、コロナの重症化というのは非常に短時間のうちに進行しますから、そういう兆候、それよりもあらかじめ察知できるような場合には速やかに中央市民病院に転院してもらう、こういう両方の、病院の負担軽減につながるような、そして、最終的には患者さんの回復につながるような、そういう目的を持って導入しようというものです。
記者:
導入予定の病院なんですけれども、入院を受け入れているだけではなくて、外来をしている、コロナの患者さんを診ているところ全てに働きかけるという理解でいいんですかね。
花田健康局長:
先ほど申し上げました診療報酬上の話ですけども、診療報酬上で加算1という、感染対策のかなり効いている病院が市内に20病院ありますので、その20病院全てに対して働きかけるということです。ですので、今、コロナを受け入れているか、接触者外来をしているかということに関係なく、診療報酬上、感染対策が整っているということで加算をもらっている病院全てにおいて働きかけをしていくということでございます。
記者:
中西社長にお伺いしたいんですけれども、T-ICUさんで、今、コロナ禍でニーズが増えているかと思うんですけれども、個別の病院で導入されている病院が今どれぐらいあるんでしょうか。
中西社長:
21病院ですね。
記者:
それは全国ですか。
中西社長:
そうです。全国ですけど、逆に言えば、まだ21しかありませんので。東は千葉県ですかね、西は関西ですかな、ぐらいですけれども。
記者:
コロナの状況で導入されているところが増えてきているというようなことはあるんですか。
中西社長:
コロナで導入していただいたところも幾つかはありますが、ほとんどはその前から導入していただいているところです。どちらかと言いましたら、先ほど申し上げましたように、専門医が少ないところとかに遠隔ICUを提供していますので、コロナを受け入れているところは大体、中央市民病院のような専門医がたくさんいらっしゃる病院がほとんどですので、どちらかというと、そこにいる専門医に協力いただいて、専門医がいない、ふだんですと、コロナは受け入れないけれども救急とか重症患者さんを受け入れている病院に対して提供していくという感じです。
記者:
自治体として、契約というか、導入するのは神戸市が初めてということですかね。
中西社長:
そうです。
記者:
今後、ほかの自治体とかにも広がっていくような予定ってあるんでしょうか。
中西社長:
あると思っていますし、実際、自治体さんとお話も少しずつさせていただいております。
記者:
中西社長にお伺いしたいんですけれども、細かい話で恐縮なんですが、まず、専門医33人、これは全員、集中治療専門医でいいんですかね。
中西社長:
そうです。
記者:
24時間365日、常に1人以上の集中治療専門医の方が対応できるという。
中西社長:
基本、1人です。
記者:
基本は1人。
中西社長:
今のところ1人です。
記者:
これは始めてみないと頻度は分からないと思うんですけども、相談できる基準といいますか、各医療機関、相談したいときにできるということになるんですかね。
中西社長:
そうです。
記者:
21病院で約400件ということは、そんなに毎日毎日あるというわけでもない?
中西社長:
そうですね。だんだん増えてきて、今ですと1日2件とか3件ぐらい相談があるかなというぐらいです。そんな感じです。
記者:
今回の神戸市のシステムについてはコロナ患者に限定してという形?
中西社長:
していません。コロナじゃない患者様でお困りのことがあれば、集中治療専門医でお力になれることがあれば相談していただいていいと我々は思っています。それは病院様の運用の仕方だと考えています。我々としてはどちらでも対応します。
記者:
相談の頻度があまりにも増えてきたりしたら、医師を1人から2人に増やすということですか。
中西社長:
はい。それでいいです。
記者:
この33人の方は全国各地にいらっしゃるわけですか。
中西社長:
そうです。宮城ですとか、あと、関東、関西が多いですね。一番南ですと沖縄の先生もいらっしゃいます。
記者:
海外の方もいらっしゃるんですか。
中西社長:
日本のドクターで海外に留学している先生もいらっしゃいます。
記者:
海外はどこにいらっしゃるんですか。
中西社長:
みんなアメリカですね。
記者:
国外はアメリカのみということですか。
中西社長:
そうです。
記者:
待機するサポートセンターというのは何を指しているんでしょうか。
中西社長:
ポートアイランドの北埠頭に待機する場所を1つ設けています。そこでもネットで各病院の情報が見られるようにしていますけれども、そこに来ていただくことももちろんできますし、今のところは、そもそもまだ、先ほど申し上げましたように21病院、契約病院もそれほどたくさん増えていませんし、やっと相談が増えてきて、今、1日二、三件程度ですので、基本的には先生方にはほとんどご自宅で対応していただいています。
記者:
シフトに関しては、1日で時間帯ごとに分けているような、1日3人とか。
中西社長:
基本的には1日2人になるように12時間で交代するようには組んで。皆さん、病院のお仕事がありますので、特にコロナですと急に呼び出されたりとかありますので、その辺はきっちり12時間にならない日ももちろんあるんですけれども、基本は2交代でできるように組んでいます。
記者:
基本は、先ほどおっしゃったように、医師の方は自宅にいるケースが多い?
中西社長:
そうです。
記者:
分かりました。
あと、今までの21病院に関しては個別の契約になっていたという。
中西社長:
そうですね。
記者:
自治体としてまとまってというのが初めて。
中西社長:
初めてです。
記者:
システム自体はこれまでと異なる部分はあるんですか。
中西社長:
全く同じです。
記者:
全く同じで、自治体と協力して多くの医療機関で行うというのが初めてという。
中西社長:
そうです。自治体と協力して、その自治体の中にある病院様に提供するというのは初めてで、全てが病院様との直接契約ですので、そこが今までにないことかと思っています。
記者:
やり取りに関してはテレビ会議、これは既成の何かを使ってですか、それとも完全に新たなシステムでしょうか。
中西社長:
いや、既成のもの、マイクロソフトのTeamsを使っています。
記者:
すみません、ちょっと細かいですけど、運用費月15万円で、これで、かけ放題と言ったらあれですけども、何か、相談したらプラスの料金ということではないんですかね。
中西社長:
かけ放題です。
記者:
ちょっと表現があれですけど、お医者さんは副業的にやってくれているということですよね。
中西社長:
そうです。
記者:
ちょっと興味本位の質問ですが、専門医が少ない中で、人材確保は結構難しいんですか、どうでしょうか。
中西社長:
一般的には難しいと思いますが、私自身が集中治療専門医であるということと、集中治療専門医はみんな、遠隔ICUが必要だという強い意識を持っています。しかし、実際、提供できているのが、今のところはT-ICUだけですので、特にアメリカのことをよく知っている先生、アメリカでは遠隔ICUが20年ぐらい前から利用されていて、全米のICUの20%のICUのベッドは遠隔で管理されていますので、絶対に日本でもやったほうがいいとみんな思っていますので、そういった強い気持ちを持って、みんな手伝ってくれているという感じです。少しご負担にはなっていると、正直、思っているところはありますが、遠隔ICUが広まれば、逆に効率よく診られますので、そうなれば負担は少し減っていくかなと思っていますけれども、今は皆さんに少し甘えている部分もあります。
記者:
この遠隔を専門としてやっている人というのはいないということですね。
中西社長:
いません。
記者:
あと、今、21施設で、神戸市がみんな参加したとしたら倍近くになるんですけども、今の体制だったらどれぐらいまで増やせる見込みなんですか。
中西社長:
アメリカでは、少し日本と状況が違うんですけれども、1人のドクターとナース4人が1チームと言われていまして、これで200ベッドぐらい診ていると言われています。日本は、ICUの平均は6ベッドですので、200ベッド割る6ベッドで、大体30病院ぐらいは1人のドクターとナース4人いれば診られると思っています。
一方で、我々は、今、21病院と契約していると申し上げましたけれども、ベッド数が少ないところも結構ありますので、全然まだ、200ベッドを考えると余裕がありますので、正直、20病院ぐらい増えても1人体制で対応できるんじゃないかとは思っていますが、一応、余裕を持って、もう1人体制もつくれるようにしているという感じです。
記者:
4月から試験的に導入されていたということなんですけれど、新型コロナ治療を行う上でのコンサルテーションに当たって何か課題というものはあったんでしょうか、今までの集中治療とまた異なることというのは。
中西社長:
正直、ないと思っています。新型コロナウイルスに特異的な治療が、まずない、お薬もまだ分からない状況ですので、ないというのが1つ。ということは、今までの重症肺炎の方の管理と基本的には変わらない。重症肺炎の方の治療に関して、いろいろ専門医でないと分からないところというのはたくさんありますので、その知見を専門医として提供できると。コロナに関して特異的なものはないとは考えています。
記者:
中央市民病院と西市民病院と西神戸医療センターの間でということでしたけど、この試験的な導入ではこの有用性というのはどういったところにあったと。
花田健康局長:
それぞれの病院からお聞きしているのは、先ほど社長もおっしゃられていましたけど、やっぱり同じ病院機構の中の市民病院でも、受け入れた患者さんのことで、ちょっと困ったからといって、正直言いまして聞きにくいんですね、忙しい者同士、ましてや相手は三次救急なので。そのシステムをはっきりつくってもらっているのと、なおかつ、遠隔のシステムがあるので、いつでも聞けるという体制をつくったと。なので、システムといいますか、ソフトで成り立っている部分と、聞いていいですよというルールをつくっている、この2つのことで敷居が非常に低くなった、聞きやすくなった。市民病院の中でもこんな感じです。ですので、ましてや民間病院との間でいうとどれだけ敷居があるかということなので、これはやっぱり導入したほうがいいというのが皆さんの声でした。
記者:
改めてお伺いしますが、このシステムで試験期間中にコロナに対して何かアドバイスができたという実績はないということですね。
中西社長:
T-ICUと21病院の契約の上ではないです。ただ、市民病院機構さんの間ではあったのではないかと思っています。
司会:
ほか、ございますでしょうか。
よろしいですか。
それでは、最後に、オンラインで頂いているご質問に移りたいと思います。
電子カルテの情報などは既存の院内PC、パソコンに保存されていると思いますが、T-ICUとどのように共有するのかということと、テレビ会議やバイタル情報、電子カルテ共有時のセキュリティー対策を教えてくださいとのことです。
中西社長:
どのように情報を共有しているかに関しましては、画面共有と言ったらいいんでしょうか、我々がパソコンを1台、病院様に提供して、そこに電子カルテの画面をキャプチャーする、あるいは心電図モニターをキャプチャーすると。そのパソコンとT-ICUの各ドクターが持っているPCをマイクロソフトのTeamsでつないで画面共有させるというシステムです。 セキュリティーに関しましては、テレビ会議に関しましてはマイクロソフトのTeamsが医療情報を扱っても大丈夫だということをおっしゃっていただいていますので、そういうことと、あとは、セキュリティーは3省3ガイドラインというのが示されていますので、それに準拠しているということで問題ないと考えています。
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