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臨時会見 2021年(令和3年)6月4日

最終更新日:2021年6月4日

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市長臨時会見の模様をお届けします。



新西市民病院整備基本方針(案)~市街地西部における中核病院の再整備~

会見資料はこちら(PDF:1,878KB)

・新西市民病院整備基本方針(案)~市街地西部における中核病院の再整備~
・質疑応答

 新西市民病院整備基本方針(案)~市街地西部における中核病院の再整備~

司会:

 それでは、お時間になりましたので、新西市民病院の整備基本方針(案)に関する共同会見を開催いたします。

 まず、会見出席者の御紹介をさせていただきます。

 地方独立行政法人神戸市民病院機構理事長、橋本信夫様です。

 

橋本理事長:

 橋本です。よろしくお願いします。

 

司会:

 神戸市立医療センター西市民病院院長、有井滋樹様です。

 

有井院長:

 有井です。よろしくお願いします。

 

司会:

 久元喜造神戸市長です。

 では、まず初めに、久元市長より整備基本方針(案)について御説明いたします。よろしくお願いいたします。

 

久元市長:

 西市民病院は26年前の震災のときも、そしてもちろん平時の地域医療、救急医療の面でも、そしてこの新型コロナウイルスの感染が始まってからの医療提供の面でも、極めて大きな役割を果たしている病院です。この西市民病院の整備につきまして、有識者会議も含めていろいろと検討してきましたけれども、今回中核病院としての再整備の基本方針を神戸市として、また市民病院機構共々取りまとめましたので、その基本的な考え方をまずは私から御説明を申し上げたいと思います。

 

 西市民病院は神戸市の長田区にある、診療科目27診療科を擁する病院です。患者さんの約8割は市街地西部の兵庫区、長田区、須磨区にお住まいの方々でありまして、同時に救急車の受入件数は市街地西部の中で最多ということになっておりまして、救急医療の面でも極めて重要な役割を果たしています。また、この地域で唯一ハイリスク分娩にも対応し、長田区で唯一の小児2次救急に対応しております。

 

 今回のコロナへの対応におきましては、市内で3番目に多い43床のコロナ受入病床を確保しておりまして、受入れのほとんどが中等症から重症に近い患者さんであるために、西市民病院の役割が今回のコロナへの対応でも極めて大きいということがお分かりいただけようかというふうに思います。ちなみに、6月3日時点のコロナ受入病床は、中央市民病院が46床、西市民病院が43床、西神戸医療センターが45床ということになっております。

 

 この西市民病院につきましては、将来の医療需要、そして医療提供体制、あるいはこの施設が老朽化してきている、また敷地も狭隘であると、こういうような西市民病院が抱える課題を踏まえまして、今後市街地西部の中核病院としてどのような病院を造っていくのか、その在り方につきまして検討するために、西市民病院のあり方検討に関する有識者会議が設置をされました。第1回が昨年の8月に開催をされまして、これまで5回にわたって議論が重ねられてきたところです。有識者会議の座長は、全国公私病院連盟会長でもいらっしゃいます邉見公雄先生にお願いをいたしました。邉見座長を中心に12名の有識者、内訳は学識経験者、医療関係者、そして地域住民の代表の方々です。そして、5回にわたって開催をいたしまして、今年の4月23日に有識者会議から報告書を出していただきました。この5月11日に提出されました有識者会議の報告書は、次のような内容になっております。

 

 地域医療構想における西市民病院の役割として、24時間体制での救急医療をはじめとした安全で質の高い急性期医療を中心に重要な役割を担ってきている。しかし、敷地内に建物を増築する空地はなく、容積率もほぼ上限に達しているため、診療に必要な高度医療機器などを導入するスペースがなく、政策的医療を含めた医療ニーズへの対応は困難であり、災害時や感染症対応時などの機能確保にも課題があると。

 

 会議の中では西市民病院の再整備手法についても議論がされまして、大規模改修や現地建て替えは、救急や手術などの診療機能が大きく制限をされ、病床も長期間にわたり休止する必要があるということ、また、工事中の騒音などにより患者の療養環境が悪化することや、今後の医療機能の向上を考慮すると難しい選択であるという意見があり、有識者会議としては、整備期間中も含め、市民に対し必要な医療を提供するためには、整備期間中の診療機能の低下を最小限に抑え、必要な病院規模が確保される移転新築が望ましいというふうに結論づけられたところです。

 

 5月11日に邉見座長から報告書が提出されまして、神戸市では有識者会議の今回の報告書、そしてネットモニターアンケートの結果を踏まえた基本方針案を作成いたしました。 今回の基本方針の考え方は、3つのコンセプトを掲げております。

 

 1つは救急医療、感染症・災害医療の強化です。神戸市全体の3次救急を補完するために、市街地西部においてより高度な急性期医療を提供するとともに、新興感染症、災害対応の機能を強化する。

 

 2つ目は、地域包括ケアシステムの推進です。地域医療機関との連携及び中核病院としての役割を強化し、地域内で診療を受ける割合、受療の完結率を高めることで、住民に切れ目なく必要な医療を提供する。

 

 3つ目は、まちづくりや地域活性化への寄与です。公共空間との一体的な整備や周辺施設との機能強化により、人々が交流できる憩いの場としてにぎわいのあるまちづくりや地域活性化に寄与する。こういうようなコンセプトで再整備をしていくという方針を打ち出しました。

 

 具体的な新しい病院の機能につきましては、各分野にわたり次のような機能強化の方針を打ち出しております。

 

 まず、救急医療につきましては、市街地西部に位置する民間病院が対応困難な2次救急の中でもより高度な医療機能を担っていくとともに、地域の医療機関と連携し、中等症救急搬送を市街地西部内で完結させることを目指す。

 

 小児・周産期医療につきましては、小児救急や分娩など総合的に対応可能な西市民病院の機能を堅持・強化し、地域の活性化に寄与する。

 

 感染症・災害医療につきましては、第二種感染症指定医療機関と同程度の機能・体制を確保し、新型コロナウイルスなどの新興感染症への対応を容易にするとともに、大規模な災害が発生した際に診療機能が継続できるスペースを確保する。

 

 がんについては、市街地西部内での治療の完結率を向上させるために、がん治療の機能を強化する。診療機能が強化されることで、中央区などほかの地域に通院している地域住民の負担軽減や就労者の治療支援にもつながる。

 

 脳卒中・心血管疾患については、地域医療機関との連携の下、複数疾患を持つ高齢者の増加に対応するため、総合的な地域診療機能を向上させる。こういう機能強化の考え方を打ち出しております。

 

 こういうような考え方の下に、安定的な急性期医療の提供と新興感染症の対応を強化するためには、現在の358床と同程度の病床数を確保し、医療の高度化と複雑化への対応、3次救急を補完する機能の整備に必要となる面積として、1床当たり約100平米の広さを確保する必要があるという規模の考え方を打ち出しております。この100平米という規模ですけれども、中央市民病院が104.7平米、西神戸医療センターが95.6平米ということですから、市民病院機構の2病院と同程度の面積になります。

 

 立地場所ですけれども、有識者会議では移転新築が望ましいという提言を受けまして、神戸市としては立地条件を考えながら建設用地を探してまいりました。まず、移動が困難な高齢者、あるいは働きながら通院する患者など、多くの市民にとっては交通の利便性がよい場所が適当である。それから、防災機能の強化が期待できる立地で、災害時のトリアージなどにも使えるスペースが確保できる。そして、まちづくりとの連携により地域の活性化に寄与する。こういうような3点を踏まえて検討いたしました結果、今回、市として西市民病院の建設予定地を新長田駅前の若松公園の一部に決定することといたしました。

 

 若松公園は、スクリーンを御覧いただきますと、新長田の再開発事業により、非常時に、災害時に一次避難場所や防災活動の拠点として活用するための拡張整備を行った公園です。昨年度、事業検証を行ったわけですが、新長田駅南地区の今後の展望として、事業により整備された資源、ストックを生かし、まちを使いこなすということを掲げて、再開発事業の完了に向けて事業を進めています。病院の移転によりまして、新長田南地区のまちづくりや地域の活性化に一層拍車がかかるということが期待されます。新長田再開発事業が完了した後の新たなまちづくりのステージとして、若松公園そのもののリニューアルをするということ、これだけではなくて、駅前広場の再整備や周辺のまちづくりを進め、平時、災害時の機能を向上させたいというふうに考えております。この立地場所は、JR新長田駅、地下鉄新長田駅から徒歩で約3分の便利な場所にあります。

 

 若松公園のリニューアルのイメージですが、これから詳細に検討をしていきますが、ここは鉄人28号のモニュメントがあります。この鉄人28号のモニュメント、これは地域のシンボルとして地元の皆さんに親しまれておりまして、地元の皆さんだけではなくて、多くの神戸市民がここを訪れておりますが、言わば、この地域のシンボルであるわけですけれども、今回の病院整備によりまして、この鉄人28号のモニュメントがさらに浮かび上がるような計画を立てたいと考えております。さらに、公園内に子供たちの遊び広場を整備して、市民が利用できる交流スペースを病院内にも配置いたしまして、公園と一体となった憩いとにぎわいの空間づくりを目指したいと考えております。これ、現在のイメージですが、今後の基本構想の検討の中で、さらに具体化を図っていきたいというふうに考えております。

 

 西市民病院が若松公園に移転することによりまして、病院と公園が一体となったまちづくりを進めることができます。まちの拠点機能の強化と地域活性化を図りたいということです。病院の移転によりまして、約2,000人の来街者が増えると考えておりまして、新長田駅前のにぎわいの創出にもつながります。さらに、先ほど申し上げましたような交流機能を強化したいと考えておりまして、地域の交流にも役に立ちます。この公園にトリアージ、あるいは医療スタッフを受入れる際のスペースを確保いたしまして、防災機能も強化いたします。出産、子育て支援、病児保育の機能も強化することによりまして、この新長田の地域エリアのみならず、神戸市の市街地に若者の移住を促進する、そういう効果も見込まれるのではないかというふうに考えております。

 

 今後のスケジュールですけれども、この基本方針の案につきまして、6月に市民意見を募集し、令和3年度中に基本方針を確定し、そして令和3年度から4年度にかけて基本構想、令和4年度から5年度にかけて基本計画を策定いたしまして、令和5年度から設計そして工事に着手し、令和11年度頃に開院をしたい。そして、開院までは現地で運営を継続いたします。

 

 以上が、今回取りまとめることといたしました西市民病院の基本方針案の概要です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 

司会:

 続きまして、橋本理事長よりお話しいただきます。お願いします。

 

橋本理事長:

 神戸市民病院機構理事長の橋本でございます。このたびの件に関しまして、神戸市民病院機構としての御挨拶をさせていただきます。

 

 神戸市民病院機構は現在4病院、中央市民病院、西市民病院、そして西神戸医療センター、神戸アイセンター、この4病院を運営しておりますが、前の3者は地域医療の中核病院として現在までも活動してまいりましたし、今後も非常に重要な病院であるというふうに思います。それぞれ地域医療の中核ではありますが、それぞれの病院が歴史的にも、あるいは規模的にも、そして置かれた地域の特徴、そういうことから、それぞれ病院がそれぞれ独自の特徴を持っておりまして、これもやはり、しっかり生かして伸ばしていくことが必要だというふうに考えております。

 

 この中で、西市民病院は市街地西部地区の中核病院として、救急医療、そして小児・周産期医療、最近は特に認知症の、神戸市は認知症対策で大変進んでおりますけども、西市民病院としては、認知症になるのを遅らせる、なるべく早く介入して、認知症にブレーキをかけるというところにも取り組んでおりますし、また、それにこれから取り組んでいくということで、市民病院として非常に重要な役割を担っておりますし、また、先ほど市長がおっしゃいましたように、地域の急性期病院として、必要な診療体制をさらに高めていきたいというふうに思っています。

 

 こういう中で、新型コロナウイルス対策においては、中央市民病院が重症例、そして、西市民病院と西神戸医療センターが中・軽症の患者さんを扱うということでやってまいりましたが、想定以上の患者数の中で、西市民病院もほぼ重症、あるいはほかの医療機関では扱うのが困難な患者さんを積極的に受け入れてやってまいりました。結果的には、現在までこの3病院で、神戸市のコロナ患者の約半数をこの3つの病院で担当してまいりましたし、西市民病院は、病床数に比べて破格というか、非常に多数の患者さんを受け入れてまいりました。これは、それでも十分ではないという部分はあると思いますが、神戸市のコロナ医療にとって極めて大きな役割を果たしたというふうに思っております。

 

 こういう中で、新型コロナウイルスだけではなくて、先ほど市長がおっしゃったような災害あるいは想定外の感染症、そういうものが出てきたときにそれぞれの病院がどうするかということがありますけれども、今回のコロナの対応については、3つの市民病院が連携して、協調してやってまいりました。そこで、十分ではなかったかもしれませんが、かなり大きな効果を上げたというふうに思っております。そういう経験を踏まえて思いますのは、やはりこの3つの市民病院が、それぞれ性格も違いますし、それぞれの地域の医療を担うわけですが、相補的に、お互い補い合って、そしてもう1つ大事なことは、重層的に、少し重なって担当するというものがないと、1つの病院で大きな問題が生じたときに対応し切れないということがございます。ですから、この3病院が相補的、そして重層的に組織として構築していって、想定外というか、そういう事態にも対応できるように市民病院機構としてやっていきたいというふうに思っております。

 

 今回、西市民病院の整備基本方針を御紹介いただきましたけれども、神戸市と市民病院機構で作成した西市民病院の再整備基本方針(案)、これを基にして、今後はより具体的な検討を進め、先ほど申し上げましたように、このコロナの経験も生かしながら、近未来の都市型医療のあるべき姿を実証できるような先進的な、これから高齢化、そして少子化していく都市の中での地域医療がどうあるべきかというところについて、モデルになるような病院、西市民病院がそうなることを我々は目指してこれから検討していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

司会:

 ありがとうございました。

 続きまして、有井院長、お願いいたします。

 

有井院長:

 西市民病院の有井でございます。

 市長及び理事長のほうからほぼおっしゃられましたので、あとはごく端的に追加して申し述べたいと思いますが、現状は、老朽化、そして、狭いという、狭隘化が著しいということでして、今まで可能な範囲で増改築あるいは美化には努めてまいりましたが、残念ながら大きな限界があり、そのため、幾つかの解決できない問題点があるということでございます。

 

 第1点の問題は、医療の高度化に応じて、さらに設備あるいは医療機器を充実させる必要があるのですが、全くそのスペースが残念ながら生み出せないということです。

 

 第2点は、現在の医療あるいは将来にわたる医療は、患者さんのプライバシーとか患者さんが安らげるような空間をしっかりと充実させていかねばならないわけですが、それに対しても十分に対応できない。また、現在、空調もかなり劣化しておりまして、空調設備を根本的に直すということが、なかなか今できないような状態に陥っている。

 

 それと第3点は、今回のような新興感染症に対して、やはり患者動線の確保とか、あるいは病床、病棟の陰圧室の整備ということで、なかなか十分に対応できなかった。できる限りの対応、陰圧テントを設置したりということで対応はしたのですが、やはり根本的な解決策にはならないので、今後に備えていかないといけない、そういう問題点が明らかになったわけです。それと、患者さんが今非常に高齢化しておりますので、今の立地からいっても、市街地西部の場所であるにもかかわらず、駅からそれなりに距離があるということで、高齢者にとっては非常に不便であるという状況です。

 

 以上の問題を解決するために有識者会議で、やはり移転新築が適切であるという結論を出していただいた次第であります。

 

 私どもの目指す病院像といいますのは、これから基本計画とか基本構想でさらに明らかになってまいると思うんですが、現時点では、高度な医療機能を有して、そしてコンパクトである。コンパクトというのはこれから20年、30年にわたって病院が活躍するわけですが、例えば2040年ぐらいから医療ニーズは人口減に伴って減っていくわけですから、コンパクトな病院というのは1つのキーワードだろうと思います。高度でコンパクト。そして、市民に温かく、やさしいというふうに今考えているところでございますし、もっと言えば住みたくなるまち、あらゆる世代の方、特に若い世代の方が安心して出産できて育てやすい、そういう町になって、地域を活性化するということに貢献できるような、そういう市民病院でありたいなというのが基本のコンセプトでございます。

 私からは大体以上でございます。

 質疑応答

司会:

 それでは、ただいまの発表内容につきまして、御質問をお受けします。御質問される方は、報道機関名とお名前をお願いいたします。どなたかいらっしゃいますでしょうか。どうぞ。

 

記者:

 有井院長にお伺いしたいんですけれども、コロナ患者の受入れに当たって、動線の確保などにちょっと課題があったということなんですけれども、もう少し詳しく伺ってもよろしいでしょうか。

 

有井院長:

 例えば、どこのエレベーターを使ってその病棟まで患者さんを誘導するかという、そういうエレベーターの確保が極めて難しかったわけです。それは、一般の患者さんと交わらないようにしないといけないわけですから、それは何とかできたんですけれども、非常に大きな苦労があったわけです。

 あるいは救急外来でも、一般の救急患者さんと発熱で非常にコロナが疑わしい患者さんとが交わらないようにするには、それなりのゾーニングが必要になってきていたということでございます。

 

記者:

 そのゾーニングでもやっぱりスペースが必要になって難しかったということでしょうか。

 

有井院長:

 救急外来を急遽増設して、工事の予定があったんですが、それを前倒しして急遽増設したんですが、それでもやはり大きな限界がございました。

 

記者:

 ありがとうございます。

 あと新しい病院の敷地の面積と建物面積というのは、現段階では決まっていないという理解でよろしいでしょうか。

 

有井院長:

 実は若松公園は公園機能も維持したいわけです。したがいまして、若松公園の線路側の方ですかね、北側といいますかそちら側を使って、南側は公園機能を維持するわけですが、リニューアルするわけですけども、したがいまして、一ベッド当たり100平米という非常に理想的なものを今度、神戸市が提案していただいたわけですから、そのためには上に延ばすしかないと。敷地は今の西市民病院とそんなに大きく変わりません。ただ、西市民病院は今、一床当たり68平米という状況なので、これを100平米に持っていくには上に延ばすという形で描けているようです。

 

記者:

 南の公園も整備されて、緑の中にある高層の病院みたいなイメージでよろしいでしょうか。

 

有井院長:

 そうですね、横には鉄人28号が患者さんは見えて元気が出ると。

 今は日進月歩で、例えば、同じCTにしろ、MRIにしろ、やっぱりバージョンアップしているわけですし、あるいは放射線治療、今、うちはできないんですよね。放射線治療をやるためには、そういうリニアックのような放射線装置が要るわけですが、そういうスペースはなかなか生み出せられないということです。

 

記者:

 そういう機械を入れることによって、がん治療の機能強化であったりとか、救急でのより高度な医療を提供できると。

 

有井院長:

 はい。

 

記者:

 まず、有井院長に伺います。大体このような公的な病院の移転新築というのは、大概郊外に行くパターンというのが他都市の場合は結構多いんですけども、今回の場合は、駅は変わるけれども、駅からの距離がすごく近くなるというちょっと珍しいパターンだと思うんですけれども、この辺りについて、何か期待することというか、そういうことは何かございますか。

 

有井院長:

 場所としては、高齢者にとって本当に優しい場所でもありますし、全世代にとっては、アクセスがいいというのは極めて大切なことだと思います。それと、やっぱり、市長もおっしゃられたと思うんですが、まちづくり、まちの活性化にやっぱり貢献するというのが、今、病院の1つの、昔の病院と違って、今の病院に求められている機能じゃないかなと思いますので、その一助になればと思います。郊外に行っては、そこのところがやっぱり期待できないんじゃないかなと思います。

記者:

 ありがとうございます。

 市長にも伺います。こういう市民病院とかそういうところ、他都市とかだと、やっぱり数を減らして大きくするというパターンが非常に多いんですけども、今回は、西市民は西市民として移すということにした一番大事な理由というか、そういったところはどういうところになりますか。

 

久元市長:

 先ほども申し上げましたように、この西市民病院は、市街地整備部の非常に重要な役割を担っている拠点病院ですから、これを廃止するとか、あるいは、ほかの病院と統合するということは初めから想定はしておりませんでした。

 

 現地での建て替えは無理だという報告書も頂きましたから、これを移転する場所としていろいろと考えたんですけれども、やはり結論としてはここしかないだろうと。

 

 ここの問題点としては、鉄人28号があって、周りにそれなりの広さの公開空地が確保されていて、様々なイベントが行われていると。これが、やはり病院を建てますと、かなり取られることになりますから、ここに対する懸念というものがひょっとしたらあるかもしれないということでしたけれども、幸い何とか、これからパブリックコメント、意見募集をしますけれども、そこは御理解いただけそうだという感触を現時点では得ています。ここがクリアされれば、院長もおっしゃいましたけれども、今の場所よりも便利です。JRの新長田駅、西神・山手線の新長田駅、海岸線の出発駅ですね。非常に便利です。

 

 それから、新長田の再開発事業につきましては、先般、事業全体の検証・総括を神戸市としていたしましたけれども、やはりさらなるにぎわいが必要であると。いろんなことをこれまでやってきました。合同庁舎、それから、これから駅前広場のリニューアル、それから、兵庫県のほうでは総合衛生学院を移転していただける。地下通路のリニューアルとか、それから、神戸国際コミュニティセンターも貿易センタービルからこの新長田に移転をすると。外国人住民の皆さんへの対応も強化すると。いろんなことをやってきておりますが、今回、この西市民病院が、少し時間がかかりますが、移転することによりまして、まちのにぎわいということについても非常に大きな効果がある。新長田の駅前の活性化ということも、これもいろんな御指摘も受けてきましたので、さらにこれにつながることになるし、オープンするのは確かに先かもしれませんが、それに向けての様々な機運というものも、活性化に向けての機運というものも盛り上がっていくのではないかというふうに期待をしています。

 

記者:

 今、新長田の再開発の話が出ましたけれども、まさにこのすぐ近くでマンションと病院の複合型の施設の建設が予定されていると思うんですが、何か、患者さんを奪い合うじゃないですけれども、何か役割分担とか、その辺りはどういうふうに考えられているんでしょうか。

 

有井院長:

 実はその病院様、非常に喜んでいただきました、逆に。といいますのは、役割が全く違って、うちの患者さんの紹介先にも非常になっていただけるという、そういう役割分担がうまくできますので、お互い、いい形で連係プレーができるという、そういう病院様でありました。

 

記者:

 分担というのは、もう少し詳しくお伺いできますでしょうか。

 

有井院長:

 例えば、うちの整形外科の患者さんを手術して、整形外科の場合だと術後のリハビリが必ず要るんですね。急性期病院としては、そのリハビリで患者さんを長く入院ということになれば、次の患者さんが入れないので、やっぱり回復期機能を持つ病院に行っていただいて、そこでリハビリをしっかりやって、おうちに戻っていただくという、そういう流れなので、そのときに、今回の、そこのすぐ南にできる病院は、まさにそこに注力される病院ですので、非常にお互いがいい関係を構築できると、そういうことでございます。

 

記者:

 イメージとしては、手術だったり、高度的な治療を西市民病院でやられて、その後のリハビリとかそういう対応を新しい……。

 

有井院長:

 そうですね。ちょうどこの病院は大きな手術はしないと聞いていますので、非常にいい形になりそうな感じです。

 

記者:

 ちょっと細かいですけど、病床数と敷地面積はそんなに変わらないということですけど、診療科目に変更点はありますでしょうか。

 

有井院長:

 今、27診療科で、基本的には大きく変わることはないと思います。あえて言えば、例えば放射線治療科とか、あるいは、今、救急に特化した救急診療部という形は中央のようにはしていないので、そこを、できたら開院のときにはその辺ももっと充実できればと思っていますが。感染症も。感染症科ですかね。

 

記者:

 現在よりも科目を増やしてさらに機能を強化するようなイメージでいいんですね、できればというか。

 

有井院長:

 今言った感染症科とか放射線治療科とか救急診療部、そういったところが1つの目標ですかね。

 

記者:

 分かりました。

 あと、現在の西市民病院の跡地をどうされるのか、その辺りのめどみたいなのがありましたら。

久元市長:

 今のところは全く白紙です。これから検討していきます。

 

記者:

 かなりの敷地面積にはなると思うので、周りの市民の方としては、何になるのかとか、いろんな期待と不安もあると思うんですけど、その辺りはどんなふうに市として考えておられるのか。

 

久元市長:

 まだ何も考えておりません。これから考えていかなければいけないと思いますが、そのときには、当然、周りの住民の皆さんの御意見もお伺いしなければいけないと思っています。

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

記者:

 こちら、有識者会議などが開かれた日程は全てコロナ禍だったと思うんですが、コロナの影響というのはこの計画には出たんでしょうか。

 

有井院長:

 要するに、こういう新興感染症に対してどういう病院をつくるかという、そういう議論ですか。

 

記者:

 そういう議論が中で出たのかというお話もですし、この計画を進めるスピードにも影響があったのか、あれば教えてください。

 

有井院長:

 災害とか新興感染症にとにかく強い病院をつくらないといけないという議論は大分出ました。だから、今度の仕様についても、そういうことを踏まえて、感染症病棟を独自に造るか、少なくとも感染症病棟に転用できるような形態が必要かなと思いますし、先ほど申し上げました、動線の確保がすぐにできるような仕様というものが大事であろうという議論は出ました。

 

職員:

 有識者会議を開くときに、緊急事態宣言に2回引っかかったんです。全員ウェブ会議で有識者会議を2回開きました。

 

記者:

 病院の敷地面積等はまだ決まっていないということですけども、図面を見る限り、公園の半分ぐらいを占めるようなイメージでいいんでしょうか。

 

神戸市民病院機構担当者:

 詳細はこれからですが、今、公園の面積が約1万6,000平米ございます。今の西市民病院の敷地も7,200平米ぐらいでして、次の病院も7,000から7,500を想定して、あとは、先ほどありました容積率の関係で、上に積んで1床当たり100平米の確保をしていくという状況です。

 

記者:

 先ほど市長は、公園を利用することについて市民に理解いただく感触を得ているということを言われていたんですけども、この「感触を得ている」というのはどういう意味というか。

 

久元市長:

 やはり、もちろんこれからこの基本方針についての意見を聞くわけですが、全く移転先の方の意見を聞かないで唐突にこれを発表するということはできないです。この公園でにぎわいづくりなどの活動をしていただいているような方々の意見はそれなりにお聞きしたところですが、何とか御理解をいただけているという風に思います。もちろんいろんな御意見もあると思いますから、これから6月にその辺の意見をしっかり聞きたいと思います。

 

記者:

 ありがとうございます。

 あと1点、病院の機能強化で、第二種感染症指定医療機関と同程度の規模と、この意味はどういう意味なんでしょうか。

 

有井院長:

 今、神戸市では感染症指定医療機関というのは一種がエボラとかペストとかで中央市民病院だけ。あと、結核は二種なので、結核に関しましては西神戸医療センターが二種※ということです。

 うちは、今後、新病院に関しまして、そういう要件を満たせば、取った方がいいとなれば、神戸市がそういう判断をすれば、そういう要件を満たすような病院仕様にしたほうがいいのかなと思っています。あるいは、それがもしできなくても、形態としては指定病院に劣らないような形を取るのが少なくとも必要であろうと思いますけども。

(※)西神戸医療センターは、結核病床のみを持つ第二種感染症指定医療機関である。

新型コロナウイルス感染症は、当初第二種感染症相当として分類されていた。その後、令和3年2月13日新型インフルエンザ等感染症に指定された。

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