ホーム > 市政情報 > 市長室 > 市長会見 > 市長会見(2021年) > 臨時会見 2021年(令和3年)9月29日
最終更新日:2021年9月29日
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市長会見の模様をお届けします。
・小売、日用品メーカー、リサイクラーと協働し、洗剤・シャンプー等つめかえパックの水平リサイクルを目指すプロジェクトの開始
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・小売、日用品メーカー、リサイクラーと協働し、洗剤・シャンプー等つめかえパックの水平リサイクルを目指すプロジェクトの開始
・質疑応答
司会:
それでは、お時間になりましたので、神戸市、小売、日用品メーカー、リサイクラーの協働による「KOBE PLASTIC NEXT みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル」プロジェクトに関する共同記者会見を始めたいと思います。
まず最初に、本日の会見出席者を御紹介いたします。
今回のプロジェクトのアドバイザー、神戸大学名誉教授、叡啓大学特任教授、NPO法人ごみじゃぱん代表理事、石川雅紀様です。
小売代表、生活協同組合コープこうべ執行役員、益尾大祐様です。
株式会社ダイエー取締役・近畿事業本部長、岡本直登様です。
オンラインで御参加いただいていますメーカー幹事社代表、花王株式会社執行役員・ESG部門統括、デイブ・マンツ様です。
リサイクラー代表、アミタホールディングス株式会社代表取締役社長兼COO、佐藤博之様です。
久元喜造神戸市長です。
なお、本日は株式会社光洋取締役・人事総務本部長、古川世里貴様、ウエルシア薬局株式会社執行役員・西日本支社支社長、土屋賢太郎様にも会場にお越しいただいております。
それでは、まず初めにプロジェクトの開始に当たりまして、久元市長より御挨拶させていただきます。
久元市長:
おはようございます。市長の久元喜造です。
今日はグローバル社会の中でも非常に大きな問題になっているプラスチックごみを削減するプロジェクト「つめかえパックリサイクル」、水平リサイクルの取組につきまして、説明をさせていただくことになりました。
今、紹介がありましたように日用品メーカー、そして小売店、リサイクラーの皆様方に、16社もの会社から参加をいただきました。今日はその代表の皆様方に御出席をいただいております。どうも今日はありがとうございます。
プラスチックごみの削減というのは非常に大きな問題になってきました。その中でも海洋プラスチックごみをどう削減するのかというのは、これは世界的に見ても非常に重要な課題です。どんどん海洋プラスチックごみが残念ながら増えてきておりまして、ある団体が作った動画では、太平洋の絶海の孤島に、これはもともとウミドリの営巣地ですけれども、ここにプラスチックごみが大量に流れ着いて、これを餌と間違って食べる、飲み込む、そして多くのウミドリが苦しみながら死んでいくと、こういうような状況が現実に今起きているわけです。
神戸は国際港湾都市です。古くから神戸は海と向き合って、そして海を恐れながらも、海の恵みを受け取りながら発展をしてきた町、海洋都市でもあるわけですから、海洋プラスチックの問題というものは、これは非常に、私たち神戸市にとって、神戸市民にとっても、真正面から向き合わなければいけない問題です。
その大きな解決の方途が、幅広く市民生活の中で行き渡っているプラスチックの容器、これをどういうふうに再資源化するかということです。これについてはいろんな取組が行われてきましたけれども、今回、先ほど申し上げましたような小売、そしてメーカー、リサイクラー、この各社の皆さんが、これを一緒に手を携えて解決していこう、この水平リサイクルの取組、これを神戸からスタートすることといたしました。
従来からこの問題について、あるいはそれ以外の問題も含めて環境問題全体について、今日御出席いただいております神戸大学名誉教授の石川雅紀先生に御指導いただいてきましたけれども、いよいよこれがスタートするということで、ぜひこれを、1つの大きな実験だと思いますけれども、成功させて、神戸から水平サイクルのモデルを構築していくことができればと考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。
司会:
それでは、プロジェクトの具体の概要につきまして、神戸市環境局長の福本より御説明させていただきます。
福本環境局長:
おはようございます。神戸市環境局長の福本でございます。
早速ですけども、座って説明させていただきます。
私から、「KOBEから始まるプラスチックの未来 みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル」について御説明させていただきます。
このたび、神戸市内で詰め替えパックの水平リサイクルに挑戦していきます。水平リサイクルを目指し、メーカー、小売事業者、リサイクラー、そして行政が1つになってリサイクルループを構築します。
水平リサイクルとは、洗剤やシャンプーなど日用品の詰め替えパックを再び詰め替えパックに戻すリサイクルです。水平リサイクルの詳細については、この後、石川教授より御説明をいただきます。
なぜ詰め替えパックを水平リサイクルにするのかということなんですが、詰め替えパックは本体ボトルに比べ、プラスチックの使用量が少ないです。そして日用品に占めるシェアが大きいです。プラスチックの削減に大きく貢献しております。
一方、詰め替えパックは使いやすいように複数の素材を組み合わせた多層構造であったため、マテリアルリサイクルが困難とされてきていました。そういったことから、ワンウエーである詰め替えパックの水平リサイクルに挑戦することは大きな意義があると考えております。
さらに多くの課題があります。メーカーはリサイクルする使用済みパックをどう集めるか、そして技術開発のコストをどう負担するかなど、多くの課題を抱えておりました。また、小売は回収したものを選別と処理するノウハウがないなど、資源循環ループのつながりを求めてきていたところでございます。
水平リサイクルの全体最適化を実現するためには、共通のフィロソフィーを持つリサイクルループの構築が欠かせません。神戸の環境NPO法人ごみじゃぱんの皆さんと神戸市が旗振り役となりまして、業種を超え、ライバル関係を超えて、水平リサイクルに挑戦するプロジェクトチームが動き出しました。
神戸市が先導する理由は大きく3つあります。1つ目は、海洋プラスチック問題に積極的に取り組む市民が多いこと。2つ目は、店頭でトレー等を回収する長い歴史と実績を持っていること。3つ目は、数々の大きな災害を経験し、協働の絆があることです。
当初のプロジェクトメンバーは、神戸市とごみじゃぱん様に加えまして、小売はウエルシア薬局様、コープこうべ様、光洋様、ダイエー様、メーカーはアース製薬様、花王様、牛乳石鹸共進社様、コーセー様、小林製薬様、サラヤ様、P&Gジャパン様、ミルボン様、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング様、ライオン様、リサイクラーはアミタ様、大栄環境様となっております。それぞれの御担当者様も会場に本日お越しいただいております。
それでは、本プロジェクトのポイントを簡潔に御説明いたします。
1つ目は、全国最大規模となる市内75店舗において、専用の回収ボックスを設置し、使用済み詰め替えパックを回収いたします。2つ目は、既存の配送戻り便等を活用し、収集の効率化と環境負荷の低減を図ります。3つ目は、集められた詰め替えパックはメーカーごとに選別し、和歌山にあるパイロットプラントで再生処理や研究開発を行います。ここで得られた課題や技術は各メーカーの皆さんと共有いたします。4つ目は、水平リサイクルの実用化のめどが確立した後、各メーカーごとに市内店舗で実証販売を目指します。5つ目は、詰め替えパック以外にも魅力的なリサイクル製品を考案し、多くの皆様にリサイクル製品を浸透させていきたいと考えております。
さらに、リサイクルに御協力いただいた皆様には、神戸市のエコアクション応援アプリにおいて、どこでも使える電子ポイントが獲得できます。専用アプリをダウンロードしていただき、回収ボックスに入れる前に専用ページを開き、使用済み詰め替えパックのバーコードを読み取っていただくと、1枚のパックにつき50イイぐるポイント、5円相当が付与されます。
なお、回収に当たりまして皆さんに御協力をお願いしたいことは、使い終わった詰め替えパックをはさみで切り、水で洗い、乾かしてからお近くの回収ボックスに入れていただきたいと考えております。なお、詰め替えパックは、どこのメーカーのものであっても回収いたします。
最後に、プロジェクトメンバー全員の思い、プロジェクトフィロソフィーを御紹介いたします。プラスチックの未来をみんなで考え、みんなで集め、詰め替えパックを未来につなげる資源としてつないでいきたい。みんなと一緒に、できることから、少しずつ。神戸から始まります。
御清聴ありがとうございました。
司会:
続きまして、水平リサイクルの意義、ごみ減量から価値創出へにつきまして、石川教授よりお話しいただきます。よろしくお願いいたします。
石川名誉教授:
おはようございます。御紹介いただきました叡啓大学の石川です。今日、御説明させていただきたい内容は、ポイントは、このプロジェクト自体がいかに画期的かということです。
私自身は、これは日本が循環型社会に変わっていくきっかけになって、構造的に変わっていく1つの事例に、多分、希望的にはこれが先導的な事例になるということを希望していますが、そのことについて御説明したいと思います。
まず、水平リサイクルという言葉はお耳にしたことがあるかと思いますが、厳密な定義は実はないんです。まだ決まっていません。ただ、皆さんが理解しているのは、恐らく回収した製品から同じ製品を作ることだ、多くの場合は容器・包装でしょうけれども、プラスチックの場合は。そういうふうに理解しているんですが、これ、実は、なぜ作るのかという、なぜ同じ製品でないといけないのかと考えると、結構難しい。何となく考えているだけだと、これまでのリサイクルというのは、ごみを減らすためにやっている、ごみ処理が嫌だから、嫌なものをゼロにしたい、マイナスのものをゼロにするというのが、簡単に言うと目的だったというふうになります。そういう意味では、今でもスーパーマーケットとか小売店の店頭には分別ボックスがいろいろありますよね。トレーとか牛乳パックとか、たくさんあります。今回の事業は、そのボックスが1個増えるだけではないのだということを私は御説明したいということになります。
それは何が違うかというと、ごみ処理量を減らすためにやるのではなくて、新しい価値を生むためにやるんだと、そこが違うというところがポイントです。これまでのリサイクルというのはごみを減らすことが目的で、今回ここで、神戸で実証するのは、新しい価値をつくってみせるというのが目的です。新しい価値とは、じゃあ一体何なのかということになるんですが、これも結論から先に書いちゃっているので、理由はこれから説明しますけれども、大きく2つあると思います。
1つは、消費者神戸市民が、自分が持続可能な社会の一員であるということを自覚して、自覚すれば当然、反対する人はあまりいないので、自覚すれば何かしようと思って行動するだろうというふうに期待をしております。そういうふうに変わる大きなきっかけを与えるだろうと思っています。
それから、もう1つは事業者サイドのことですが、持続可能性に向けた投資、研究開発投資が行われるようになると私は思っています。それはやらざるを得なくなるという面もあるし、先にやったほうが勝ちだということもあるでしょうし、大きなビジネスチャンスになるというふうに私は思っているので、それを実証するというのが1つの目的になります。
水平リサイクルに何が必要か、同じ製品に戻そうと思うと、具体的に考えると、これはいろいろ課題が出てくるんです。それが見えてくると。まず第一に、消費者が協力しやすいような精密な分類の回収をしないといけないです。なぜかというと、元の製品に戻すということは、それだけ、今までは石油プラントから出てきた混じり気のないもので設計していたものと同じ品質が要求されるからです。ということは、訳の分からないもの、いろんなものが混じっているけれども、大体これはポリエチレンですというふうなものが原料というのは、あり得ないんです、今の日本の製造業では。ということは、集める段階で既にフォーカスして、これは製品に使えるものが使われている製品である。ちょっと持って回った言い方をしましたが、そういうふうに考えないといけない。回収するシステム自体が、何を何のために回収するのかということで設計しないといけなくて、これまでのごみを減らすためのリサイクルだったら、集めさえすればそれで終わりなんです。集めてごみにならないようにすれば、後は植木鉢になろうが何になろうが構わない。場合によっては燃料利用でも、ごみではなくなっているわけです。そこが全く違うところです。
それから、それは実際実行すると、環境面でも経済面でも効率的なものになるはずです。今、直ちにはコストがかかりますけれども、長い期間をかけて、一定の期間をかけて規模を大きくしていけば、これは環境面も経済面もプラスになると信じています。
それから、同じ製品に使おうとすると、これは今は行われてないことですから、いろいろな技術開発しないといけないです。現実にこのプロジェクトに参画されている企業さんの中では、既に研究開発部門が一生懸命研究されている企業もありますし、今、真剣に検討を始めた、皆さんそういう段階が多いと思いますが、そういう企業さんも多いです。
それからもう一歩行くと、回収して元の製品に戻すことを前提にすると、最初の製品そのものの設計を変えたほうが楽になるかもしれないというのは、これはメーカーさんだから考えることなんです。メーカーが自分で選ぶわけですから、そこに強い動機が生まれます。これが一番大きなところです。
特徴としては、これはまず消費者の目から見ると分かりやすいんです。今回は洗剤その他の詰め替えパウチを対象にするので、何を集めるのかということが消費者にとってこれほど分かりやすいものはない。現在、水平リサイクルというと、日本での成功事例は、ペットボトルが一番規模の大きなはっきりした成功事例ですけれども、あれがなぜ成立するかというのは、消費者にとってペットボトルというのは、ペットボトルという言葉だけで誤解する人がいないからです。分かりやすい。迷うような余地がどこにもないんです。キャップを外して、ラベルを外すだけですから。
それから、投資への動機づけが強いというのは先ほど申し上げましたけれども、技術的なチャレンジだからです。それから、分かりやすいというのは、内容をもう少し突っ込んでいくと、自分が集めた詰め替えパウチ、例えばこれ、もう既に参加されている企業さんはあちこちで事業として始められているんですけれども、自社の独自の事業としてある程度やられていますけれども、そこで分かってきているのは、やっぱり持ってきたものがどうなるのかというふうなことが分かると、やる気が出る。特にお子さんなんかが絡んでくると、そうなんです。学校教育と絡むとそうです。消費者にとってもそうです。それから目的が、これをつくるために集めるんですというと、分かりやすい。
これを神戸市で、事業の中でインタビュー、市民の方にインタビューしたことがあるんですけれども、その中で印象的な言葉として、今の分別とかリサイクルというのは、水洗トイレでしょうと言われたことがある。私、ちょっとぴんと来なかったので、学生も分からなくて、質問して質疑になったんですが、要するに、中身を洗って開いて何とかして、何曜日の何時に出せと言われるだけでしょうと。その後、そうしてしまえばそれで終わりでオーケーだと。だから、レバー引いて終わりという意味で、水洗トイレと同じであると。それだと何かやる気がしない。ただ、そうじゃなくて、水流しで終わりじゃなくて、それが自分がやったことがどういうふうになっているのかというのが目に見えると、やる気が出るんですとおっしゃっていた市民の方がいて、すごくよく分かる。そういう意味では、よいことをしている実感が得られますし、それを通じて持続可能な社会の、自分は構成員なんだと。単にルールを守って、言われたことをちゃんとやって、レバーをちゃんとこっちに回したんだということだけじゃないというところを実証したい。
それから、水平リサイクルはごみとCO2が減るというふうに私は思いますけれども、これは実際やって実証しないと、計算しないと分かりませんけれども、ラフに考えれば、これは明らかです。今のリサイクル制度で集めているプラスチックというのは、マテリアルリサイクルしている例は、大体55%産業廃棄物になっちゃうんですね。混ざり物がいっぱい来るものですから。それと比べれば、水平リサイクルというのは、詰め替えパウチだけが来るので、歩留りはかなり上がるはずです。そこの部分だけでも、これはほぼ間違いがない。
これまで御説明してきたとおり、水平リサイクルは、しかし、チャレンジです。技術的には、今、詰め替えパウチだけを集めてきて、それをまた何か洗剤の容器にする技術は今のところはない。企業さんは今チャレンジしていて、かなりできそうだというところまで来ている企業さんもありますし、ほかのものを作ろうというところもありますが、これはチャレンジです。
それから、新しいソーシャルシステムをデザインしないといけないんですね。市民の方にどこに持ってきていただいて、それをどうやって集めて、どういうふうに再資源化するかと、これは結構大変なことです。実際、ここに来られている、参加されている企業さん、メーカーさん10社も小売さんも、それぞれ製品市場とか小売市場では競合しているわけですから、そこでは切磋琢磨されている方々が一緒にやりましょうということでやるわけですから、そのこと自体が結構大変なことなんですね。これが成立していることがすばらしい。市場競合している企業間の水平連携もありますし、メーカーさんと小売さんとの間で、売る、買うという関係じゃない関係を築いた上で連携する。それから、ごみじゃぱんも含めて、産業と官と行政とNPOが連携すると。こういうのが全部うまくいかないと実現できません。
チャレンジの具体的な内容としては、実は、詰め替えパウチは、正確な数字はまだありませんけれども、大体、日本で年間5万トンぐらい市場に投入されているそうです。これは、実は、ペットボトルだと数十万トンですから、60万トンから80万トンですから、1桁以上少ない。日本全体で、消費者、家庭系のプラスチック廃棄物は412万トンですから、1%強にすぎないんですね。それだけを集めるというのは、こういう量が少ない、しかし発生源はみんな各家庭という意味では同じですから、大変非効率なことになるので、よほど工夫しないとうまく集まらない。
それから、資源再生技術が必要だというのは御説明しました。それから、もっとハードルが高いのは、集めてきて再資源化したプラスチックで元の製品を作る。今回の場合、洗剤容器を作るということは大変なチャレンジです。4番目が実はもっと根本的なところです。そういう仕組みをつくった上で、それが持続的に回るように。参加している企業なら、利益が出るように。少なくとも赤字が出るようなセクターがあるようでは、そこがいずれ落ちてしまいますから、続きません。それを続けるようなモデルをつくるところが最大のチャレンジということになります。
これが結論になりますが、水平リサイクルというのは、これはまだ御説明しなかったですけど、実はこれは事業者サイドからのイニシアチブで始まっている。神戸市としてやりたいということと、事業者サイドでこういうことをやりたいというのと、マッチして初めて設置している。そういう意味では、法律的にこれをしなければいけないとか、やれと言われてやっているものでは全くないんです。そういう意味では、生産者責任の自主的な拡大とも言える。これはすばらしいことだと思います。そういう意味で、循環型社会へ移行する強力なドライバーになると思います。企業から見れば、循環型社会に移行していく過程での大きなビジネスチャンスに対する投資だというふうに私は思います。
以上です。どうもありがとうございました。
司会:ありがとうございました。
続きまして、小売店代表、生活協同組合コープこうべ、益尾執行役員より御挨拶いただきます。
益尾執行役員:
ただいま御紹介いただきました生活協同組合コープこうべの益尾と申します。よろしくお願いします。
このたび、神戸市様、小売事業者の皆様、メーカーの皆様、リサイクラーの皆様と御一緒にこのプロジェクトに参加させていただき、日本初の取組の一翼を担うことができることを大変うれしく思っております。
コープこうべでは、神戸市内33店舗に回収ボックスを設置し、会員である組合員さん、それから市民の皆さんと御一緒に、資源循環型社会、持続可能な社会の実現に向けて、この取組をしっかり進めてまいる所存です。神戸市様とは、これまでも様々な分野で連携を進めておりました。特に環境分野では、直近で、食品ロス削減に向けた「てまえどり」運動であったり、そうした多くの取組を御一緒に進めてまいりました。最近では、今年の1月から2月にかけて、店頭回収したペットボトルのキャップを原料にして神戸市指定の家庭用ごみ袋を実験販売するなど、市民、組合員を巻き込んだ取組を進めてまいりました。
こうした取組の背景には、先ほど石川先生から御紹介がありましたように、昨今のプラスチックをめぐる喫緊の社会情勢であったり、国内ではプラスチック資源循環促進法の成立、海外ではサーキュラーエコノミー、こういったものへの実現に向けて、急ピッチに動きが進んでいることが挙げられます。こうした背景を踏まえまして、コープこうべにおきましては、プラスチックの使用量削減を含めた環境チャレンジ目標「エコチャレ2030」を掲げ、この間、取組を進めておりました。そのような中、今回、神戸市様、それから石川先生から本プロジェクトのお話をいただきました。これまでのプラスチック利用に対する考え方を消費者である組合員と一緒に見直していく絶好の機会だというふうに捉えまして、参画を決めました。
今回のプロジェクトで、年間10トンの詰め替えパックを回収する目標を掲げておりますが、その達成にしっかりコープこうべとして貢献していくことはもちろん、この取組の社会的背景を当生協の171万世帯の組合員と一緒にしっかり共有しながら、一人でも多くの共感者、そして自らやる実践者を増やしていくことで、この神戸モデルを確立し、全国に波及する大きな一歩にしていきたいというふうに思っております。
さて、私たちコープこうべは、おかげさまで、今年の4月、創立100周年を迎えました。この100年の歴史の中で、大きなトピックスの1つに、御存じのとおり、マイバッグ運動というのがございます。50年前、1970年代に、買物袋の持参運動から、組合員自らの行動で開始した運動。1995年には全国に先駆けてレジ袋の有料化に踏み切りました。マイバッグ運動を牽引してまいりました。現在、コープこうべの店舗に来店される組合員さん、実に9割以上がマイバッグを自ら持参されるという運動に参加いただいています。
昨年、レジ袋の有料化が法制化されました。社会全体でマイバッグ運動、マイバッグ持参の慣習が広がっているのは御周知のとおりです。本プロジェクトは、このマイバッグ運動と同じように、私たちにとって新たな歴史の一歩になり、社会全体に波及していくことを期待し、しっかり取組を進めていきたいというふうに思っております。
以上、決意表明をもって御挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。
司会:
ありがとうございました。
続きまして、小売店代表、株式会社ダイエー、岡本取締役より御挨拶をいただきます。
岡本取締役:
皆様、こんにちは。今紹介いただきましたダイエーの岡本でございます。一言御挨拶申し上げさせていただきます。
今回は、この循環型社会の実現に向けてということが大きなテーマだというふうに考えています。その中で、一小売業として、石川先生はじめ、神戸市、それから各メーカーの皆様、リサイクラーの皆様。石川先生の説明にもありましたけど、これは非常に簡単なようで、小売からしたら難しいなというのは、やっぱりそれぞれメーカー様、リサイクラー様、いろんな考え方、戦略、基準があって、やっぱりそれを公共の中で循環型に向けていくという1つの方向にベクトルを合わせるということが非常に我々小売から考えてもちょっと難しいなというふうに考えてたんですけど、そこにチャレンジしていくということに参加できるようになったというのはすごい意義が深いことだというふうに思います。
世界の中でも、SDGsであったり、脱炭素という動きはありますけど、昨年度から、プラスチックということで、レジ袋削減、有料化の法制化ということも進んでいきました。そんな中で、我々小売がお客様のために、消費者のためにやっていけられることは何かということで、今回の「KOBE PLASTIC NEXT」ということは、非常に我々として取り組んでいくべき意義が大きいということで、参加させていただきました。
今後、このプロジェクトというふうには、まだまだ実験ということからのスタートになるかというふうに思うんですけど、イオングループとして、株式会社光洋、それからウエルシア薬局様で、今お話しされましたコープこうべ様とともに、小売、それからメーカー、リサイクラー一体となって、やはり未来のためにということを、ぜひ取り組んでいきたいというふうに思いますし、我々ダイエーという会社は、関西圏もそうですけど、首都圏にも大きな店舗網を持っております。今回、神戸発のこの取組を、何とか早いタイミングで首都圏であったりそのほかの地域につなげていきたいし、またこれが、日本の皆様にとって、非常に、環境にとってすばらしいものになるというふうに願って進めていきたいと考えております。
挨拶については以上で終わります。ありがとうございました。
司会:
ありがとうございました。
続きまして、日用品メーカー幹事社代表、花王式会社執行役員、デイブ様より御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。
デイブ執行役員:
皆様、こんにちは。花王株式会社のデイブ・マンツです。本日は花王を代表して御挨拶させていただきます。このように非常に重要な取組に御一緒させていただけますこと、大変光栄に思っております。神戸市の皆様、そして、今回一緒にやってくださる様々なステークホルダーの皆様と一緒になって取り組めることを非常に楽しみにしております。本日は、大変失礼ながら英語でお話しさせていただきます。通訳を介させてお話しさせていただきます。
花王は、皆さんが毎日お使いいただく商品を提供しておりますので、やはり生活者の皆さんが主役となって、環境や社会に配慮した選択、行動を取っていけるような、その後押しができるような提案ができる企業でありたいと願っています。まさに石川先生がおっしゃったとおり、皆さんが主体となってできるように後押ししていきたいと願っておりまして、その願いを、ある種戦略として形にしたのが花王のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」というものになります。
社会のサステーナビリティーを考えたときに、資源循環というのはもはや欠かせません。プラスチックが、今、環境や社会に非常に大きな課題になっているということは周知の事実ですけども、一方で、このプラスチック、今の私たちの、まさに快適で豊かな暮らしに大きく寄与してきたのも間違いありません。今、私たちはそのプラスチックともっともっとうまく付き合う、活用していく方法を見いだしていかなければいけないのかなと感じています。
フィルム容器には、プラスチックの削減というところでは非常に大きな貢献ができます。メリットがあるゆえに環境への影響も減らすことができるんですが、一方で欠点もあるんですね、リサイクルが難しいという点です。ですが、ここに、私たち花王はチャレンジしていきたいと思っています。何とかこれを解決するような新しい技術を開発していきたいと思っていますし、今回の取組を通じて、 の皆さんと一緒に獲得していくこの技術というものを、なるべく多くの人と共有していきたいというふうに思います。というのは、より多くの生活者の人が、この選択肢を取れるように、この選択肢を多くの人に提供するためには、やはり多くの企業が開発した技術というのを活用してもらわなければならないと、そういうふうに考えています。
そして、今回の取組、まさに世界の目から見たときに、1つのゲームチェンジャーになる可能性があるのではないかと思っています。これが、神戸で始まったモデルが、日本だけではなくて、成功すれば、世界が新鮮な目と、そして希望を持ってこのフィルム容器を見るきっかけになるのではないかと考えています。考えてみますと、世界の市場のどこを見ても、ここまで詰め替えが普及した市場はありません。それはひとえに、皆さんが使いやすい、あるいはこれを生活に取り入れることを可能にしたフィルム容器の技術の開発が日本にあったことにほかならないと思っています。
私の故郷でありますアメリカのピッツバーグという町では、一度完全に、環境的にも経済的にも破壊されてしまったんですけども、これを多くの企業、NGO、政府が一体となって働くことで、協力することで大きく再生した町でもあります。こういった協働によって成し遂げられることのほうが膨大で、私たちの経済社会を変革することができると、私は目の当たりにして、今でも信じています。もちろん、今私たちが直面している課題の規模とか難しさを甘く見ているわけではないんですけども、今、それぞれが、私たち一人一人がするべきことを今始めること、それが正しい選択だと思いますし、やるべきことだと思っています。
この神戸のプロジェクトも、皆さんが、皆さんの愛する人々のために、そして地球のために、一人一人がぜひ参加していただきたいというふうに思っています。一緒にこれを前進させること、非常に楽しみにしています。ありがとうございました。
司会:
ありがとうございました。
本日は、他の日用品メーカー幹事社、3社様より動画でメッセージをいただいておりますので、モニターを御覧ください。
初めに、小林製薬株式会社専務取締役・グループ統括本社本部長、山根聡様です。
山根専務取締役:
こんにちは。小林製薬の本社で企画管理部門を統括しています山根と申します。簡単に御挨拶を申し上げます。
当社は「あったらいいなをカタチにする」をブランドスローガンに、日用品から医薬品まで幅広いカテゴリーで、しかもニッチの視点で市場創造にチャレンジしているメーカーでございます。近年、当社はESGを重視しており、特に環境配慮への取組を強化しようとしております。こんなふうに「エコをカタチに」というマークを製品につけまして、お客様にも当社の取組を分かりやすくお伝えする 始めたところでございます。
一方でリサイクル事業、これはとても重要なんですけれども、これはなかなか思うようには進んでおりません。1社では限界があるなと感じているところであります。そんな中、今回多くの企業、団体が1つの目標にチャレンジするというプロジェクトがあり、1社単独では成し得なかった大きな成果につながるのではないかと思います。また、水平リサイクルというこのコンセプトには強く共感するところであります。加えて、今回フィールドが神戸市ということでございますから、関西を基盤とする当社としてもぜひ成功させねばならないということで参画させていただくことにした次第であります。このムーブメントが全国に広がっていきますよう我々も頑張ってまいります。引き続き、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。
司会:
続きまして、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社取締役副社長
兼営業本部長、篠原亜季様です。
篠原取締役副社長:
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングの篠原です。
ユニリーバのパーパス、つまり企業としての存在意義は、サステーナビリティーを暮らしの当たり前にすることです。その輪の下、ビジネスを成長させながら地球の健康を改善し、誰もが健やかに、そして自分らしく暮らせる社会で貢献することを目指しております。
中でも近年、特に注目していますのがプラスチックの使用量削減と資源循環です。昨年11月には詰め替えパックの購入、または空き容器のリサイクルでポイントがたまる「UMILEプログラム」を開始いたしました。そして、小売業、日用品メーカー、リサイクラー16社が共同でスタートします日本最大規模のプロジェクト、「KOBE PLASTIC NEXT みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル」に参画いたします。市場では競合に当たる各社が資源循環の場で共同し、業界全体として使用済み詰め替えパックの水平リサイクルを目指すことになります。今後、年末をめどに詰め替えパックの回収時に、神戸公式アプリにて付与される「イイことぐるぐる」ポイントに「UMILEプログラム」の連携も図ってまいります。
神戸市民の皆様とともに地球資源循環を目指し、行く行くは日本全国に広がる活動とすべく、ユニリーバとして貢献をしてまいります。皆様、ぜひよろしくお願いいたします。
司会:
続きまして、ライオン株式会社取締役・上席執行役員、小林健二郎様です。
小林取締役:
ライオン株式会社の小林です。
ライオンは昨年9月に、花王様と使用済み詰め替えパックの回収再生事業に関し、協力することを発表し、共同回収事業を始めました。それから、1年余りが経過し、その経験を携え神戸市様を中心に小売業、日用品メーカー、リサイクラーなどの16社が共同でスタートする、日本で最大規模の使用済み詰め替えパック回収プロジェクトに参画いたします。SDGsでパートナーシップがゴールの1つとして掲げられているように、資源循環に向けた取組は企業単体の枠を超え、官民ほか多くのパートナーと連携する必要があります。これにより多くの資源を集め、よりよい未来へ向かいたいと考えています。
ライオンは「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」習慣のReDesignをパーパスとして掲げています。この活動を通じて、資源循環型社会の実現に向けた神戸市様のReDesignを実現できるよう貢献してまいります。
神戸市民の皆さん、御協力をお願いいたします。
司会:
続きまして、リサイクラー代表のアミタホールディングス株式会社、佐藤社長より御挨拶いただきます。
佐藤代表取締役社長:
アミタの佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
このたびは神戸様で「つめかえパックリサイクル」のプロジェクトに参加させていただくことになり、誠にありがとうございます。アミタグループは創業以来、持続可能な循環型社会実現ということに本気で取り組んでいます。私たちのモットーは「この世に無駄なものなどない」、これをモットーにしています。そういう意味で、引き受けた廃棄物は100%リサイクルにするということにこだわって、事業を40年続けてまいっております。
皆様、御存じのとおり家庭ごみの資源化率は、まだ全国平均で2割程度なんですね。まだまだです。その中でも、特に循環の輪が回っていないものは3つあると考えております。1つが生ごみ、2つ目がプラスチック、3番目が紙おむつ、大きな紙おむつと考えております。この3つのカテゴリーだけでも半分近くを占めています。今、アミタとしてもこれらの大きな課題についての資源循環の仕組みづくりということについて、全国いろんなところで取り組んできているというところです。
今回、その中で生活の隅々まで浸透しているプラスチック、この課題について神戸市様が大規模な店頭回収のプロジェクトを企画されているということをお聞きしまして、非常に先駆的な取組に大いに賛同、または共感いたしまして、このたび参画させていただくということになった次第です。
広報の方がおっしゃっているように、今回のプロジェクトは全ての関係者、ステークホルダー、パートナーシップが成功のかぎを握っていると思います。これは言ってみると新たな生態系、1つの関係性のエコシステムを新たにつくるような取組ではないかと思うんです。生態系においては御存じのとおり、廃棄物、ごみというものは生まれないわけです。そういったやっぱり我々は、エコシステム社会のようなものをつくっていくべきだと思っております。
今回。私たちアミタはエコシステムの循環がスムーズに流れ、本プロジェクトが成功するように経験とノウハウを生かして、力を尽くしてまいる所存でございます。そしてさらに、神戸初のプロジェクトを全国各地に広げていくということについても貢献したいと思っておりますし、それから、今回の詰め替えパックに限らず、様々な生活の中の暮らし製品や容器・包装、これらができるだけ水平作業な循環がされていくような取組にも大いに貢献していきたいと思っております。
そういうことで、今、一方通行になっているリニアエコノミーをどうサーキュラーエコノミーにしていくか、エコノミーとして成り立つ仕組みをつくっていくのか、ここに向けて世の中の転換を図っていきたいと思っています。
それから、このプロジェクトとは別になりますけども、私たちアミタは、同じ「KOBE PLASTIC NEXT」の一環で、プラスチックのコミュニティー回収拠点をつくるプロジェクト、こちらについても神戸様と共同するということになっております。そこではリサイクルのみならずリユースの取組も実施し、あるいは地域住民の交流スペースを設けるというようなこと、我々は「MEGURU STATION(めぐるステーション)」と呼んでいるんですけれども、こういうことも含めて、資源回収に地域コミュニティーづくり、そういうものを重ねたような新たな取組というものをやっていこうということになっております。また、こちらのほうも注目いただければと考えております。
それから、今回のプロジェクトの中で回収や選別という部分を担っていただく重要なパートナーでいらっしゃいます大栄環境様を御紹介させていただきたいと思います。
詰め替えパックの選別場所は大栄環境様の六甲リサイクルセンターになります。事前にその紹介動画を頂いておりますので、これから御覧いただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。
(動画放映)記者:
恐らく福本局長に伺うのがいいのかと思うんですけれども、具体的な流れのところで、店頭で回収したものはメーカーさん、あるいはリサイクラーさんのどこか1か所に集約をして、そこで技術開発のための実証をするのか、あるいは各社に満遍なく配って、各社で技術開発をしてもらうのか、その辺りを伺ってもよろしいでしょうか。
福本環境局長:
まず、各75店舗から使用済みの詰め替えパックを集めます。集めたものを、先ほどこちらのほうで御紹介いただいた大栄環境様の施設に集約しまして、こちらのほうで異物混入がないかどうか、それから、それぞれのメーカーごとに分別といいますか、選別をいたしまして、そうしたものを、そのうち水平リサイクルに使えるもの、その使えるものを、先ほども御説明いたしました和歌山にありますパイロット工場があります。そこのパイロットプラントのところに持ち込みまして、各メーカーさんの分を一括して。研究のやり方は、また補足していただけますか。いろいろあると思うんですけども、場所はそこで一括して行うと。そこでいろんなノウハウを得られると思いますから、その情報を皆さんで共有すると、これが今回の大きなポイントだと思っております。
少し工場の研究開発につきまして替わります。
花王担当者:
六甲で集めたところで、10社に分けまして、まず、集まってきたものが、どのぐらいきれいに皆さんに出していただけるか、量はどのぐらいかというところが1つの実験の目的になります。そちらから今度はどのようにリサイクルするかということは各社アイデアがありますので、花王の、先ほど説明いただいたとおり、和歌山にパイロットプラントがございまして、そちらに持ち込んで、一緒に水平リサイクルにチャレンジしてくださるメーカーさんのものはそちらに持っていくということを考えております。
水平リサイクルの検討なんですけども、中の残っているものとかを洗ったり、どのぐらいきれいに洗えるか、それから、その後、いろんな素材のものが混じってくる可能性がありますので、そういったものがどのように最終的なペレットあるいはフィルムに影響してくるかというところを確認しながら、皆さんと水平リサイクルの技術をつくり、広めていきたいというところを考えております。
水平リサイクルの工場につきましては、後ろに動画もございますし、動画の御提供もできますので、見ていただければ雰囲気はつかめるかなというふうに思います。
記者:
ありがとうございます。
記者:
すみません、神戸新聞のハセベといいます。
神戸市の方にお伺いしたいんですけど、この5トンという初年度の目標設定の根拠と、これはメーカーの方にお伺いしたほうがいいのかもしれないんですけど、その5トンという量で技術開発にどれだけ貢献できるのかというのと、あと、最終的に実証販売を目指すということですが、これはいつ頃、どういった形で目指されるのかというのをお伺いしたいんですが。
福本環境局長:
私のほうから数字の根拠のほうを簡単に御説明いたします。
実は、今回のこのプロジェクトに先立ちまして、コープこうべ様、それからダイエー様で、それぞれ各1店舗で先行的な試験回収を行っておりました。実施は6月末からやっておるわけなんですけども、今まで約2か月間を経過しまして、合計で約9キロ、枚数にしまして約500枚集まったところでございます。こういった先行事例を参考にして、それから、他の似たような類似事例なんかも考慮いたしまして、今回の目標数値を設定したということでございます。
花王担当者:
先ほどの石川先生からも日本で5万トンというような数字がありましたけども、神戸市民100万人を超えますので、それからすると500トンぐらいが神戸で大体使われている量になるかと思います。その1%が5トンということで。他地域での回収に参加できるエリアに限って言いますと、5%前後御参加いただけるということもありまして、初年度、回収店舗も75店舗ということも含めまして、5トンぐらい集まってくればというふうに思っています。
それから、実験に使える量としては、和歌山のプラントがそれほど大規模ではございませんで、年間10トンから20トンぐらいを実験サンプルとして今は使いたいというところが我々のニーズであります。そのうちの5トンが賄えれば、あるいはそれ以上集まれば、我々としては技術の進歩が進むということで、ぜひ神戸市民の皆様にはどんどん出していただきたいということで、これからも呼びかけて、回収量が足りなければ、PRをしていくということを続けていく必要があると考えております。
記者:
実際に水平リサイクルできるというか、商品として開発するのはいつ頃で、どのような形になるんでしょうか。
花王担当者:
現在、プロトタイプとしては、後ろに飾ってあるとおりあるんですけども、まだ品質面で、例えばお手元で、落として割れたりとか、あるいは中身に影響ないかというところは、品質の確認をこれから十分にしないと皆さんに御迷惑をかけるということでその検討と、それから、設備を造っていかなければ大規模にはリサイクルできないということでありますので、そういったビジネスに変えるところの課題の解決に2年ぐらいかかるというふうに思っていまして、最初の商品が2023年に出せたらということで、今、検討を進めております。花王としては23年というところを目指しているところですけども、他社さんは他社さんの品質の考え方もございますので、そういった技術や品質面の課題なんかも今回共有しながら、ほかのメーカーさんと一緒に商品にできる日を目指していきたいというふうに考えております。
記者:
開発された商品というのは、リサイクルした商品というのは分かるような形で販売されるんでしょうか。
花王担当者:
そうですね。こちらは私で答えてよろしいか分かりませんけども、やはり、リサイクルされたものが市民の皆さんにとって価値あるものというふうに感じていただければというふうに思っておりまして、しかも、最初の製品というのは、かなり原価としては高くなってしまうと思います。普通のマージンの、新しいプラスチックを使うよりも、今回使うリサイクルというのが、規模も小さいということもあって、かなり高い価格にならざるを得ないというふうに思っています。その中で、こういったリサイクルの価値を皆さんに感じていただいて、いいものだということで受け入れられればというふうに思っております。
記者:
メーカーの方にお伺いするのがいいのではないかと思うんですが、先ほどもちらっとお話が出ていましたが、リサイクルをして作った製品のコストというのを考えたときに、どれぐらいの量を回収すれば現行と同じものぐらいまで値段が下がるのかとか、そういった見通しってあるんでしょうか。よろしくお願いいたします。
花王担当者:
やはり、これまでペットボトルの業界等を見ていますと、1,000トン、1万トンという規模になってきて、ようやくビジネスとして、普通の石油由来のものと対抗できるようなコストに下がっていくというふうに聞いております。花王とライオンでは、昨年、1万トンを目指そうという目標を立てているんですけども、やはり5万トンのうち1万トン、2割ぐらい回収できるようになってくればビジネスとしても自然に回るようになってくるんじゃないかなと思っておりまして、そういったところまで目指していくということが1つ目標としてはございます。
記者:
それは神戸の規模に引き直すとどれぐらいの量になるんですか。
花王担当者:
神戸が500トンぐらい行っていますので、神戸で100トン回収できる規模になってくると、全国で拡大すると2割ということになりますので、そのぐらい浸透していくということが1つの目標かなというふうに思います。
記者:
ただ、今回はあくまでも技術開発なんかというのが念頭にあるので、まずは5トンからというのが目標になっているということなわけですね。
花王担当者:
おっしゃるとおりです。
記者:
ありがとうございます。
あと、すみません、これはあれなんですかね、具体的なロジについてお伺いすることはできるんでしょうか。何か、先ほど六甲のほうに集約してみたいな話が出てたわけですが、どのぐらいのタイミングでどれぐらい集まって、それは誰が回収してみたいな、そういった役割、その辺の役割を。
アミタ担当者:
私のほうから全体のロジに関して御説明させていただきます。
今回、75店舗を、回収ボックスを設置していますけれども、そちらからまず月1回、月末ぐらいに1つでも入っていれば回収をします。それをまず店舗の方が店頭から袋を回収していただいて、今回はコープこうべ様と、あとはウエルシア様に関しましては、自社便であるとか、そういったもので1つの収集センター、配送センターに集約していただきます。それから、ダイエー様であるとか、あとは光洋様に関しましては、大栄環境さんが直接店舗に伺って回収をしていくという形で、今回、大栄環境様が中心に回収を毎月月末ぐらいにしていくという形にしています。
回収したものに関しましては、先ほども話がありましたように六甲のリサイクルセンターに集約をしまして、それぞれ75袋ぐらい集まるわけですけれども、それを店舗ごとに重量を測ったりだとか、あとはメーカーさんごとに分別をして計量していくというところで、毎月ごとの重量を計測しながら大体のトレンドを見ていこうかなということをしております。
あと、定期的に現場で品評会みたいなことをやろうかなと考えておりまして、そこにメーカー様とかリサイクラーの皆さんを集めて、それで研究開発としてどう進めていくのか、先ほどオオセドさんがおっしゃったような形でビジネス化も含めて皆さんで議論していくと、そういったところを皆さんで進めていきたいと考えております。
一旦、以上でよろしいでしょうか。
記者:
ありがとうございます。
それとあと、これは神戸市のほうにお伺いしたほうがいいのか分からないですが、このプロジェクトの当面のゴールみたいなものは何か設定されているんでしょうか。
福本環境局長:
まず、この仕組みといいますか、リサイクルループはずっと維持していかないといけないものだと思っています。ただ、今のこのメンバーで、一応の目標といいますか、そういったものは立てないといけないと思っていますので、一定のめどを考えますと、2023年というのを1つの目安として、それなりの実績といいますか、成果を求めていくというふうに考えております。
記者:
取りあえず2年半ぐらいやって、それで、どういった成果が出たのかとか、どれぐらい回収できた量が変化したのかといったことを見極めつつ、今後の展開、それから後の展開を考えようと、こういうことでよろしいでしょうか。
福本環境局長:
基本的にはそういうことで結構なんですけど、我々としては、この事業を、PDCAというのをしっかり回しながら、皆さんで情報を共有して、課題を共有して、それでどんどん発展させていく、実用化に向けて、目標に向けて取り組んでいくという考えでございますので、その中でしっかりと考えていきたいなと思っております。
記者:
ありがとうございます。
記者:
ちょっとどなたに伺うか分からないんですけども、要は、今回の試みというのは、全国に先駆けたというふうにありますけども、詰め替えパックの収集自体はいろんなところで試みはあるかと思うんですけど、どの部分が全国初の試みなのか、ちょっとその点を教えていただけますでしょうか。
福本環境局長:
全国初ということを強調するというよりも、まず、今回の試みの一番は、行政が前面に出たということが1つあります。行政が出たからって何が違うんだということなんですけども、行政が前面に出ることによって本当に大きな企業のグループを構築することができた、これが一番大きいと思っています。特にその思いといいますか、共通のフィロソフィーを持つメンバーがループの中に入ってくる。
どうしてもこの事業というのは、先ほどコストの話も出ましたけども、メーカーさんだけが何ぼ頑張ってもなかなかコストというのは削減できないわけです。実際には、回収にも物すごいお金がかかります、選別とか、我々、日頃、ごみの処理をしておりますと、皆さんが出された後というのは物すごいお金がかかるわけなんです。見えないところにたくさんのお金がかかっています。その部分、収集、回収、処理、選別、保管、こういったものを一つ一つしっかりと検証しないと、全体のコストというのは当然なかなか下がってこないわけなんですね。実用化につながらないわけなんです。
そういった意味で、今回の事業というのは、神戸市が旗振り役になりまして、多くの同じ思いを持っている企業さんに参画していただきまして、このスキームを情報を共有して全体最適を目指していく、こういう大きな仕組みをつくったという意味で、これは日本でも初めてじゃないかと、そういう思いでございます。
記者:
そもそもの質問になるかもしれないんですけど、これはどちらにお答えいただくかあれなんですが、今回、詰め替えパックの、消費者の立場からすると、ボトルで買うよりこっちのほうがよさそうだということで購入していたんですが、実はいろいろ複層になっていてリサイクルが難しいものだというのは今日分かったんですが、そもそもなぜそういうリサイクルしにくい構造になるのかをちょっと教えていただきたいのと、先ほどのお話を聞くと、洗うのがとても大切なのかなと思ったんですが、消費者の立場として、出すときにこういうふうにして出してくださいというお願いというか、ポイントがあれば、教えていただければなと思います。
福本環境局長:
ありがとうございます。消費者の皆様には、どうしても品質を上げる意味では一定のお願いをせざるを得ないんだと思っています。先ほども御説明しましたけども、上のところにいろんなものがついていますから、まずパックを切って、中を水洗いして、乾燥させて出していただくと、そういうお手間も取らせますので、今回は、出していただいた方、御協力いただいた方にポイントという形で付与させていただきたいなと考えております。
ちょっと技術的なことにつきましては、担当を替わります。
花王担当者:
なぜリサイクルしにくい構造になっているかということなんですけども、例えば光を防ぐとか、空気の酸化の影響とかそういったことを防ぐ、それから湿度、こういったものも防ぐというような機能を薄いフィルムの中で実現しなければならないということで、それに向いた素材を複数積層して使っているというのが、複合素材になっている理由になります。
ただ、本当にこれはリサイクルしにくいのかということを、それだけ確かめたリサイクル屋さんというのはほぼいないと思います。やっている中で、例えばアルミ箔が影響しているんじゃないかということをおっしゃるリサイクラーさんはいるんですけども、それだけやっているところは多分これまでなかったのかなと思います。
今回、パイロットプラントも置いて、そこで実際にリサイクルをしてみて、一体何が課題なのかということが、今回、メーカー10社には共有できるということで、その中で、課題を解決するためにはこういった素材はこういうふうに置き換えていこうというような話ができてくるんじゃないかなと期待しておりまして、それは今回のプロジェクトの目的でもございます。
記者:
神戸市の御担当の方に伺うのがいいかと思うんですけれども、今、まず市内75店舗で実証していくということですけれども、今後、この回収ボックスを出す場所、規模を増やしたりだとか、そういった御予定はありますでしょうか。
福本環境局長:
まず、すぐにこうしますというところまではないんですが、大きな方向といたしましては、リサイクルループというループを、太く、強くするということは本当に大切なことだと思っていますので、私たちのこの取組、考え方に協賛していただける方につきましてはどんどん参加していただきたい、そういう意味で今後も進めていきたいと考えております。
記者:
ありがとうございます。
記者:
これ、恐らくメーカーさんは、多分、花王さんなのかなと思うんですけど、2023年というお話が出まして、そこに向けて1つの成果をということなんですが、技術的課題があるので、いかに複層構造のものをどういうふうにリサイクルするかというのが課題だということなんですが、この課題を越えるに当たって、一定の、使える技術であるとか、これを応用すればこういうふうに解決できるんじゃないかとか、ある程度の何かめどというか、ゴールのイメージがあって、今、取り組まれていることなのか、それとも、一からスタートというか、技術的な課題、難題のレベルはどの程度なのかというのを知りたいんですが。
花王担当者:
2023年に向けてということで、ある程度できそうというめどはやはりあって、今、お声をかけているところです。
ただ、やはりまだ小さいスケールで実験をしているような段階ですので、これが、10トン、20トン、100トン、1,000トンとなってきたときに、本当にビジネスとして採算に乗るレベルでリサイクルできるかというところが1つ課題になると思います。お金をかければできるということであっても、ビジネスとして本当に成立するかというところはまた次の課題として出てくると思いますので、それと、コストダウンとか品質をどこまで高められるかというところも、今後、めどが立ててもずっと継続的にやらなきゃいけないところかと思っております。
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