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神戸市の外来カミキリムシ対策について

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記者資料提供(2023年6月29日)
環境局自然環境課

クビアカツヤカミキリとツヤハダゴマダラカミキリは、近年新たに神戸市内で確認された侵入初期の外来昆虫です。これらは幼虫が樹木を食い荒らし、被害が進むと多くの樹木が枯死する可能性があります。また、7月から8月にかけて成虫が多く発生し、市民のみなさんが目撃する機会が増えます。

神戸市では現地調査や市民参加型の生物調査、また様々な駆除対策を積極的に実施し、市内根絶を目標に取り組みを進めていきます。

クビアカツヤカミキリとは

中国やモンゴル、朝鮮半島、ベトナム等が原産地で、2018年1月に特定外来生物に指定されました。名前のとおり首(胸部)が赤色、他は光沢のある黒色の体が特徴です。
成虫は5月末~8月頃に出現し、メスは1匹あたり生涯で最大1000個産卵します。幼虫期の2年間を樹木の中で過ごした後、蛹化します。
成虫はサクラ、ウメ、モモ等のバラ科樹木の樹皮の割れ目に産卵し、孵化した幼虫はこれらの樹木の内部を食害しながら成長しますが、この時にかりんとう状のフラス(糞と木くずの混合物)を大量に排出します。食害が進むと樹木を枯死させるため、桜並木等への被害が懸念されています。

幼虫は樹木内で越冬するため、冬期に被害木の伐採・焼却等処分することが最も有効な対策です。サクラ等は日本人にとって馴染み深い樹木であり、心理面や景観等の問題から伐採することが困難なことがあり、その場合は、農薬を樹幹に注入して幼虫を駆除する方法が取られます。

2012年に愛知県で確認されて以降、埼玉県、群馬県、東京都、大阪府、徳島県、栃木県、奈良県、三重県、茨城県、和歌山県、神奈川県、兵庫県(明石市、芦屋市、神戸市)の13都府県で確認されています。神戸市では、2022年7月に初めて北区鈴蘭台地区で成虫を、2022年11月には幼虫(フラス)を確認しました。また、2023年4月には西区岩岡町で幼虫(フラス)を確認しました。フラスを確認した被害木については、農薬の樹幹注入、フラスの出ている穴への農薬注入、ネット巻等の対策を実施しています。

今年度の対策(予定を含む)

分布域・生息状況の調査

ホームページや広報誌で、広く市民にその目撃情報の提供を呼びかけるとともに、「バイオーム」を活用した市民参加型の調査(後述)を実施し、生息状況の把握に努めています。

現地調査の実施、疑いのあるフラスのDNA検査の実施

市民等から情報提供があれば、速やかに現地調査を実施し、クビアカツヤカミキリの疑いのあるフラスが確認された場合は、DNA検査により確認しています。

専門家の指導による対策の実施

クビアカツヤカミキリの生息が確認された場合は、サクラ等が植えられている場所の管理者・地権者の協力のもと、専門家の指導により、適切な対策を実施します。具体的には、①被害の著しい樹木の伐採・焼却等処分、②農薬の樹幹注入、③フラスの出ている孔への農薬注入、④樹皮を剥ぎ、幼虫を取り出して駆除、⑤成虫が拡散しないようにネットを巻く等の対策を実施します。
クビアカ

ツヤハダゴマダラカミキリとは

中国、朝鮮半島が原産地で、日本固有のゴマダラカミキリと形態が酷似しています。成虫は6月~9月に発生し、市内では7月上旬頃が出現のピークと推定しています。メス1匹あたり生涯で40~60個産卵します。
カエデ属、トチノキ属、ニレ属等幅広い樹木を食樹しますが、市内ではアキニレを好んで食害しています。なお、人体への被害は報告されていません。

2002年に横浜市で確認され2004年までに駆除されましたが、その後2021年以降に宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、長野県、富山県、愛知県、兵庫県(神戸市)、山口県の10県で確認されています。神戸市では、2021年7月に六甲アイランドで成虫の発生や被害状況を確認しており、現時点では六甲アイランドに限定的に分布していると考えられます。
幼虫は樹木の中で越冬するため、冬期に樹木を伐採し、焼却等処分することが最も有効な対策です。

現在、環境省がツヤハダゴマダラカミキリの特定外来生物の新規指定に向けたパブリックコメントを実施しており、2023年秋頃に特定外来生物に指定される予定です。

今年度の対策(予定を含む)

樹木の被害状況調査の実施及び被害の著しい樹木の伐採・焼却等処分

秋季以降にアキニレの被害状況調査を実施し、その結果を基に特に被害が著しいアキニレを冬期に伐採・焼却等処分する予定です。
これまでも、2022年1月~2月に429本、2023年3月~5月に93本の伐採・焼却等処分を行っています。

カミキリポストの設置

2023年6月1日~8月31日の期間、地域団体の協力を得て六甲アイランド情報・交流センターにカミキリポストを設置しています。
設置期間に市民が捕獲したツヤハダゴマダラカミキリを市が回収・処分します。昨年度は162匹(オス73匹、メス89匹)を回収・処分しました。

分布域・生息状況等の調査の実施

現在、「バイオーム」を活用した市民参加型の調査を実施しています(後述)。
ツヤハダ
miwakekata

「バイオーム」を活用した市民参加型の生物調査の実施

スマートフォンアプリ「バイオーム」とは

株式会社バイオームが開発・運営している無料のスマートフォンアプリで、生きものの写真を撮影することにより、独自のAIが種を判定します。生きものに詳しくない方でも気軽に生物を調べることができます。図鑑機能もあり、撮影した生きものの情報をその場で調べることも可能です。
「バイオーム」にはクエストというイベント機能があり、楽しみながら生物調査に参加いただくことができます。

昨年度もクエストを活用した市民参加型の生物調査を実施し、57件のツヤハダゴマダラカミキリの投稿があり、54件は六甲アイランド内、3件は東灘区内陸部からの投稿でした。東灘区内陸部で投稿のあった3件について現場確認を実施しましたが、成虫、被害木は確認されませんでした。
この結果から、ツヤハダゴマダラカミキリの分布は六甲アイランド内に留まっているものと考え、現在六甲アイランド内で集中的な対策を行っています。

市民参加型の生物調査「夏休み生きものクエスト~神戸で夏の生きものさがし~」

ツヤハダゴマダラカミキリの分布の経過観察に加え、昨年新たに確認されたクビアカツヤカミキリの市内における分布を確認するため、今年度も神戸市全域を対象として、市民参加型の生物調査を実施しています。お手持ちのスマートフォンに「バイオーム」をダウンロードの上、ご参加ください。クエストヘッダー

期間

2023年6月1日(木曜日)~2023年8月31日(木曜日)

クエストの対象種

対象の生物:15種

1神戸の外来種
①ツヤハダゴマダラカミキリ、②クビアカツヤカミキリ、③アカミミガメ、④アメリカザリガニ、⑤キマダラカメムシ

2里山の生きもの
⑥コクワガタ、⑦ヤマトタマムシ、⑧ハグロトンボ、⑨キイトトンボ⑩オニヤンマ、⑪ミンミンゼミ、⑫ニイニイゼミ、⑬ニホントカゲ、⑭トノサマガエル、⑮アカハライモリ

調査への参加方法

対象期間中に、神戸市内で対象の生きものの写真を撮影し、投稿してください。

その他

本クエストの対象期間が終了した後も「バイオーム」を利用した投稿は可能です。
昨年実施した生物調査の結果の詳細は以下の報告書をご覧ください。
夏休み!生きものクエスト結果発表(PDF:9,256KB)
バイオーム
R4バイオーム結果