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最終更新日:2020年9月24日

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大都市行財政制度に関する特別委員会行政調査報告(平成29年)

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1.日程

平成29年1月30日(月曜日)~1月31日(火曜日)

2.調査項目

  • (1)「ひろしま」ブランドの価値向上に向けた取り組みについて(広島県)
  • (2)九州観光戦略における官民一体の取り組みについて(一般社団法人九州観光推進機構)
  • (3)グローバル創業・雇用創出特区について(福岡市)
  • (4)U/Iターン促進事業について(福岡市)

3.副委員長所見

(1)「ひろしま」ブランドの価値向上に向けた取り組みについて(広島県)

広島県行政調査の様子広島県では,人口減少や少子・高齢化の影響により県内の需要及び生産人口の低下が見込まれていることから,県の活力を維持し,高めていくためには,国内外での認知・評価を高め,魅力ある地域として選ばれる「ひろしま」にしなければならないという問題意識があり,このことが本取り組みの出発点となっている。ブランディングの戦略立案にあたっては,「ひろしま」と聞いて連想するイメージの総体を「ブランド」として位置づけている。
広島県への県外からの観光客数は,平成26年度の調査では2,687万人であったのが,平成28年度の調査では2,866万人となり増加傾向にあるが,観光客数だけでなく観光消費額の増加が大変重要であるとのこと。ブランド総合研究所の調査によると,2016年の広島県の魅力度は都道府県の中では23位,広島市は市町村の中で49位と全国中位程度であり,広島県としてはこれを10位以内に,できれば毎年の順位が固定的に上位にある8位以内に入ることを目指している。
「ひろしま」のイメージを高めることで「選ばれる」地域になり,県内の地域資産の付加価値を向上させることにつなげ,地域経済を活性化し,ひいては県民が自分の地域の良さを再認識し,地域に暮らす満足度が高くなることが見込まれる。
現在の「ひろしま」のイメージとしては,宮島,原爆ドーム,お好み焼き,牡蠣,もみじ饅頭,広島東洋カープなどがあるが,いずれも地域資産が連想の中心になっており,知名度はあるが広がりが限定的で,地域の価値を表すストーリー性を感じることができない。牡蠣は夏にはなく,産業のイメージもマツダなどに限られている。広島カープの優勝は340億円の経済効果があったと言われており,新たに3,250人の雇用を生み出すほどであったが,一過性となる心配がある。
他県や他都市でイメージされるような「住みやすい」「おいしい」「おしゃれな」などの形容で暮らしや県民性に関する表現を得ることができていないことから,広島県としてはさらなる情報発信が必要であると考えている。そこで,「ひろしま」の魅力ある地域資産を,(1)自然と都市が融合した暮らし,(2)創造性あふれる次世代産業,(3)平和への希望が集う場所,(4)内海と山々が織りなす食文化,という4つのコンセプトに沿って魅力ある連想イメージを形成することによって,「選ばれる」ひろしまを目指している。
「ひろしま」ブランドの推進のために,広島県は平成24年7月に東京の銀座1丁目に広島ブランドショップ「TAU」(「たう」は広島の方言で「届く」のこと)を開設し,広島の特産物の販売やイベントを開催している。1年目の来店者数は62万人,売り上げは4.8億円であったが,平成27年度は85万人,8.9億円に順調に増加しており,特産品プロモーション件数も増えてきている。今後はさらなる情報発信を県内外で展開するため,県民投稿型サイトの構築,県外へのサポーター拡大,フェイスブックの活用などを推進していくとのことである。「ひろしま」の産物を買いたい,行ってみたい,住んでみたい,住み続けたいと思ってもらえることが,「ひろしま」ブランドのゴールである。
表記が「ひろしま」となっていることから,「広島」ではないブランドを目指しているのだと思ったが,「ヒロシマ」は被爆のイメージ,「Hiroshima」は世界への発信のイメージになるので,敢えて,地域の魅力発信を推進するための多様性を表現したいということから「ひろしま」にしたという話を伺い,ブランド発信にあたっては様々な工夫が必要と感じた。また,広島県は,瀬戸内海を共有する7県からなる観光DMOである,一般社団法人せとうち観光推進機構の事務局も担っているとのことで,ブランドの構築にあっては広域で広がりを持たせることも大切であるとの説明についても参考になった。地域の魅力発信を推進することで人々を惹き付けることの重要性は神戸市にとっても同じ課題であり,神戸市としても,現在評価されているブランド力に甘んじることなく,時代にあった発信を適切にしていかなければならないと思う。今後の神戸市からの発信の参考にしたい。

(2)九州観光戦略における官民一体の取り組みについて(九州観光推進機構)

九州観光推進機構視察の様子2003年10月,九州地方知事会と経済団体からなる九州地域戦略会議において「九州はひとつ」の理念のもと,九州の自立的かつ一体的な発展に向けた取り組みとして,九州観光戦略の策定が決議された。これを受けて2004年に九州観光戦略が取りまとめられ,2005年に戦略展開のための中核となる常設実行組織として官民協力のもと,「九州観光推進機構」が設立された。同機構は2014年に一般社団法人になった。
九州の観光振興にあたっては,九州全体で取り組んだ方が効果的・効率的なもの,九州一体でなければできないもの,利害を超えて取り組むことが求められるもの,九州というスケールメリットが生かせるものを「九州観光戦略」の中に位置づけ,民間や各県・各市町村が独自に取り組むものと互いに連携,協力,支援をしていくという形で役割分担されている。
組織の特徴としては,九州7県の枠組みを超えて,行政と経済界の連携・協力を進め,観光分野以外を含め幅広い産業界からの協力を得ていることである。常設の組織であり,構成団体から各々人材と資金の拠出を受け,民間の視点を入れた運営をしており,官民の資金比率は2:1で,事業予算は年間5億円,職員は35名の体制である。このうち官民からの出向者が33名,機構プロパーの職員が2名となっている。出向元に数年で戻る出向社員が多くベテランが育たないという問題があり,プロパー職員をこれから増やし育てていくことが課題であるとのこと。
実施してきた事業として,旅行会社・メディア向け素材説明会の全国開催や,九州各地の観光ガイドが一堂に会する研修の実施,熊本震災における安全・安心情報の発信などがある。
2013年に「九州アジア観光アイランド総合特区」が認定され,九州を東アジアの観光客が気軽に何度でも訪れる国際観光地とする国際戦略を推進し,観光立国推進に貢献することを目指している。特区認定を受けたことで,国家試験不要の特区ガイドも研修して登録することができるようになり,インバウンド会社とマッチングしながら活躍の場を広げている。また,韓国済州島で人気の「オルレ」というウォーキングプログラムを参考に「九州オルレ」を立ち上げて誘客に努めている。まだ直接的な経済効果はないが,受入態勢整備が進んできていることは,将来の受入のために大いに意味がある。
スムーズな民間企業とのタイアップが可能であることで,官民一体の取り組みとして,県境を超えたコンテンツ作りやWi-Fiなどの観光インフラ整備,国から「九州ふっこう割」旅行商品助成金180億円を受けるなど多くの事例を積み重ねており,九州観光の推進にとって大変良い効果がでていると思う。
今後は機構の戦略を各県戦略の指針へ反映し,人材育成と自主財源確保という大きな2つの「ザイ」を育てる必要があるとのことである。特に,観光消費額の増加のために,温泉という財産を活かした九州ブランドイメージをさらに高めて宿泊数増を図っていきたいとのことであった。
九州7県が広域的に連携して官民一体となって設立した機構は,県境を壁としない観光戦略の推進に大変有効に働いていると思う。しかし,各関係組織から出向してきている人材が短いローテーションで入れ替わることは,今後の組織運営にとっては大変憂慮すべき課題であることは確かで,プロパー職員が出向職員の先輩たちから多くを吸収し,さらなる展開に繋げていってこそ,機構の目指す目標が達成できていくのではないかと思う。関西広域連合でも広域的な観光の取り組みを進めようとしているが,今回の調査を参考に,さらなる発展に繋げることができればと考える。

(3)グローバル創業・雇用創出特区について(福岡市)

福岡市視察の様子福岡市では,コンパクトで住みやすい街の特徴と,人口増加による豊富な人材,世界とつながる良好なアクセスや安いビジネスコストを活かし,「スタートアップ都市ふくおか宣言」を掲げ,2014年には「グローバル創業・雇用創出特区」に認定された。特区で認められた規制・制度改革や国の施策に市の施策を組み合わせ,政策パッケージとして事業を推進している。
市の施策である「スタートアップカフェ」は,創業支援のために市が雇用する専門家を配置し,無料で相談することができ,スタートアップしたい人と応援したい人の交流の場とすべく,2014年10月に福岡市が開設した。同年11月に国が同カフェに「雇用労働相談センター」を設置し,厚生労働省に雇用されている弁護士が労働法や雇用問題などの相談にあたっている。相談件数は開設以来3,500件を超え,利用者は20代~30代が中心であるが,中には80代の方もおられ,幅広い年齢層が利用している。イベントはほぼ毎日開催されており,平成28年の11月時点で開設から781回開かれ,延べ約16,700名の参加があったとのこと。
これに加えて,2016年3月には特区の中でも全国初となる「福岡市スタートアップ人材マッチングセンター」が開設された。また,日本での創業が難しい外国人の創業を促進するため,在留資格(経営・管理)の取得要件を満たす見込みのある外国人の創業活動を特例的に認める「スタートアップビザ」の受付も開始している。事業計画等を福岡市に提出し,確認を受け,出入国在留管理庁から認定を受けて在留資格を取得するように支援する制度であり,画期的な取り組みであると考える。
「スタートアップ法人減税」も創設され,国内外から人材を呼び込むための「在留資格・雇用・法人税」のすべての規制改革が実現し,さらに起業のしやすい環境が整えられた。まだ始まったばかりであるため,減税適用の実績はないとのこと。なお,法人税は国税の減税であるため,福岡市でその実績を把握していくのが難しいとのことであった。
これらに加え,「特区プロジェクト」として,医療体制の強化,MICEの誘致,起業家による人材育成セミナー,スタートアップ奨学金,各種イベントの開催などを実施している。
福岡市の中心街である天神地区では,アジアの拠点都市としての役割・機能を高め,新たな空間と雇用を創出することを目的に「天神ビッグバンプロジェクト」を推進している。航空法の高さ制限の特例承認の獲得を機に,市の容積率緩和施策などを組み合わせ,2015年度から10年間で民間ビル30棟が建替えられることを目標に,その建設投資効果2,900億円,完了後の経済波及効果を毎年8,500億円と見込んでの大プロジェクトである。この地区には,容積率が定められる以前に建築された小規模ビルも多く,共同化の動きもある。都市計画決定までは福岡市が管轄だが,その後は民間活力で建替えが行われる予定で,市の補助金などは予定されていない。これまでにも航空法による制限については個別交渉が可能で,福岡市役所も76mで許可されているが,今後は地区全体として現在の67m規制を76mで建築できるようになった。経済団体や専門雑誌,他都市からも大いに注目されているプロジェクトである。
新しい人材を呼び込むための魅力的な支援施策は大変重要であり,神戸市としてもスタートアップオフィスを開設しているところであるが,福岡市は一歩先行している感を受けた。神戸市としては,福岡市と同じ路線を狙うのではなく,神戸市らしい施策を練り上げ,国内外に向けて発信し,優秀な人材を呼び込む必要があるのではないかと考える。

(4)U/Iターン促進事業について(福岡市)

福岡市視察の様子福岡市は,一級河川もなく,工業用水の確保ができないため,第3次産業振興を図っていくことが長年の大命題であった。そのためクリエイティブ産業の振興・集積を目的として,同産業の担い手となる開発経験者人材の集積を目的として「福岡クリエイティブキャンプ」を始めた。福岡は,災害リスク・コストが低く,優秀な新卒人材も豊富であるため,企業が進出を検討する対象にはなるが,経験者人材の確保が難しいため,最終決定に至らない場合も多かったという。また福岡の地場産業でも,首都圏でのビジネスにも慣れた経験者人材を求める声も大きかったとのこと。
2013年の東京でのU/Iターンイベントには150名の参加があったが,翌年に,市内企業で2カ月間のOJT勤務をする給与を市が負担するとしたところ,同イベントの参加者は400名となり,OJTへの参加者は15名,クリエイティブキャンプの登録企業も36社となった。しかし,移住希望者が2カ月のOJTのために今の会社を退職して参加してくることを考えると,企業側も就職を断り切れない事例が発生したため,2015年には移住転職支援という形に変更した。このときは,イベントへの500名の参加者を得て,31名が市内企業に採用決定となり,クリエイティブキャンプへの登録企業も71社へと増えた。今年度も順調に増えている。
イベントでは,市の紹介,企業の生の声,移住転職に関する講演などを実施している。フェイスブックでの福岡情報の定期的発信や,業界紙へのニュースリリースも継続的に行っている。
移住転職者からは,通勤時間も短くなり生活環境が良くなった,生活の質は上がったが給料は下がったなど,様々な感想が得られている。移住転職者は,年代については30代前半が52%を占め,前居住地については東京都からが57%を占め,経験職種についてはプログラマーが30%を占めるとのこと。移住希望者が抱える仕事の内容や生活レベルの維持等に関する迷いについて,事前のサポートに加え,移住者との交流会なども開催しながら,満足感を高められるように進めている。今後は企業との関係を構築し,企業を誘致していくことが重要だと考えているとのこと。
神戸市でも,「LIVE LOVE KOBE」など新しい移住推進施策をスタートしているが,ターゲットを絞ることによる呼び込みと,広く神戸の魅力を発信することによる呼び込みとをうまく組み合わせて,一人でも多くの人に情報が届くように工夫していくことが大切である。行政だけではなく,民間企業の理解を得て協力しながら,官民協働で進めていくべき施策だと考える。

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