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アケボノゾウ(アカシゾウ)の骨格標本

 このアケボノゾウの化石は、1987(昭和62)年10月に、西区伊川谷町井吹の造成地(現在の西区井吹東町)で、觜本(はしもと)格さんらによって、発見され、神戸市立教育研究所を中心とした神戸の自然研究グループと京都大学などのメンバーによって発掘されました。今から約200万年前の地層から、象牙や臼歯(きゅうし)をはじめ、肋骨(ろっこつ)や足の骨、頭蓋骨(ずがいこつ)の破片などが出土しており、年齢が50才〜60才の雄ゾウであると推定されています。発見当時は、「アカシゾウ」と名づけられ、新種のゾウと考えられていましたが、その後の研究の結果、1918(大正7)年に命名されたアケボノゾウと同じ種類であると考えられるため、現在では、アケボノゾウと呼んでいます。

アケボノゾウは、ステゴドン科ステゴドン属のグループに含まれるゾウで、日本固有の種です。ステゴドンとは、ギリシャ語で「屋根のような歯をもった」という意味で、ギザギザとした山と谷のような形の臼歯が特徴の一つです。

この標本の体高(肩までの高さ)は、約1.8メートル、体長は、約4メートルで、現在のインドゾウの雌ゾウと同じ位の大きさです。現在のゾウと最も異なる点は、長い牙を持っており、牙の長さは、約1.7メートルにも達します。発掘当初は、神戸市立教育研究所で保管されていましたが、1991(平成3)年9月、当センターの開館以降、1階のエントランスホールで展示しています。

アケボノゾウ骨格標本アケボノゾウ復元推定図(イラスト)
        アケボノゾウ骨格標本             アケボノゾウ復元推定図(イラスト)

アケボノゾウは、近畿地方での発見が最も多く、東は関東地方から、西は北部九州まで分布しています。今から約250万年前〜70万年前頃に生息していたと考えられています。有名なナウマンゾウ(今から約30万年前〜1万5千年前頃)やマンモスゾウ(今から約6万年前〜2万年前頃)に比べると、小型ですが、年代的には、かなり古い時代の象です。

アケボノゾウの祖先は、今から約500万年前〜300万年前頃に、中国で生息していたツダンスキーゾウや黄河象(コウガゾウ)の仲間であるミエゾウ(シンシュウゾウ)であると推定されています。 ミエゾウは、体高(肩までの高さ)が3.8メートルをこえる大型の象ですが、その後、日本が大陸から分かれて島となり、日本列島に取り残されたミエゾウが、狭い日本の環境に適応するために、小型化して、アケボノゾウとなったと考えられています。

横巻き: 参考文献

『アカシ象発掘記』 (神戸の自然19)神戸市立教育研究所・編集:昭和63年発行

『新修神戸市史 歴史編1(自然・考古)』新修神戸市史編集委員会・編集:平成元年発行          

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