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医療法に基づく医療法人徳洲会に対する行政処分(改善措置命令)の実施

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記者資料提供(2024年2月20日)
健康局保健所医務薬務課
 神戸徳洲会病院に対しては、2023年8月28日付けで、患者の安全を最優先に考えた組織的な医療安全管理体制を実現するために必要な措置を講じるよう行政指導を行いました。しかし、同年11月に是正計画の進捗状況確認のため、立入検査を実施したところ、9月に医療事故の可能性が極めて高い事例が発生し、それについて院内にて十分な検証がされないまま対応を終了したことが発覚しました。本件は、保健所に報告されていませんでした。
 また、その後の保健所の調査において、本件以外にも調査・検証が必要な死亡事例について、調査等を行っていなかったことや、他の死亡事例において、診療録(カルテ)の記載に不備があったことも判明しました。さらに、同院からの報告により、患者の看取り時において、院内での情報共有・連携や医療安全上の対応が不足していた事例も判明しました。
 指導中にも関わらず、繰り返し、医療法に違反し、医療安全管理体制に重大な不備を発生させたことから、脆弱な医療安全管理体制を早急に改善させるため、本日、神戸徳洲会病院の開設者である医療法人徳洲会に対して、医療法(以下、法とする)第24条の2第1項に基づく行政処分(改善措置命令)を行いました。

1.病院の概要

(1)開設者 医療法人徳洲会 理事長 東上 震一
(2)病院名 医療法人徳洲会 神戸徳洲会病院
(3)所在地 神戸市垂水区上高丸1丁目3番10号
(4)病院管理者 新保 雅也(院長)

2.これまでの経緯

 2023年8月28日  文書による行政指導の実施
 2023年10月18日 是正計画書の受理
 2023年11月6日  医療法に基づく立入検査
 2023年11月15日 医療法に基づく立入検査
 2023年12月22日 医療法に基づく立入検査
 2024年1月29日  医療法に基づく立入検査

3.改善措置命令の内容(概要)

【処分原因となる事実】
① 2023年9月死亡事例について

・神戸徳洲会病院(以下、同院とする)に入院していた患者Aは、一時的に高度医療機関に転院して加療された後、同院に再入院した。再入院の際、診療録(カルテ)や高度医療機関からの診療情報提供書について、医師等が十分に確認を行わなかったため、同院にて外来通院から継続されていた糖尿病治療が中断された。その後、死亡当日に極度の高血糖であることが判明した。情報伝達エラーにより、主治医が把握するまでに時間を要した。主治医は専門の医師に意見を求めずに対症療法を開始し、患者は死亡した。主治医は遺族に糖尿病治療中断に関して説明していなかった。 
・本件について、同院は、9月27日に院内医療安全調査委員会を開催した。同委員会において、職員へのヒアリング等の調査不足と指摘され、改めて同委員会を実施することが提案されたが、その後、特段の対応は取られていなかった。
・保健所が、同年11月6日の立入検査において、本事例を偶然に発見した際、院長は「対応終了し、問題ない事例」だと説明した。しかし、この立入検査後、同院は、遺族への説明、医療関係者へのヒアリング、診療録の確認等の院内調査を実施し、院内医療安全調査委員会を再開させた。

② 2023年10月死亡事例について
・入院していた患者Bに喀血(かっけつ:気道(気管・肺)からの出血)又は吐血の症状が出現した。報告を受けた当直医師は一般病棟にて夜間に気管支鏡検査を試みたが、喀痰が多く、出血元は不明のまま終了した。その後呼吸状態が悪化し、数時間後に死亡した。
・本件について同日、対応していた職員より医療安全管理者へ報告があり、同院の医療安全対策室が院内医療安全調査委員会で検証が必要と判断した。しかし、同年12月13日に保健所が指摘するまで、院長は原因究明のための調査・検証を行わなかった。

③ 2024年1月の事例について
・入院中の患者Cに対し検査の結果、回復が望めないことから昇圧薬のみ継続投与すると看取りの方針が定まった。
・昇圧薬を投与する医療機器(シリンジポンプ)の残量アラーム音が鳴っていると報告があったにも関わらず、薬剤の交換に際し、複数の職員の中で至急の意図が伝わらず、薬剤を交換出来なかった。結果として、昇圧薬の注入が途絶え、その後まもなく死亡した。
・遺族には同日に経緯を説明し、翌日に院内事故調査委員会を開催したのち、保健所へ報告した。

④ 診療録(カルテ)の未記載
・2023年9月に死亡した患者Dの診療録(カルテ)について、主治医であるE医師は同患者が死亡するまで7日間記載していなかった。
・2023年10月に死亡した患者Fの診療録(カルテ)について、主治医であるG医師は、死亡診断時の診療録(カルテ)を記載していなかった。
・これらの診療録(カルテ)の未記載については、2023年10月に同院の医療安全対策室が入院死亡患者一覧を作成した際に把握されていたが、組織として未記載を防止する対策を講じていなかった。

【改善措置命令を行う理由】
(1)保健所は、2023年8月に、同院に対して医療安全体制の不備や診療録(カルテ)の記載不備等を指摘し、原因が明らかでない死亡例があった際には、速やかに調査・検証を行うこと等を指導した。しかし、2023年9月死亡事例において、遅滞なく医療事故調査・支援センターへ報告すべきところ、主治医である院長自ら「対応終了し、問題ない事例」であるとして、保健所から指摘を受けるまで報告対象ではないとしていた。この事実は、医療事故が発生した場合、遅滞なく医療事故調査・支援センターに報告するとした法第6条の10第1項の報告義務に違反する。
(2)2023年9月死亡事例について、院内での調査・検証が必要と認識した後も、保健所が指摘するまで、原因の究明のための調査及び分析を速やかに実施せず、検証が不十分であった。また、2023年10月の死亡事例においても、速やかに原因究明のための調査・分析を行っていない。このほか、2024年1月の事例では、患者の治療において、職員間での情報共有・連携や医療安全上の対応が不足していた。これらの行為は、法第6条の12及び法施行規則第1条の11第1項の安全管理のための体制確保の措置を講ずる義務に違反する。また、このような事例が度重なることは、管理者が、医療安全体制を確保するための管理者の責務を果たせるよう、同院の職員を監督し、その他同院の管理及び運営に必要な注意をしていないからにほかならず、管理者の対応は、法第15条第1項に違反する。
(3)診療した医師は遅滞なく診療録(カルテ)に記載する義務があり、また、保健所より、診療録は必要事項を全て正確に記載し、かつ最新の内容に保つことと指導しているにもかかわらず、同院においては診療録の未記載が繰り返されている。
(4)上記のように、医療安全管理体制に関する行政指導を受けている最中であるにもかかわらず、繰り返し、医療安全管理体制に重大な不備を発生させたことは、同院の運営が著しく適正を欠くものと認められる。

【命令事項】
 開設者は、同院の適正な運営を確保するため、医療安全管理体制について抜本的な見直しを行い、2024年8月31日(土)までに、以下の改善措置を実施・完了すること。改善措置計画書については、2024年3月5日(火)までに提出すること。
 ただし、病院が行うこととされている法令上の義務については改善計画完了を待たずに速やかに履行するとともに、各医療職が行うとされている法令上の義務が履行されるよう組織として対応すること。
(1)開設者は、同院に対して患者の安全を最優先に考えた組織的な医療安全管理体制を実現するために必要な措置を抜本的に講じること。特に以下の点については、重点的に対策を講じること。
・各医療職間の専門性を十分発揮出来るよう診療情報を共有し職種間連携を確実に行い、最善の治療にあたる体制を構築すること。
・医師は、患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるとき、又はその診療において疑義があるときは他の医師の対診を求め、又は転医させるなど適切な措置を講じるなど連携体制を構築すること。
(2)医療事故(疑い含む)や医療安全に関する委員会で取り扱う必要がある問題が発生した場合の対策を実施すること。特に次の点については、重点的に対策を講じること。
・医療事故(疑いを含む)発生時の対応に関する基本方針(報告すべき事例の範囲、報告手順を含む)を明確なものにし、非常勤職員を含む職員に周知徹底の上、確実に実施すること。
・医療安全に関する委員会において、医療事故の判断、遺族への説明、院内調査、医療事故調査・支援センターへの報告について役割と責任を明確にすること。なお、管理者による医療事故の判断にあたっては、関わった医療従事者等から十分事情を聴取した上で、医療安全に関する委員会の意見を聞いた上で判断すること。
・医療事故(疑いを含む)が発生した場合、医療安全に関する委員会にて原因の究明のための調査及び分析を速やかに行うこと。また、問題点を把握し病院組織としての改善のための方策を企画立案及び実施し、実施状況を評価しこれらの情報を共有するとともに、背景要因及び根本原因を分析し検討された効果的な再発防止対策を立案し、病院内で対策を定着させること。  
(3)診療録は必要事項を全て正確に記載し、かつ最新の内容に保つようにし、組織として未記載を防止する対策を講じること。

上記のほか、以下の事項について指導する。
・2023年8月28日付け行政指導に対する是正については、是正計画書のとおり完了させること。
・医療事故(疑い含む)が発生した場合には、すみやかに本市に報告すること。
 

【根拠法令】
○医療法第6条の10(医療安全の確保)

病院、診療所又は助産所(以下この章において「病院等」という。)の管理者は、医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第六条の十五第一項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。
2 病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たつては、あらかじめ、医療事故に係る死亡した者の遺族又は医療事故に係る死産した胎児の父母その他厚生労働省令で定める者(以下この章において単に「遺族」という。)に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。ただし、遺族がないとき、又は遺族の所在が不明であるときは、この限りでない。

○医療法第6条の12(管理者の医療安全確保の責務)
病院等の管理者は、前二条に規定するもののほか、厚生労働省令で定めるところにより、医療の安全を確保するための指針の策定、従業者に対する研修の実施その他の当該病院等における医療の安全を確保するための措置を講じなければならない。

○医療法第15条第1項(管理者の監督義務)
病院又は診療所の管理者は、この法律に定める管理者の責務を果たせるよう、当該病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、その他当該病院又は診療所の管理及び運営につき、必要な注意をしなければならない。

○医療法第24条の2(改善措置命令)
都道府県知事は、病院、診療所若しくは助産所の業務が法令若しくは法令に基づく処分に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるとき(第二十三条の二又は前条第一項に規定する場合を除く。)は、この法律の施行に必要な限度において、当該病院、診療所又は助産所の開設者に対し、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2 前項の開設者が同項の規定による命令に従わないときは、都道府県知事は、当該開設者に対し、期間を定めて、その開設する病院、診療所又は助産所の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

○医療法施行規則第1条の11(管理者が確保すべき安全管理の体制)
病院等の管理者は、法第六条の十二の規定に基づき、次に掲げる安全管理のための体制を確保しなければならない(ただし、第二号については、病院、患者を入院させるための施設を有する診療所及び入所施設を有する助産所に限る。)。
一 医療に係る安全管理のための指針を整備すること。
二 医療に係る安全管理のための委員会(以下「医療安全管理委員会」という。)を設置し、次に掲げる業務その他の医療に係る安全管理のための業務を行わせること。
 イ 当該病院等において重大な問題その他医療安全管理委員会において取り扱うことが適当な問題が発生した場合における速やかな原因の究明のための調査及び分析
 ロ イの分析の結果を活用した医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策の立案及び実施並びに従業者への周知
 ハ ロの改善のための方策の実施の状況の調査及び必要に応じた当該方策の見直し
三 医療に係る安全管理のため、従業者の医療の安全に関する意識、他の従業者と相互に連携して業務を行うことについての認識、業務を安全に行うための技能の向上等を目的として、医療に係る安全管理のための基本的な事項及び具体的な方策についての職員研修を実施すること。

【参考資料】
記者資料提供(2023年8月28日)
「神戸徳洲会病院への医療安全管理体制に関する行政指導の実施」