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定例会見 2022年12月22日

最終更新日:2022年12月22日

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市長会見の模様をお伝えします。

・新型コロナウイルス感染症対策
 年末年始期間中の医療提供体制
新たな神戸市人材獲得戦略
犯罪被害者等支援の拡充

会見資料はこちら(PDF:504KB)

新型コロナウイルス感染症対策

司会:

 それでは、ただいまより12月、2回目の市長定例会見を始めさせていただきます。

 市長、よろしくお願いいたします。

久元市長:

 よろしくお願いいたします。今日、私がお話を申し上げたい案件は3件です。コロナの関係、それから新しい神戸市の人材獲得戦略につきまして御説明をいたします。3番目に、犯罪被害者等に対する支援を拡充いたします。

 最初にコロナの状況ですが、今日の発生件数が2,085件ということで、前の週に比べて微増ということになっています。全体としては増加傾向にある、これまでのような傾向が続いているというふうに言えます。現在の医療提供体制ですが、病床使用率73%ということで、高くなってきています。重症者も7名ということで、1人とか2人とかって日が続いたわけですけれども、重傷者もじわりと増えているというような状況かというふうに思います。こういう状況の中で、12月14日からは県のフェーズがフェーズⅢからフェーズⅣということに移行したことに伴いまして、受入れ可能な病床数は408床に増やしております。

 さらに病床が逼迫するということになれば、これは公的病院で臨時的に病床を拡大すると。それから、市民病院におきましては、通常医療を残念ながら制限をいたしまして、最大463床、うち重症者病床は53床確保したいというふうに考えております。

 ワクチン接種につきまして、大きな傾向は変わりません。オミクロン株対応ワクチンの接種ですね、人口を全体で26.8%ということになっております。

 年末年始の医療提供体制につきましては、神戸市独自の支援を御説明申し上げました。外来診療、それから入院を受け入れていただく医療機関に対する支援措置を設けることといたしまして、その内容につきましては御説明をしたところですが、市内の医療機関に対して、この年末年始の対応をお願いいたしましたところ、外来につきましては157の医療機関から対応していただけるという返事がありました。それから、入院につきましては31医療機関です。

 昨年度が、外来が143、入院が27でしたので、昨年以上の対応をしていただけるということで、医療機関の関係の方々に感謝を申し上げたいと思います。引き続き緊張感を持って対応をしていきます。

 東京などでインフルエンザの感染が広がっているという報道があります。神戸市では、まだそういう状況が起きてはいませんけれども、他地域でそういう傾向が見られると、神戸市もそういうインフルエンザの感染が広がってくる可能性は十分あると思いますので、引き続き緊張感を持って注意深く対応していきたいというふうに思っております。

新たな神戸市人材獲得戦略

 2番目が、神戸市の新たな人材獲得戦略です。2023年度の採用試験、つまり2024年4月1日以降に実際に神戸市に入ってくる皆さんへの採用の在り方、これが2023年度の対応ということになるわけですが、これを大きく変えたいというふうに思っております。

 やはり神戸市のような大都市が積極的な都市戦略を行っていく上で必要なのは、自治体である神戸市役所の職員の人材です。優秀な人材を獲得していかなければなりません。グローバル社会の中で、大都市が他の大都市と競い合いながら、同時にまた連携をし合いながら、その使命を達成していくためには、やはり優れた人材、具体的に言いますと、やっぱり多様な人材、そして専門的なスキルを持った人材だろうというふうに思います。

そういうような人材を獲得していく上で、昨今の社会情勢の変化、また雇用形態、民間企業における採用の変化ということをにらみながら、こういう対応を行っていきたいと思っております。

 1つは経験者採用、最近は、中途採用と呼ばれていた言葉が、経団連などの提唱によりまして経験者採用という言葉に変わりつつありますが、こういう経験者採用を大幅に拡大するということ。それに伴いまして、後で御説明しますが、年齢要件の緩和、それから通年募集を実施いたします。

それから、専門性の高い人材を獲得するという意味で、ジョブ型の管理職採用を導入いたします。そして、やはり優れた人材を獲得していくには、この公務の魅力、神戸市役所で働くということの魅力を発信しなければならない。こういうような対応を行っていきたいと思っております。

 背景にあるのは、やはり民間における採用トレンドの変化です。経験者採用の傾向が強まっております。これは経団連のアンケートを基に経済産業省が作成した資料ですが、このアンケートによれば、過去3年間のトレンドとして、ちょっと字が小さいですけれども、このブルーのほう(左側の数字)が新規一括採用、新卒を採用する、こちらのほう(右側の数字)が経験者採用です。

過去3年のトレンドを見ますと、ここが10対0、9対1、8対2というふうに、下に行けば行くほどこの経験者採用ということが多くなるわけですけれども、過去3年を見ますと、この9対1、8対2、7対3というようなところが比較的多かったわけです。これが過去のトレンドであったわけです。

 しかし、今後5年は、この新卒を重視する企業の割合が減っていきまして、7対3、あるいは6対4、5対5、こういうようなところが増えるという傾向が見られておりまして、民間企業の間では、経験者採用にシフトをしていくというようなトレンドが見られます。

こういうようなトレンドを踏まえまして、神戸市では2023年度のこの採用試験で、新卒と経験者の割合を5対5、つまり1対1にすると。半分はこの経験者採用にするという対応を行いたいと思っております。現時点では、大体150名ぐらいの採用を予定しておりますが、このうちの半分が、約75名が新卒、75名が経験者採用というふうにいたします。

 対象となるのは、神戸市の職員全体で2万1,000人おりまして、非常に多くを占めるのが教員ですけれども、対象となるのは、この2万1,000人程度の職員のうちの約7,000名、一般行政職です。総合事務、福祉、土木、建築、総合設備、農業、造園、総合科学と、こういうような多岐にわたる職種から構成されますが、一般行政職の職員全体を対象といたしまして、半分を経験者採用にしたいというふうに考えております。

 こういう経験者採用にシフトしていく上で、より経験者の皆さんが神戸市の経験者採用試験を受けやすいようにする。具体的に言いますと、第二新卒という言葉がありますが、大学などの学校を卒業いたしまして、一度就職したけれども、やはり就職をした会社などとの相性が、自分としては納得がいまひとついかないと。そういう場合に転職をする。そういう第二新卒の方々がかなり増えているという傾向も見られますので、そういう方々も、この経験者採用を受けやすくするために、現在のこの経験者採用の年齢が28歳から39歳になっていますが、これを25歳から39歳に年齢要件を引き下げるということです。

 それから、通年募集をさらに拡大をいたします。今、神戸市は年に2回、募集をしているわけですけれども、これを毎月受け付けるというふうにいたしまして、毎月受付、そして試験を年に4回実施をいたします。そして採用時期は、これは現行と同じですが、10月、それから4月にいたします。イメージといたしますと、これ1例ですけれども、3月から5月に受付けた分については、6月から7月に実施をいたしまして、8月に合格発表する。これを4回実施するということになるわけです。

 そして、もう一つは、こういう経験者採用枠を拡大するとともに、ジョブ型雇用も導入いたします。ジョブ型の雇用を管理職に、このジョブ型雇用を適用するということで特定の分野において、課長、係長級の職員をこのジョブ型雇用として任用をいたします。

 対象は、民間企業などでこの専門的な知識があり、そして、この一定のマネジメント経験があると、やはり部下を使って仕事をして、きちんと人事管理などのマネジメントができる、そういう経験があるような職員、これをそれぞれの職に応じて、課長級あるいは係長級に任用したいと思っております。

対象分野としては、やはりこれはデジタル分野です。神戸市はこのデジタル分野については積極的に、職員の外部人材の任用を行ってきました。外部人材の皆さんは、コロナへの対応、それから特別定額給付金の支給、それからワクチンの接種などでもかなり新しいアイデアを提供していただいたことがありました。

 それから法務の分野、既に弁護士の方に入ってきていただいておりますけれども、さらに、例えば民間企業で法務を担当して経験があるような方、あるいは土木、土木分野もテクノロジーが日進月歩ですから、そういうような日進月歩の土木技術に通じておられるような方、あるいは建築分野も同様の傾向があります。これは1つの例ですけれども、そういうような分野に直接入ってきていただくということです。

 これまでは、こういう職員は、ジョブ型雇用は既に行ってきておりましたけれども、大半は任期付です。任期を原則1年で更新して、例えば3年までとか5年までというふうにしておりましたし、あるいは会計年度職員でも入ってきております。これをこのジョブ型雇用では、任期の定めのない採用といたしまして、その人が希望するならば定年まで神戸市役所でしっかり働いていただくと、こういうジョブ型雇用を任命するというふうにいたします。

それから、公務の魅力を発信して、納得をしていただいた上で神戸市役所に入っていただく、また、神戸市の仕事を理解していただく方を増やす、そういう意味でインターンシップをこれまでも行ってきておりましたが、これに新しく3つのインターンシップを創設したいと思っております。

 1つは、これは学生向けですが、SDGs貢献型インターンシップであり、これはSDGsの取組みを神戸市は行っていますが、神戸市はただ単にこのSDGsという、そういうスローガンや方向性だけではなくて、具体的な取組みを随分行っています。

エネルギーの分野、あるいはリサイクル、それから里山再生、こういうような分野に積極的なパイオニア的な施策も行っていますが、そういうような職場を現実に、そこで職員の皆さんと一緒に一定の仕事もしていただく、体験をしていただく、職員と一緒にディスカッションをするというような経験、課題解決型のインターンシップを行っていただく。5日間ですよね。グループワーク、これが1つです。

 もう1つは、雇用型インターンシップ。これは3か月から4か月ぐらい、実際に会計年度任用職員として仕事をしていただくという、そういうインターンシップです。週2回程度、3か月から4か月程度のインターンシップを行っていただきます。

これは3か月から4か月ぐらい、週2回とはいえ市役所の中で職員として仕事をするわけですから、これはどんな雰囲気で仕事をしているのかとよく分かるはずです。そういうことを体感してもらって、そしてぜひ、こういう職場ならば、ぜひ神戸市役所に就職したいと、選んでいただくようにしていきたいと考えています。

 それから、3つ目のカテゴリー、これは経験者向けということなんですが、社会人1dayインターンシップということで、社会人版KOBEナビゲーターというものを新設し、そして実際に経験者採用、神戸市は既に社会人採用も行ってきておりますので、そういうような職員が、これまでの神戸市役所に入る前の経験を使って、どういうふうにこの市役所で活躍しているのかというようなことを実際にナビゲートしてもらうと。こういうようなタイプのインターンシップをつくりたいというふうに思っております。

 そこで、どうしてこういうような経験者採用というものを半分までにするのかなど、この人材獲得戦略というものをこれから展開したいと考える理由について、少しお話しをしたいと思います。

 最初はやはり民間企業の労働マーケット、労働市場の中で、転職によるスキルアップ志向ということがやはり増えて、傾向が明らかに強まっている。これは採用する側においても強まっているし、実際に雇用されている、実際に働いている皆さんの間でも強まっているということははっきりしています。

 つまり、1つの会社でこのスキルをアップするということは、もちろんそれはそれで意義があるわけですが、転職をして新しい会社、あるいは新しい世界で自分のスキルをアップさせていきたい、そこは今まで経験したことがない会社とは違う経験をする。そこで新しい成長の機会が与えられる。そういうような経験によって、自分のスキルアップをしていく。表現を変えて言うならば、成長志向ということですよね。成長志向ということが、非常に働く人々の間で広がっている、これは間違いありません。

 そういう中で、こういう転職によるスキルアップ志向ということが広がっているということであれば、ぜひそういうような志向のある方に神戸市役所の門をたたいて欲しいということが1つです。

 もう1つは、神戸市が今直面している様々な社会課題を解決していく上では、多様な人材が必要です。これは一般的に言えることですけれども、一色の同質の人材で大部分構成されるような、そういう組織というものは、やっぱりなかなか成長が見込まれないということはおよそ、これはそういう認識というのは共有されているのではないかというふうに思います。

 神戸市はここ数年、新たな都市戦略を展開する上での様々なチャレンジを行ってきました。ぜひチャレンジする、チャレンジしたいというような人材を獲得したい。そういう中で、やはり転職によるスキルアップを志向するような皆さん、そういう皆さんの中にはチャレンジできる人材、様々のタイプの人材がいるはずです。そういう方々をぜひ採用して、多様な人材を市役所の中で活躍できるようにし、そして前向きの都市戦略を展開していきたいというのが2番目の理由です。

 3番目の理由は、社会貢献への意識というものが高まってきた。それは企業の中においてもそういう意識が高まってきているということが挙げられようかと思います。相当もう前の話になるかもしれませんが、民間企業といえばそこで利益を上げると。そして、公共的な仕事は、公務職場、国や地方自治体に就職するということで、どちらかというとそういう傾向が分かれているような、そういう時代もあった。それが最近まで続いてきたのかもしれません。しかしここ数年、SDGsに対する関心が高まる中で、企業がやはり社会貢献をぜひしたいと。そして、社会貢献しているような企業が働く人たちからも選ばれる、そういう時代になってきているということが、これはもうはっきりしていると思います。

 社会貢献をするという意味で言えば、これは企業も自治体も変わるところがありません。社会貢献をしたいというふうに思って企業に入る人材が、その企業が社会貢献をしているということが事実であっても、自分が求める社会貢献のありようということと比べてみれば、ちょっと自分にはしっくりこないと、別の形で社会貢献をして自己実現を図りたい、そして成長したい、そういうような方々も間違いなく増えているはずです。そういうような人材を、経験者採用として獲得をしたいということです。

 もう1つ、これは神戸市に特有の事情かもしれませんが、神戸市にはたくさんの大学があります。卒業生はかなり流出をしていきます。ほかの地域に流出する。特に多いのは東京です。東京で神戸の出身者というのはたくさんいます。神戸で生まれ育って、神戸の大学を卒業して、東京で仕事をしている人はたくさんいます。あるいは、神戸の出身ではないけれども、神戸の大学を出て東京で就職しているという人はたくさんいます。そういう人々の中では、実際に東京で仕事をして、東京の非常に高密度な、そして緊張感の高い、また子育てがしやすいような東京生活ではなくて、自分が生まれ育った、あるいは自分が青春時代を送った神戸に戻りたいというような人々もかなり存在をしているということは、これは間違いありません。

 そういうような人材を、やはりもう1回神戸に戻ってきてもらって、そして市役所の中で、これまでの経験を生かして仕事をしてもらいたいと。そういうふうに考えるのも、追加して言えばそういう理由です。

 そういうことで、現在の社会情勢に対応するためには、これまでの新卒一括採用中心の採用を改めて、中途・経験者採用を半分ぐらいにして、採用方法を多様化するということ。それから、公務の魅力、神戸市で働く魅力をどんどん発信して、付加価値を生むインターンシップにより、神戸で働く魅力をしっかり感じていただく。こういうようなことで、多様な経験、スキル、専門性を持ってチャレンジしていくような人材を、獲得を目指していきたいと思っております。

 一般に、新卒で地方自治体を選ぶ皆さんは、安定志向だというふうに言われています。安定志向は決して否定されるべきものではありませんが、現在の神戸市が求める人材は、安定志向よりもチャレンジしようとする人材です。そういうような基本的な発想のもとに、今回、今説明いたしましたような人材獲得戦略を、2023年度に積極的に展開をしたいというふうに考えております。

犯罪被害者等支援の拡充

 3番目のテーマが、犯罪被害者等への支援の拡充です。神戸市は2013年、平成25年に犯罪被害者等支援条例を制定いたしました。これまで、犯罪被害者の会や、あるいは支援団体の皆さんの声を聞きながら、制度の拡充なども行っていきました。このたび、最近における動向などを踏まえまして、支援メニューを拡大したいというふうに考えております。

 後で制度拡充の内容を説明しますけれども、その背景としては、やはり直接的な身体的、精神的被害だけではなくて、報道や周囲の人々の言動による精神的な苦痛、心身の不調、プライバシーの侵害、こういう二次的被害に苦しめられることが少なくありません。そういうような状況の中で、さらなる支援が必要ではないかというふうに考えたところです。

 具体的に、現行制度でどんな問題があるのかというと、現在、条例(要綱)で支援の対象にしているのは死亡あるいは1か月以上の療養を要する重傷病を負った被害者というふうにしているわけです。

 しかしながら、ここで抜け落ちるのが、性犯罪被害者です。性犯罪に遭った被害者は、最近もよく報道されますように、非常に深い心身の傷を負うことがほとんどです。そういう方々が対象になっていないという問題。

 それから、より継続的な支援ということが必要になってきているということ。

 それから、緊急転居を要するような場合に素早く住居を確保するための支援強化が求められている。

 あと、裁判手続きに係る交通費助成の申請期間が実態に合わないケースが出てきているということで、一日も早く日常生活を取り戻すための被害者への支援ということを拡充したいというふうに考えたところです。

 支援の内容ですが、新たに性犯罪被害を対象といたします。性犯罪被害支援金、強制わいせつ、強制性交などの性犯罪被害を対象といたしまして、重傷病支援と同額の15万円の新たな支援金を創設いたします。

 それから、後でまた一覧表を御覧いただきたいと思いますが、現在行っております日常生活支援として、助成対象を実費の2分の1にしていたわけですが、実費額を対象といたします。ただし、上限額は引き続き設けることとしておりまして、上限額については据置きをしたいというふうに考えております。

 それから、犯罪被害が発生した後、特に性犯罪被害については多く当てはまるところですが、加害者が被害者の住所を知っているなどの理由によりまして、緊急に転居する必要があるような場合の支援金を、全国トップレベルとなる20万円に増額をいたします。

 それから、裁判手続に関する交通費助成につきましては、犯人の逮捕や裁判までに時間がかかるということを考慮いたしまして、現行の被害を知った日から2年、あるいは犯罪被害の発生から7年という要件を、裁判が終結した日から30日以内というふうに変更をいたします。これは2010年、平成22年に北区で発生いたしました高校生男子の刺殺事件の犯人が、10年以上を経過した昨年に逮捕されたという事例がありました。この事件はこの条例が制定される前のものでしたので、そもそもは対象にならないですけれども、今後はこういうような事例でも対象となるようにしたいということです。

 現在の支援メニュー一覧を御覧いただきますと、支援金としては遺族支援金、重傷病支援金に加えて、性犯罪被害支援金を新規に創設いたします。この網かけをしている家事援助費や一時保育費、あるいは教育関係の経費などについては、実費の2分の1を実費額に拡充いたします。上限額の変更はありません。

 あと、緊急転居費の費用助成につきましては20万円に拡充をいたします。こういう形で、犯罪被害に対して関係者と連携をし、被害者に寄り添う支援を神戸市としては行っていきたいと考えております。

 私からは以上です。

質疑応答(発表項目)

記者:

 経験者採用の拡大のところで、2023年、2023年度から5対5にされるということだと思うんですけど、今まで大体どのぐらいの割合だったのか教えていただけますでしょうか。

久元市長:

 神戸市は、社会人採用が経験者採用ということになるわけですが、これまでも社会人採用を行ってきておりまして、2022年度実績では6.5が新規、3.5が経験者。それから、2021年度がおおむね7対3、2020年度が8対2ということで、大分拡大をしてきました。これをもう1対1にするということですね。

 ほかの指定都市を見ますと、大半が9対1、あるいは8対2ですね。都道府県や指定都市のような大規模な自治体では、その辺が主流ではないかというふうに思いますから、神戸市が今回1対1にするということは、自治体の中では恐らくこれまでにない対応だというふうに思いますし、先ほど御覧いただいた企業の動向を見ても、かなり経験者採用にシフトした採用戦略に転換するということは、官民全体の中での位置づけとして言えるのではないかと思います。

記者:

 あと、資料を見ると、通年募集の実施というところだけに政令市初というかぎ括弧がついてるんですけども、この通年募集の実施以外の、年齢要件の緩和だったり、さっきおっしゃられた1対1のところだったり、任期を設けない管理職の採用だったり、これ、全て政令市初と言っていいんでしょうか。

久元市長:

 細かく言えば、ごく限られた職種についてジョブ型採用を設けているところもあるというふうに聞いていますから、これだけ幅広くジョブ型採用を、管理職について任期の定めのない採用としているのは政令市初というふうには言えるのではないかと思いますが、任期の定めのない管理職へのジョブ型雇用というのが例外的に存在しているので、政令市初というふうには資料には記さなかったところです。

記者:

 あと、最後に1点だけ。こういう施策を、採用制度を柔軟にすることで、より優秀な人材を取れるというお話だったと思うんですけど、今までの制度だと、なぜそういうチャレンジングな、優秀な人材を取れなかったか、その要因って何だったとお考えでしょうか。

久元市長:

 優秀な、チャレンジングな人材が取れなかったということではなくて、もちろん優秀な人材が取れていると思うんですよね。取れていると思うんですが、しかし、どこの自治体も、不特定多数の就職希望者ですよね。この就職希望者は民間企業に行くか、大学に残って研究者になるか、あるいは報道機関に就職をしたい、民間企業に就職をしたい、そういういろんな希望を持って就職活動をするわけですね。そういう中で、欲しい人材というのは、先ほど申し上げましたように、やっぱりチャレンジングな人材です。それから、もう1つは多様性です。組織の中に多様性というものを生み出していくということが、新しい政策展開や思い切った政策のアイデアが出てくるということにつながるのではないだろうかということですね。

 先ほども申し上げましたけれども、神戸市は社会人採用の職員の皆さん、それから特定のスキルを持った任期付採用の皆さん、これは若手からシニア世代の皆様までかなりいますし、外国人の職員もいますけれども、そういうようなプロパーの職員と外部人材がチームを組んで仕事をして成果が上がってきてるということは事実ですけれども、そこで成果が上がっているという事実は、やはり外部人材からもたらされた知識、経験がそのプロパー職員にも伝えられて、そして一緒にチームとして仕事をする中で成果を発揮しているというような状況が今あるとするならば、人材の多様化を図っていくという上で、経験者採用ということを、思い切って比率を、ほかの自治体や企業ではないレベルに高めるということが、今、神戸市が求められる施策を強力に推進していく上で有効、有益なのではないかというふうに考えたところです。

記者:

 今の件に関連するんですけれども、チャレンジとか多様性が必要な背景として、社会背景とか神戸市としての背景として、どんな事情があって、そういう人材が必要なんでしょうか。

久元市長:

 まず、社会全体の労働市場の動きとして、やはり経験者採用という動きが広がっていて、そこの背景には、転職によってスキルアップをしたいというような働く側の動き、それから、そういう人材を機敏に獲得して戦力アップを図りたいという雇う側の事情というのがあって、このことは恐らく自治体にも当てはまるだろうということが1つです。

 神戸市について言うならば、やはり人口減少が続いている中で、いろんなチャレンジングな政策を展開してきまして、まだまだその効果が発現するには時間がかかるかもしれませんが、やはりこの人口減少を少しでも食い止めるためには、あらゆる発想が必要ですし、あらゆる分野における新規の政策展開が必要です。それを実際に動かしていくような人材、これは多様な人材が必要で、人材の多様化というのが経験者採用を大幅に増やすという目的です。

 その背景には、この神戸が人口減少をいかに食い止めて、そして外部からも多くの方々に来てもらう。そして、神戸で卒業した学生の皆さんにも神戸で定着してもらう。外部からの移住定住も図っていく。そのために優秀な人材が欲しいということです。

記者:

 ありがとうございます。

 もう1点、専門性のある人材というところで、特に神戸市が欲しい分野とか、そういうのはあるのでしょうか。

久元市長:

 これはあくまでも事例ですけれども、デジタル分野。これは、どこの自治体もデジタル分野の人材というのは喉から手が出るぐらい欲しいです。当時はデジタルという言葉よりはむしろICTとかITと言われたんですが、神戸は1995年に地震があって、IT化にすごく遅れました。1995年という年はWindows95が発売され、インターネットが流行語になった、まさにインターネット元年と言われる年だったんです。

 そのときに、ほかの自治体や企業はどんどんネット社会への対応をしていきました。神戸は震災への対応を行うために、なかなかそこまで手が回らなかった。すごく遅れていたわけです。これを挽回するために、神戸市の関係部局には外部人材を積極的に登用してきましたが、これが成果を生みつつあります。これをより幅広く広げていくために、デジタル分野について、課長や係長級の職員を任用する。

 あるいは、それ以外に、法務分野です。法務分野というのは、さっきも申し上げましたが、弁護士の方に入っていただいて専門的なアドバイスも受けていますが、やはり、より法務に詳しい人材というのが必要です。これは事後処理だけではなくて、事前の対応ですよね。紛争をいかに予防するのかということ。それから、異なる意見が市民の間にある、企業の間にあるといったときに、そこでどう調整するのかというような問題。これは法律的な見地も加えて調整したり、紛争予防をしていくということも必要で、そこの人材はまだ外部からも欲しいというふうに考えております。

 土木建築については、先ほど申し上げたとおりです。

記者:

 犯罪被害者支援の関係で1個だけお伺いしたいんですけども、性犯罪が今まで対象になってなかったということで、入れるということなんですけども、これを入れる背景になった出来事であるとか何か市長の思いとか、その辺を伺ってもよろしいでしょうか。

久元市長:

 神戸市で何か具体的な事例があったわけではありません。

職員:

 補足をよろしいでしょか。まず1つに、ひょうご被害者支援センターという兵庫県の公安委員会が犯罪被害者の早期援助団体に指定していたところと連携を取っているんですが、センターが運営するひょうご性被害ケアセンター「よりそい」に、昨年度680件の電話相談があった。その前の年が534件、その前の年が340件ということで、年々増えているという状況がありました。

 お話を聞く中で、神戸市を見ますと平成14年に刑法犯の認知件数というのが5万895件あったんですが、それが昨年は9464件と5分の1に減っているんですが、神戸市につきましては昨年、強制わいせつ、強制性交等の性犯罪の認知件数が116件ありました。前の年も同じだけあります。全体の刑法犯認知件数が減っているのに性犯罪は高止まりを起こしている。実際にそういった声を犯罪被害者の方であるとかセンターの事務局の方、そしてまた警察であるとか、警察の性犯罪110番の件数も増えているということですので、そういった中で、少しでも支援できないかという流れの中で今回に至っております。

記者:

 今回の新卒と経験者採用の件なんですけれども、これは少子化で働く人がどんどん少なくなっていくみたいなことを見越して、経験者も採用しようみたいな意図とかもあったりされるんですか。

久元市長:

 その要因は排除されないと思いますが、主たる要因ではありません。少子化が進んで、18歳あるいは22歳前後の年齢人口そのものが減っていくということは、そこの中で優秀な人材を獲得するという競争が激化するということはあり得ると思うんですけれども、理由としては決定的なことではないと考えています。

記者:

 もう1点、経験者採用なんですけれども、こういった業種から来てほしいとか、そういったものってあったりされますか。

久元市長:

 神戸市の仕事って、物すごく多岐にわたっています。非常に仕事が多岐にわたっているのと、多岐にわたる仕事を分担して担当している職員の職種も非常に多岐にわたっているわけですから、こういうようなタイプの職種の人に来てもらいたいとかということはありません。さっき申し上げましたように、総合事務から福祉、福祉から土木建築、あらゆる分野の仕事を神戸市が担当していて、こういう幅広い分野に対して、多種多様な経験、大学などで勉強した専門分野を持った職員が懸命に頑張っているわけですから、そういう幅広い分野で、さっき申し上げたようなタイプの専門的なスキル、知識、経験を持ったチャレンジ精神のある皆さんに応募していただきたいというのが本意です。

記者:

 同じく経験者採用のところで、取り巻く社会情勢ということで、社会貢献の意識の高まりというところがあるというお話でしたけど、上の表にもあるように、転職を行った理由というところで、やはり給与を高くしたいという方がもちろん、当然ですけど、多いと思うんですけど、よりよい人材というのを獲得するという意味では、やはり待遇面といいますか、給与の面というのは物すごく大事になってくると思うんですけど、例えば、新卒、経験者を1対1で採用するという場合に、給与といいますか待遇に違いを設けるとか、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

久元市長:

 待遇は、給料表を適用する際に、給料表はこういう職種について1級とか2級とか3級を適用するということを決めていて、そしてどういう職種について、職種というか、責任の軽重に応じてどの級を適用するのかということは職務分類表で決めているわけですから、それに応じて当てはめれば、経験者採用であれ新規採用であれ、条件が同じであれば同じ号級が適用されるということになりますから、基本的には違いがないということです。経験者採用だからといって、条件が同じであれば、高い処遇を受けるということは、これはそうはならないし、これは基本的には地方公務員制度上、そういう対応になるのではないかと思います。絶対にそれができないというわけではないわけですが、基本はそういうことだと思います。

記者:

 何となく一般的な感覚でいうと、やはり転職するのであれば、今の所得を上げたいとか、そういった意識というのはもちろんあると思うんですけど、制度上というお話もありましたけど、例えば何かそういうところを少し積むようなことが可能なのかどうなのかということと、そのあたりのお考えというのはいかがでしょう。

久元市長:

 絶対に不可能ではないと思いますが、そこはやはり不公平感を生むだろうと思います。実際に今、市役所の中で働いている職員の皆さんとほぼ同じ年齢で、同じような経験を、ほぼ同じ年に大学を卒業して、同じように勉強して市役所に入って、この号級になっている。経験者採用でそんなに条件が違わないのに大幅に待遇がよくなるというのは、そこは不公平感を生むのではないかと思います。

 それと、待遇を上げるということは必要ですが、人によっては神戸市役所に就職したほうが給与が高くなるというケースもあるだろうと思います。逆に、実際に神戸市が今既に任期付で採用している民間からの転職をされた方の中には、東京でかなり名の通った企業に勤めていて、そこでもらっていた給与よりも大幅に下がった人もいるんですよ。これはやはり自治体で仕事をしてみたいというふうに思って、やっぱり自治体の仕事ってすごく恐らくやりがいがあるのではないかと思って神戸市の門を叩いて、そして数年働いていただいている方もいらっしゃいますから、やはり転職の動機というのは、確かにこのアンケートで言えば、給与をもっといい待遇を受けたいという方がたくさんおられることは事実ですが、人によって様々な事情やケースがあるのではないかなと思います。

記者:

 そうすると、特に影響はないのかなと思うんですけど、神戸市としては、基本的には人件費の削減というのを年々取り組んでいると思いますけども、今回のこの制度を導入することによって、人件費とか財源への影響というのは特にないんでしょうか。

久元市長:

 今回の人材獲得戦略、より大きいのは経験者採用ですが、それによって人件費が増えるとか減るとかということは基本的にはないだろうというふうに思います。

 ただ、大きなトレンドとしては、やはり人口減少時代の中で職員数は減らしていかざるを得ないと思います。現在の行財政改革方針でも、計画的に職員数は減らすということにしています。これについては、昨今は、むしろ日本の公務員は諸外国に比べて少な過ぎるので増やすべきだという議論もありますが、神戸市が置かれている状況を考えれば、やはり職員数は計画どおりに減らすべきだというふうに思います。

 そういう状況を考えれば、やはりいかに優秀な職員を採用するということが、少ない職員数で成果を上げるためには求められるということは間違いありませんから、そういうような意図にも沿っているというふうに申し上げていいかなと思います。

記者:

 犯罪被害者等支援についてなんですけれども、今回、性犯罪の相談が増えているということで、新たに設けるであったり、今あるものの拡充ということで、市長が今、市民だったり、こういう支援が受けられますよというふうに伝えたいことであったり、今回拡充するに当たっての思いについてお聞かせいただければ。

久元市長:

 やはりこの犯罪被害というのは、非常に予期しない形で、突然そういう出来事が起きる、犯罪に見舞われる、被害を受けるということがあります。そういうような方々に対しては、やはり自分自身の責任だという風潮をできるだけなくして、これを社会全体で支えていくということが大変重要で、これはもちろん国の制度もありますが、その方が暮らしている、その方が住んでいる自治体として、やはり考えられることはしっかりやっていきたいというふうに従来から考えてきましたし、条例もそういう形で制定をされました。そして、そういう思いで制度を拡充してきましたし、今回は、先ほど危機管理室長から説明があったように、性犯罪被害というものに対する相談が増えていて、性犯罪というのはやっぱり許してはいけないという、そして性犯罪に対してはしっかり寄り添っていこうという機運も高まっている、全国的に見ても高まっている中で、神戸市としては今回の拡充をすることにしたということです。

記者:

 採用について伺いたいんですけれども、市長は5対5にされたということですが、お話を聞いていると、もっと上を目指しているのかなという感じがしたんですけども、ここで終わりなんでしょうか、5対5が。

久元市長:

 これは、まず、これを5対5まで引き上げるというのは全国的にもほとんど例がないし、もちろん自治体の間では、それなりの規模の自治体では多分例がない話ですから、2023年度にこれをやってみてうまくいくかどうかということですが、しかし、仮にこの5対5ということで、経験者採用に物すごく優秀な人材が集まるということであれば、5対5を6対4にするとか、将来的には7対3にするとかということは、これはあり得るのではないかというふうに思います。

記者:

 じゃ、現在は取りあえず最高ランクまで引き上げて様子を見てみるということなんですね。

久元市長:

 2023年度の採用結果を見て、今度は2024年度採用試験ですよね、つまり2025年4月1日の採用においてはこれを増やすということは十分あるというふうに思っています。

記者:

 そうなってくると、多分、市長が目指す神戸市政というのは、オールスターみたいな方々で、多様な人材が、たくさん優秀なのが集まってくるとなると、やっぱり先ほど神戸新聞さんが言っていたお金の面というのがネックになってくるのではないかと思うんですけども、これは絶対に改善できないわけではないということは、必要に応じては、これは待遇面の改善というのは考えられるんでしょうか。

久元市長:

 それは、経験者採用一般について拡大するのは、これは制度的なネックというよりも、やはり職員間の公平な取扱いということから見て、ややハードルがあるのかなと思いますが、ジョブ型雇用の方ですよね、課長とか係長の分野、この分野について、神戸市としては今すぐに何かが想定されるわけじゃありませんが、非常に困難で専門的な知識を要するポストというのが存在をして、そこに通常の課長級の給料表を当てはめたときに、これでは人材が得られないというときには、これに対して特別の取扱いをするということは、これはあり得るだろうというふうに思います。

記者:

 あと、もう一つなんですけど、デジタル化というのが、各方面、喉から手が出るほど欲しいというふうにおっしゃってましたけども、市長として、今後、採用活動を待っているのではなくて、市長としてもどこかの部をつくって、ヘッドハンティングとかということも考えられるんでしょうか。

久元市長:

 経験者採用についていうと、ヘッドハンティングということはなかなかないかと思いますが、繰り返しになりますが、ジョブ型雇用については、課長とか係長についてはそういうこともあると思います。

 それから、これは任期の定めのない職としてつくってるんですけれども、任期の定めのない職として、任期付で外部人材を登用するときには、これはヘッドハンティングというのは十分あると思います。

記者:

 そうすると、今回のジョブ型の管理職に関してですけども、今回はこの制度ですけども、将来的にこれが有効になってくるとなると、市長自らだったり、幹部自らが優秀な人材を取ってくるという、すごく攻撃的な採用活動も考えられるんでしょうか。

久元市長:

 これを、例えば局長に、局長は、通常の昇進であれば50代前半ぐらいからが通常の局長になりますが、これをジョブ型雇用の任用を仮に局長でして、その前に副局長ということもあるかもしれませんが、その場合には、直接ヘッドハンティングのような方法で優秀な人材を採用するということはあるだろうと思います。

記者:

 最後に1点なんですけども、優秀な人材、局長級まで必要があれば拡大をしていく可能性があるということですけども、そうなってくると、年齢というよりも、経験だったりマネジメント力も、年功序列ではなくて、必要な人材は必要なポストに置いていくという形なんでしょうか。

久元市長:

 年功序列というのを完全に排除するということは難しいとは思うんですけれども、年功序列の要素というのを薄めて、そして、若いけれども十分経験があるという人を、若年だけれどもヘッドハンティングをして、そしてこのジョブ型雇用で局長に任命するということは将来的には十分あると思います。

記者:

 引き続き経験者採用についてお伺いしたいんですが、今回、ジョブ型で課長級もしくは係長級を採用されるということなんですが、ここで、具体的にはジョブ型の中身ということなんですが、この方々はどういったその後のキャリアパスが想定できるのかということなんですが、例えばITの分野で採用されたのであれば、ずっとITの分野なのか、あるいはほかの分野も経験して、行く行くは副市長を狙ったりできるのかということについて、その辺はどういうふうに御覧になってるでしょう。

久元市長:

 副市長を狙うかどうかは分かりませんが、ジョブ型雇用というのは、基本的に、そのポストに就いてもらって、そして、その仕事をずっとやってもらうということがジョブ型雇用ですね。ですから、課長とか係長であれば、その仕事をずっとやってもらうということが基本です。

 しかし、これは民間企業でもそうかもしれませんが、地方自治体の場合には、例えば1つの係とか、1つの課とか、その課も局に属しているわけで、チームとして仕事をしているわけですよね。ですから、その課長をずっと死ぬまでやるのではなくて、その課の課長を経験して、同種の仕事というのは、ほかの課長の仕事もあり得るわけです。そういう場合には、ジョブ型雇用で求められるスキルというのがその人に備わっていて、その同じスキルが発揮されるような別のポストというものがあるのであれば、それは何年かした後にそういうところに就いていただくということはあるかもしれません。

 同時に、副市長を狙うのかということに対して真正面からお答えする必要があるかどうかは分かりませんが、仮に、例えば国会議員の方でもそうですけど、物すごく専門的な知識を持って政治家になっている人もいるわけですよ。副市長が政治家ではないと思いますけれども。やっぱり専門的な知識を持って、より幅広い立場で、専門的な知識をしっかり根っこに持っていて、その根っこに持っている知識を基に、より幅広く活躍するということは、これは一般的に公務職場においてもそういうことは将来的にはあるのではないかなと思います。

記者:

 つまり課長級なり、係長級だとすると、そのままいくと20年くらいは神戸市役所に勤めるということが想定されるわけですが、その間に出世はできますかという意味では、できますというのが答えという。

久元市長:

 その答えはイエスです。

記者:

 それと、すみません、これ、過去にない課題に直面していて、チャレンジができる人材が欲しいというのは神戸市に限ったことではなくて、自治体、どこもそうだと思うわけですが、その中でとりわけ、そういった人材に神戸市を選んでもらう、あるいはそうした人材が神戸市に来るとこんなやりがいがありますよとか、ほかの自治体とこういうふうに違いますよというか、何か、その人たちにどういうふうに訴えていくのかということについてはどうなんでしょうか。

久元市長:

 それはその人が、例えばどういう分野の仕事に関心を持ち、どういう仕事に関心を持っているのかということにもよると思うんですが、例えば神戸市では医療産業都市を推進している。医療産業都市の仕事というのは、いわゆる一般行政職の職員が大部分を占めているわけですが、医療産業都市を推進、例えばライフサイエンスの分野とか、バイオメディカルの分野のような専門人材が神戸市でも求められているという面もあるわけです。

 ですから、そういうような分野に、このジョブ型雇用で、例えば課長とか係長で入っていただくということはあり得るのではないか。それは神戸市なりの特徴ではないかと思いますね。そういうことが、神戸市がわりとパイオニア的に取り組んでいる政策分野の中で、そういう政策をさらに前に進めていくとか、あるいはそういう分野で全く新しい軸を出してほしいという分野について、このジョブ型で課長や係長を任用していくということは、これはあり得るのではないかなと思います。

記者:

 つまり、神戸市が最先端でやってることは、意外と結構たくさんありますよというのが、何というか、売り文句といいますか。

久元市長:

 そうですね、神戸がほかの自治体にはない分野で先導的に取り組んでいる分野というのは、恐らくあると思うので、それは、さっき申し上げたところを今採用したいと思っているわけではありませんよ。1つの例示として申し上げているわけですが、神戸市としてパイオニア的な施策を推進している分野に、外部から専門的な知識やスキルや経験を持った方に入ってきていただいて、そしてプロパーの職員の皆さんと一緒にチームを組んで、前を向いて仕事をしていただく、そういう組織をつくり上げていくということが、やはり必要ではないかというふうに考えています。

記者:

 あと、すみません、最後。採用するに当たって、多様な人材が集まっている場所といえば、やっぱり東京を意識することになるかと思うんですが、東京での採用活動について何かお考えになっていることがあれば。

久元市長:

 決して東京一辺倒ではありません。1つは東京にかなり、神戸の大学を出て東京に行く人が多いですから、東京が大きなターゲットになるということは間違いありませんが、神戸の市内の企業からも市役所に入っていただくということは、当然これは期待をしたいと思います。東京で今、どういうようなマーケティングをやるのかということについては、まだ今、いいアイデアはありませんが、これはぜひ考えていきたいと思います。

 ただ、その前提として、経験者採用や、あるいはジョブ型雇用というものをどういうやり方でやっていくのか、どういう試験方法でやるのかということについては、これは研究というか、早急にこれは詰めないといけないんですよね。こういう分野については、そういうような分野に詳しい方々のアドバイスもいただきながら、試験方法ですよね、これを、もう2023年度採用試験から適用するわけですから、来年早々にはそういうようなアドバイザーの方もお願いをして、早急に試験方法を詰めると、試験方法が決まったら、今御質問があった話はその後の話ということになると思います。

記者:

 私も採用試験、採用方法のところで、5対5というのはもう決まった数字というか、例えば応募状況に応じて変えるとか、思ったより経験者が、いい人材が集まらなくて比率を変えるとか、そういったことはあるんでしょうか。

久元市長:

 採用予定人員というのは、そんなに動かすべきではないと思っています。ただ、採用予定人員に対して、若干、実際の合格者数が増減するということはあるんです。それは経験者採用についても同じです。

記者:

 分かりました。私のイメージなんですけど、市役所の仕事って、もちろんおっしゃったように、例えば健康局で働いた人が建設局に行ったりとか、結構、数年で異動されてるイメージがあるんですけど、こういった経験者で入ってきた人がですね、この仕事しかやりたくないとか、これが自分の得意な分野だということで入ってこられる人が多いかもしれないんですけど、そういう意味でちょっと、異動が停滞するとか、何か経験者の採用を増やすことのデメリットとかって考えられることはあるんでしょうか。

久元市長:

 あまりないと思いますね。それは、入ってから後の、1人1人の職員の希望を聞いて、どこに配属するのかというのは、新規採用であれ経験者採用であれ変わるところはないし、今、現に神戸市役所の中で働いている職員の皆さんにもやっていかなければいけない話なんです。

 ここ数年、人事当局のマインドも大分変わってきましたけれども、昔は、昔というか、ちょっと前まではですね、脈絡のない人事をやっていたんですよ。教育委員会にいると思ったら建設局に行く、今度は区役所の保健福祉の関係をやってるかと思ったら港湾局に行ってみたり、全く脈絡のない人事をやって、永遠の素人集団みたいな、そういうことをやってると専門的な知識も磨かれないし、非常に仕事のレベルが低くなって、そしてミスが起きたり、仕事の能率も下がるし、新しい政策も出てこないということになりますから、それは今回の人事戦略にかかわらず、やっぱり1人1人の職員が、どういうキャリアパスをつくりたいのかということをしっかり考えて、この人事をやっていかなきゃいけない。

 数年前から、職員のヒアリングを1人ずつ行って、もちろん人事ですから完全に希望に沿うわけにはいかないけれども、その人が例えば、福祉の分野で自分が活躍をしたいと、あるいは産業振興をやりたい。特に技術職の職員の皆さんには、この前も職員の皆さんにはメールを送っておきましたけど、大学で専門的な知識を極めたと、その専門的な知識をずっと追求して、その分野で自分の自己実現をしたいと思うか、あるいはその専門的な知識を生かしながらも、様々な分野で仕事をしたいと思うか、しっかりそこを聞いてですね、上司がしっかり、そういうような希望に沿った形で人事案をつくって、人事当局、行財政局と相談をしてほしいというお願いをしたところです。ですから、今の御質問については、そのことは、経験者採用の導入とは直接関係がない、一般的に当てはまることかなと思います。

記者:

 それと、先ほど取り組むべき課題ということで、人口減少対策ということも挙げられてましたけども、神戸空港とかSDGsとか、取り組む課題、たくさんあると思うんですが、特にこの経験者にここを引っ張っていってほしいとか、分野がありましたら教えてください。

久元市長:

 さっきお答えしたことなので、もう繰り返さないです。

記者:

 もう1つ、犯罪被害者支援のところなんですけど、性犯罪被害者にも支援を広げるということで、性犯罪の場合、特にその、申告するというところにもハードルが1つあるかと思うんですが、実際この支援を受けるための申込みの手続というのはどういうものになってくるんでしょうか。

職員:

 手続きのほうですけども、実際に性犯罪に遭われて、警察に被害届を出すことになろうかと思うんですけども、それで私どものほうに、被害者支援センターのほうから連絡がありましたらば、私どもで把握しているものにつきまして、警察のほうに照会をさせていただいて、間違いなく、この方がそういった被害に遭われたというチェックを入れております。また、そういった場合ではなくて、弁護士の先生方からの調書の提出がある場合は、そちらを信じるような形で、事務のほうを進めております。

 いずれにしましても、何か声を上げていただかないと、この数字に挙がってこないということになりますので、やはり隠れている件数というのは相当数あるのかなというふうに考えています。

記者:

 特にその被害を受けてから、時効ではないですけど、何年以内とか、そういった期限はあるんでしょうか。

職員:

 こちらのほう、全部、犯罪被害者等給付金を支給する国の法律があるんですけども、それに沿った形で、実際に被害を知ったときから2年以内、そして被害の発生からから7年以上たっている場合でしたらば、そちらのほうは申請期間を外れるということになります。

記者:

 度々すみません。採用のことでもう1点だけ伺いたいんですけども、既存の、今までの仕組みで採ってる新卒の方々というのは、最近、民間企業でも3年離職率がすごく高まってるとか言われてますけど、神戸市ではいかがでしょうか。どのぐらいの人が3年ぐらいで辞めていって、その割合というのはどんどん高まっているのか、下がってるのか。

久元市長:

 離職率のお話、データはありますか。

職員:

 すみません、ちょっと今、手元にデータがございませんので、大きく離職率が高まっているというようなことは特にないというふうに認識してるところでございます。

久元市長:

 データがないままに申し上げて恐縮ですけれども、副市長や局長や、あるいは人事課長をはじめ人事当局の皆さんと、人事の在り方についてはしょっちゅう議論をするんですけれども、もちろん離職者はいるんですけれども、神戸市の場合にすごく離職率が増えているということはありません。

 それともう1つは、離職をした人がいろいろと口コミを書き込むサイトがありまして、その書き込みについては私も時々見たりはしておりまして、そういうのを見ると、神戸市を離職した人が一定数いるということは間違いありません。そういう、離職した人がどういう理由で離職したのかということを、やっぱり丹念に収集して、離職者の減少につなげていくということも大事なことではないかなと思います。

記者:

 ありがとうございます。民間企業でも官庁でも、中途採用をどんどん増やしてると思うんですけども、その背景に、若い人、新卒は採っても辞めるから中途で補充するみたいな、そういう背景もあるのかなと思うんですが、そういうふうな戦略とも見れなくもないのかなと思ったんですけど、そういうことではない。

久元市長:

 それは明確に否定しておきたいと思います。離職者が増えたから、それを数で埋めんといかんという発想は全くありません。現実に大きく離職者が増えているわけではありませんし、やはり意図は、離職者を埋めるということではなくて、今回の人事戦略の特徴というか、目的とするところは、いい人材に来ていただいて、神戸市でしっかり働いていただいて、そして神戸市で自己実現をしていただいて、そして、もしも転職するとしたら、神戸市にもううんざりしたとか、こんなところで仕事をするのはこれ以上は無理ですよということではなくて、神戸市で培ったスキルをまた違う世界でさらにアップしたい、だから転職をすると。そして、できれば、その転職をしたところで、職場から、やはり神戸市のことも応援を引き続きしっかりしていただこう、神戸市の職員ともコミュニケーションを継続して、いろんなことを教えてもらいたいなと、そういうよりポジティブな転職ということに結びつくのであればそれは意味があると思いますが、不本意な離職というのは、これは経験者採用の方に限らず、神戸市の職員一般についてそういうものはなくしていかなければいけないというのが基本です。

記者:

 経験者採用で1点確認なんですけど、今回、割合を5対5にするということなんですけども、これまでが6.5対3.5とか7対3とか、これについては、比率というのは事前に明示して募集はされていたんでしょうか。

久元市長:

 要するに、一般枠がこれぐらい、社会人枠がこれぐらいという予定人員は示して試験をしているということです。

記者:

 予定人員は示してやっていると。

久元市長:

 そうです。

記者:

 去年は6.5対3.5だったのを、今回は5対5にしますよというのを明示しますよということですか。

久元市長:

 そうです。新規採用は75名程度、経験者採用は75名程度というものを明示してその募集をするということです。

質疑応答(発表項目外)

記者:

 今日、昼のニュースで一部報道があったんですけれども、阪神・淡路大震災のときの災害援護資金、県のほうも残っていた未返済分を免除するという方針のようなんですけれども、これについて市長の受け止めというか、御覧になったか分からないんですけども、伺ってもよろしいでしょうか。

久元市長:

 神戸市は大分前に免除しておりますので、この問題についてはほぼ神戸市では解決できているというふうに思っています。

記者:

 これを県も免除したということで1つ区切りかなと思うんですけれども、その辺について何か御感想とかがあれば。

久元市長:

 これはもちろん県なんですけれども、実際はほかの市、町もあったかもしれませんが、そういう問題なので、神戸市は、これは全国に先駆けてというか、災害援護資金の改正についても、私も何回か上京して関係の大臣や副大臣や政務官や局長や国会議員の先生方にお願いをしたか数え切れないぐらいの活動をしまして、法律改正もやっていただいて、特に兵庫県内の国会議員の各位には本当にお世話になって、そういう制度改正に結びつけて神戸市はやってきたので、兵庫県がそういうふうな対応をしたということについては、それはもちろん理解できるところです。

記者:

 あと、去年、市が債権放棄した分について、市の負担分があったと思うんですね。それについて国に返済を免除というか、市の負担分をなくしてほしいという要望もしていたかなと記憶では思うんですけれども、そのあたりは何か進展があったりとかありますでしょうか。

久元市長:

 すみません、最近は報告を受けておりませんが、既定の方針に基づいて事務を進めておりまして、神戸市が、どうしても国が負担をしてくれないのであれば、残額はそんなに多くないと思うんですけれども、神戸市が負担をするということはやむを得ないと思います。

記者:

 今日、定例会見としては年内が最後ということで、毎年恒例になりましたけど、今年を表す漢字一字と、それを選んだ理由について聞かせてください。

久元市長:

 すみません、ここで書くべきかもしれませんが、そういう質問があるということを聞いておりましたので、私としてはこの「飛」という字を挙げたいと思います。

 やはり今年は、神戸空港が国際化をする、2025年に国際チャーター便が就航して、2030年に定期便が神戸空港から発着をすると。神戸空港が国際空港になるわけですね。神戸空港から飛行機が様々な都市、そして海外の都市にもこれが飛ぶようになると。そして、神戸空港にもたくさんの空港から飛行機がやってくることになる。そういうことを考えれば、やはり「飛」ではないかなと。そして、このことは、神戸空港が未来に向かって飛び出すということを意味することでもあるわけですから、私は前から迷わずに「飛」ではないかなと思っておりました。

 さらに言うなら、今年はドローンの活用が大変広がって、幅広い分野に活躍されるようになり、それから、神戸市の市内あるいは神戸市の周辺の立地する企業がドローンの生産やドローンに関連する部品などにかなり参入するようになってきて、ドローンをより活用していく、そしてドローンをものづくりの中の重要な部分にしていくという動きが広がったと。

 つまり、空というものがより身近なものになって、空をうまく利用し活用するということが、私たちの生活を利便にし、あるいは経済を活性化させるということ。空というのがやはり舞台になって、そこに様々なドローンなどの飛行体が行き交うような、そういう予兆を感じられるような年ではないかな。飛ぶということが、やはり今年の1つのいろんな出来事などを象徴しているように私には感じられます。

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 今年はそういう空港のお話とか、三宮の再開発とかもいろいろスタートしたところも多くて、非常に明るい話題も多かった年なのかなという印象ですけど、来年、とはいえ、コロナ禍が4年目に入るというのと、引き続き原油高とか物価高というのも続いて、なかなか暮らしの先行きというのがまだ不安定な状況というのが続く見込みではありますけど、来年の抱負といいますか、取り組む、取り組まなければならないというふうにお考えのことについて聞かせてください。

久元市長:

 先ほども年末年始の対応も申し上げましたが、やはりコロナの感染はまだ収まる気配を見せないし、インフルエンザとの同時流行ということも、これは警戒しないといけないので、引き続きコロナ対応をしっかりやっていく。

 同時に、私たちの間には、3年近くの間に、コロナにどう対応したらいいのかという、いわゆる知見、経験というものが大分蓄積されてきた、知恵というものも大分生まれてきたということを考えれば、やはり私たちはこのコロナウイルス、厄介なウイルスがいても、私たちの平常な日常生活を守り、経済活動と両立をさせていくということが引き続き来年も非常に重要になってくるというふうに思います。

 もう1つは、そういうような対応をしていく中で、やはり格差が拡大をするということがずっとこの長い間続いているわけですから、特にコロナの感染の拡大や、あるいは物価高ということの中で厳しい状況に置かれている方々に対して、神戸市はいろんな対応をしてきましたけれども、そういうような対応をしっかりやっていかなければいけない。やはり一律に何千円配るというようなばらまきではなくて、やはり本当に必要なところに必要な支援が届くということ、そこが自治体としての知恵が求められているところだと思います。

 そういうような対応をしっかり行いながら、神戸空港の国際化も決まりましたから、神戸が中長期的にしっかりと発展していくようなインフラ整備やまちづくり、空き家・空き地対策も非常に重要ですが、そういう対応をしっかり行っていかなければいけない。そういうことを念頭に置いた予算編成を今現在行っているところで、そういう今申し上げたようなことを基本的方針として、引き続き市政運営に全力で取り組んでいきたいと思います。

記者:

 先日、王子公園の大学の公募を開始されましたけども、目指す大学像というのは掲げていますけども、市長は、その目指す大学が来るという目算とか期待とか、もしあれば教えてください。

久元市長:

 これは武田副局長(企画調整局副局長)から説明をさせていただいたとは思うんですが、これは大学の公募要領でもうたっております「王子公園周辺エリアの歴史と文化を尊重し、地域そして世界に開かれた大学」ということをイメージしております。これに沿った大学にはぜひ応募していただきたいというふうに思っておりまして、私どもとしては、こういう方針を発表したわけですから、手続きをしっかり進めていきたいと思います。

記者:

 土地を今度、賃貸とかではなくて売却されたということについては、都市計画法上は公園から外すという手続きになるので、それは公園の縮小につながるんじゃないかという指摘もあるんですけど、それについてはどう答えられますでしょうか。

久元市長:

 公園を縮小しても、大学がここに立地をするということは、これは神戸市にとっては計り知れないメリット、効果があるということですから、理解が得られるように進めていきたいというふうに思います。

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