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KIITO:〈災間スタディーズ:震災30年目の“分有”をさぐる〉#0上映会×トーク「“わたし”をひらく術としてのアート」

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記者資料提供(2023年10月18日)
産学連携推進課
神戸市の都市戦略「デザイン都市・神戸」の拠点施設である「デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)」では、社会貢献活動の活性化や創造性を育むさまざまな活動に取り組んでいます。この取り組みの⼀環として、次のとおり上映会、トークイベントを開催いたします。

top©︎KOMORI Haruka + Radio Shimokajiro

 

 デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)は、災間文化研究会と協働し、災間の社会を生き抜く術として、災厄の経験を分有するための表現の可能性をさぐるリサーチプロジェクト「災間スタディーズ:震災30年目の“分有”をさぐる」をスタートします。


 シリーズタイトルに冠された「災間」とは、「先の大災害と来る大災害の間にある社会」を意味する、社会学者の仁平典宏氏が提唱した概念です。本プロジェクトでは、常に災害が起きている社会、先の災害の傷がまだ癒えないうちにやってくる社会を考えるためのキーワードとして捉え、このシリーズを通して、恒常的な災害の渦中に生きるひとびとが生み出す表現の力を考えます。


 さまざまな災厄の“あいだ”=「災間」を生きているわたしたちは、過去の災害の記録や表現に目を凝らし、耳を澄ますことが重要なのではないか。そして、そのような態度が、過去の災害の経験を分かちもつ=「分有」する社会を考える糸口になるのではないか。「災間スタディーズ」では、阪神・淡路大震災から30年を迎えようとする2025年に向け、「災間」「分有」という2つのキーワードを軸に、震災を経験した地で行われた活動と、それによって生まれた記録や表現に光をあて、リサーチやイベントを通して、継承の糸口をさぐります。
 
 この度、プレ企画として、11月18日(土曜)に、災間スタディーズ #0上映会×トーク「“わたし”をひらく術としてのアート」を開催します。大きな災厄の渦中では、被災者という主語や被災状況によって、ひとりひとりの経験や言葉がその人のなかに抱えこまれてしまうことがあります。それらをやわらかくひらく術には、どのようなものがあるのか。そこには、災厄に限らずさまざまな境遇の人たちと“ともに生きる”ためのヒントがあるのではないでしょうか。
 本イベントでは、東日本大震災をきっかけに、福島県復興公営住宅・下神白(しもかじろ)団地を舞台行われた「ラジオ下神白」、新型コロナウイルス感染症の拡大という世界的災禍の中で開催されたコンサート「声の質問19 / 19 Vocal Questions」という2つのアートプロジェクトの記録を上映するほか、両プロジェクトのディレクターを務めたアーティスト、文筆家のアサダワタルさんを迎えたトークセッションを開催します。プログラムを通して、経験を分かちもつ術としての「表現」の可能性を紐解きます。
 
〈災間スタディーズ:震災30年目の“分有”をさぐる〉
 #0上映会×トーク
「“わたし”をひらく術としてのアート」
日時 2023年11月18日(土曜)
13時~19時
会場 デザイン・クリエイティブセンター神戸
2階 ギャラリーC
参加費

1,000円


途中入退場可、高校生以下は入場無料


※一部プログラムのみ参加も可能

定員 30名
先着順、要事前申込
申込

ウェブサイト(https://kiito.jp/)より

お申し込みください。

ゲスト アサダワタル
(アーティスト、文筆家、近畿大学文芸学部教員)
聞き手

佐藤李青

(アーツカウンシル東京プログラムオフィサー)


高森順子

(情報科学芸術大学院大学研究員、阪神大震災を記録しつづける会)


宮本匠

(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)

主催 デザイン・クリエイティブセンター神戸
災間文化研究会
協力

アートアクセスあだち 音まち千住の縁

上映、トークスケジュール

13時10分~14時20分 上映『ラジオ下神白─あのとき あのまちの音楽から いまここへ』
14時30分〜16時30分 トークセッション「“わたし”の出会いをひらく、声と音楽」
ゲスト:アサダワタル(アーティスト、文筆家、近畿大学文芸学部教員)
聞き手:佐藤李青、高森順子、宮本匠(災間文化研究会)
17時~18時50分  

上映『コロナ禍における緊急アンケートコンサート「声の質問19 /19 Vocal Questions」』

上映作品

『ラジオ下神白 あのときあのまちの音楽からいまここへ』
(監督:小森はるか/70分/2023年)
 

1©︎KOMORI Haruka + Radio Shimokajiro

 

東京電力福島第一原子力発電所事故によって、浪江・双葉・大熊・富岡町から避難してきた方々が暮らす、いわき市にある福島県復興公営住宅・下神白(しもかじろ)団地を舞台に、まちの思い出と当時の馴染み深い曲について話を聞きラジオ番組風のCDとして届けるプロジェクト「ラジオ下神白」の記録映画。

思い出の曲を演奏する「伴奏型支援バンド」の生演奏による歌声喫茶やミュージックビデオの制作など、音楽を通じた被災地支援活動をカメラが追いかけた。

 

 

『コロナ禍における緊急アンケートコンサート』
「声の質問19 / 19 Vocal Questions」』記録映像(100分/2021年)

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「声の質問」は、故寺山修司の秘書を務めた田中未知氏(作曲家)による作品『質問』(1977年)をもとに、アーティストのアサダワタル氏が東京藝術大学と連携し2020年春からはじめたコミュニケーション様式。「声」として集められた19の質問と楽曲を元に行われたコンサート「声の質問19 / 19 Vocal Questions」の記録映像。コロナ禍という未曾有の日常を、テキストではなく「声」のやりとりを通じ自分と出会い直し、共に想像するため、上映会という形で追体験の場を設けている。

ゲストプロフィール

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撮影:加藤甫

アサダワタル(アーティスト、文筆家、近畿大学文芸学部教員)

「これまでにない他者との不思議なつながりかた」をテーマに、様々な生活現場に出向き、アートプロジェクトの企画演出、作曲演奏、執筆活動を行う。展示演出に「まなざしラジオ!!」(東京芸術劇場, 2020)、コンサート演出に「声の質問19」(東京藝術大学, 2021)など。著書に『住み開き増補版』(筑摩書房)、『想起の音楽』(水曜社)など。受賞歴に、サウンドプロジェクト「SjQ++」(ドラム担当)でアルス・エレクトロニカ2013サウンドアート部門準グランプリ、CD作品「福島ソングスケイプ」(アサダワタルと下神白団地のみなさん名義)でグッドデザイン賞2022など。

災間文化研究会について

2021年7月〜12月に実施したTokyo Art Research Lab「災間の社会を生きる術(すべ/アート)を探る 災害復興へのいくつもの「かかわり」から」でのディスカッションをきっかけに活動を開始。さまざまな災厄の“あいだ”=「災間」を生きているという現在の捉えかたを立脚点として、災間の社会を生き抜く術としての文化的な営みに目を凝らし、耳を傾けることの試み。議論を交わし、実践を重ねて、“間”で動くメディアとしてのふるまいを模索する。発足時のメンバーは佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)、高森順子(情報科学芸術大学院大学研究員、阪神大震災を記録しつづける会)、宮本匠(大阪大学大学院人間科学研究科 准教授)、小川智紀(認定NPO法人STスポット横浜理事長)、田中真実(認定NPO法人STスポット横浜 理事長)。2023年5月、記憶を〈分有〉する表現にまつわるメールマガジン「分有通信」発行。bun-tsu編集部に辻並麻由が参加する。