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記者資料提供(2026年3月26日)
文化スポーツ局文化財課
文化審議会(会長 島谷 弘幸 )は、2026年3月26日(木曜)に開催の同会文化財分科会の審議・議決を経て、新たに139件の建造物が登録されます。
この結果、官報告示を経て、登録有形文化財(建造物)は14,889件となる予定です。
神戸市からは下記の「池本家住宅」6件が新たに答申され、市内の登録有形文化財(建造物)は116件となります。
1.池本家住宅主屋(いけもとけじゅうたく おもや) 1棟
所在地:神戸市西区櫨谷町福谷
建設年代等:大正時代前期、1972年(昭和47年)改修
登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
特徴・評価:明石川上流の農村集落に位置し、一時期醤油醸造販売業を行っていた主屋。敷地の北寄りに、南面して建つ二階建、入母屋造、桟瓦葺で、周囲に下屋を廻らしている。北面は西側を外に張り出す。外壁は黒漆喰塗り。東は土間、西は食い違いに4室を配している。南西の座敷は広大な庭に面し、眺望がすぐれた主屋となっている。
用語
・切妻造(きりつまづくり):切妻屋根(棟を頂点としてふたつの傾斜面が合わさっ
て三角形をつくる屋根)をもった建物の形式。
・入母屋造(いりもやづくり):屋根の基本形式の一つで、切妻造の四方に庇を付け
た形式。
・寄棟造(よせむねづくり):大棟と4つの棟をもつ屋根形式、あるいはその屋根をも
った建物形式。
・桟瓦葺(さんかわらぶき):本瓦葺の丸瓦と平瓦を一つにした桟瓦を使った葺き方。
・下屋(げや):主屋から差し出た一段低い屋根。
・漆喰塗(しっくいぬり):消石灰に砂・糊・すさ等を混ぜて水で練った材料(漆喰) を塗ったもの。
2.池本家住宅内蔵(いけもとけじゅうたく うちぐら) 1棟
所在地:神戸市西区櫨谷町福谷
建設年代等:1929年(昭和4年)、1972年(昭和47年)改修
登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
特徴・評価:
主屋の北側に位置する家財蔵。南面して建つ二階建、切妻造、平入、桟瓦葺で、北面には腰に焼き杉板を高く張っている。小屋は登梁形式で、棟木から軒まで野地板を流板に張る。窓庇の袖壁には鏝絵を飾り、通りの景観をつくる土蔵である。
用語
・家財蔵(かざいぐら):大切な家財を火災などから守るための収納専用の土蔵。
・登梁(のぼりばり):棟木から桁まで架け渡した、断面の大きな材。屋根荷重を受ける構造材。
・流板(ながしいた):屋根に縦方向に張った屋根板。
・鏝絵(こてえ):左官職人が鏝を使って描いた漆喰の絵。漆喰彫刻ともいう。
3.池本家住宅長屋及び旧炊事場(いけもとけじゅうたくながや および きゅうすいじば) 1棟
所在地:神戸市西区櫨谷町福谷
建設年代等:1929年(昭和4年)頃
登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
特徴・評価:敷地北東隅に位置する旧炊事場及び長屋。つし二階建ての物置兼居室の北西に平屋建ての旧炊事場を接続し、全体矩折平面とし、屋根は桟瓦葺。道に面した北・東側の外壁は真壁で、黒漆喰塗り、腰は竪板を高く張る。円形の虫籠窓が特徴的で、通りの景観をつくっている。
用語
・つし二階(つしにかい):江戸〜明治時代の日本の町家に見られる、天井が非常に低
い2階部分(中二階)のこと
・矩折平面(かねおりへいめん):建物の平面形状が直角(「矩(かね)」)に折れ曲がった「L字型」の平面配置。
・真壁(しんかべ):柱と柱の間に壁を作ることで柱が外から見える壁のこと、和室に多く見られる日本の伝統的な壁の納め方。
・虫籠窓(むしこまど):二階の壁面に設けられた、漆喰で塗り込められた縦格子のある窓。
4.池本家住宅外蔵(いけもとけじゅうたく そとぐら) 1棟
所在地:神戸市西区櫨谷町福谷
建設年代等:1929年(昭和4年)頃
登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
特徴・評価:主屋の東、長屋の南に続く道具蔵。二階建、切妻造、平入、桟瓦葺で、西面南寄りに戸口を設け、庇を付している。外壁は漆喰で塗り込め、腰は西は海鼠壁、東は焼き杉板を高く張る。各階板敷の一室で、小屋は登梁形式である。窓は小さく閉鎖的な外観で、敷地東面の景観を形成している土蔵。
用語
・道具蔵(どうぐぐら):生活用品、農具、商売道具などを保管する土蔵。
・海鼠壁(なまこかべ):土蔵や城、商家などの壁面に平瓦(ひらがわら)を貼り、そ の継ぎ目(目地)に漆喰(しっくい)を蒲鉾(かまぼこ)形に盛り上げて塗る、日本の伝統的な外壁様式。
5.池本家住宅車庫(旧納屋)(いけもとけじゅうたく しゃこ(きゅうなや)) 1棟
所在地:神戸市西区櫨谷町福谷
建設年代等:大正時代前期、1929年(昭和4年)・昭和時代中期改修
登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
特徴・評価:主屋の南東に位置する旧納屋。つし二階建、片入母屋造、桟瓦葺で、南西に下屋を付している。外壁は真壁で、黒漆喰仕上げとし、腰は竪板を高く張る。一階は土間、二階は板敷の一室で、小屋は太い地棟に束立としている。通りに面して円形の虫籠窓を開け、屋敷の景観を特徴づけている。
用語
・地棟(じむね):屋根の最頂部にある棟木(むなぎ)のすぐ下に平行に架けられた太い梁。
6.池本家住宅門及び塀(いけもとけじゅうたく もん および へい) 1棟
所在地:神戸市西区櫨谷町福谷
建設年代等:1974年(昭和49年)
登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
特徴・評価:敷地東面に南寄りに開く門と両脇に続く塀。門は切妻造、平入、桟瓦葺で、箱状の柱の頂部に冠木を渡し、三筋の腕木で軒桁を支持する斬新な形式になっている。塀は、花崗岩の基礎に建つ、鉄筋コンクリート造桟瓦葺で壁は内外面ともにモルタル塗り仕上げ。重厚な屋敷景観を形成する門および塀。
用語
・冠木(かぶき):門の左右の柱の上部を繋ぐ水平な横木のこと。
・腕木(うでぎ):柱から水平に突き出して屋根などを支える構造部材のこと。
4.文化財登録制度の概要
近年の国土開発、土地開発の進展、生活様式の変化等により、社会的評価を受ける間もなく、消滅の危機にさらされている多種多様かつ大量の近代の建造物を中心とする文化財建造物を後世に幅広く継承していくため、届出制と指導・助言・勧告を基本とする緩やかな保護措置を講じる制度で、従来の指定制度(重要なものを厳選し、許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの)を補完する制度です。登録有形文化財(建造物)は、50年を経過した歴史的建造物のうち、一定の評価を得たものを文化財として登録し、届出制という緩やかな規制を通じて保存が図られ、活用が促進されています。