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「都市計画や防災計画に資する、「富岳」を活用したデジタルツインシミュレーション」の社会実装に向けた取り組み

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記者資料提供(2024年1月17日)
企画調整局調整課
神戸市と株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、理化学研究所(以下、理研)計算科学研究センター(以下、R-CCS)は2023年1月17日に発表済の『「都市計画や防災計画に資する、「富岳」を活用したデジタルツインシミュレーション」の社会実装に向けた取り組みを実施』の2年目の進捗について、阪神・淡路大震災の節目となる2024年1月17日に発表します。

1.今年度の主な取り組み

今年度は、主に『交通』『防災』をテーマに、災害時の混雑状況の可視化や帰宅困難者をはじめとする避難誘導に焦点をあて、近隣の都市で災害が発生した際に、徒歩での帰宅が困難となる帰宅困難者を安全に誘導・退避させる事を主な目的とした、各種シミュレーションを行いました。その結果、一部区域で勤務される方々の移動を一定時間制限することによる効果や、帰宅困難者に対する効率的な誘導方法がわかりました。

2.災害時のシミュレーション条件および結果

神戸市の近隣の都市での災害発生時に帰宅困難者が一斉に移動することを想定し、今回は歩道幅に着目しました。実際の歩道幅をデジタル上に作成し精緻な街を再現することで、これまでよりも精度の高いシミュレーションに基づいて議論・対策を練ることが可能となりました。
<シミュレーション実施条件>
●対象エリア:ポートアイランド他一部地域を除く神戸市中央区全域
●想定災害:神戸市近隣都市での地震発生
<シミュレーションにより得られた主な結果>
(1)一斉に帰宅開始した際に混雑が発生し、群衆事故の可能性が高まる危険箇所は19箇所
(2)旧居留地エリアにおける帰宅抑制により、(1)の危険箇所を約40%減少させることが可能
(3)帰宅困難者を一時避難場所へ振り分ける際の東遊園地出入口の有効な組合せ
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3.神戸市防災計画への反映

帰宅抑制によって危険箇所が削減できるという結果を広く周知するため、神戸市は広報動画を制作し、市内大型モニターや市の防災訓練などでの上映を通じて、帰宅困難者対策の重要性を市民や事業者に平時より分かりやすく伝えます。また、神戸市の『帰宅困難者誘導マニュアル』で定める一時避難場所の東遊園地の入口出口設定に、上記結果の(3)を反映し、災害時の人々の混乱を抑えつつ円滑な誘導実現をめざします。

4.今後の展望

今回の取り組み結果及び、結果を根拠に作成した動画(動画①)をもとに、一斉帰宅抑制の意義や効果を市民や事業者に説明し、災害時の一斉帰宅抑制にご協力いただけるように働きかけます。また、ドコモの保有するモバイル空間統計®︎の人口統計データと市の保有する行政データを掛け合わせ、「富岳」を用いて複雑且つ多数のシミュレーションを行える体制を整えます。加えて、防災分野だけでなく、都市計画等の他の分野においても価値ある取り組みができないか検討し、今回の取り組みのようにシミュレーション結果を防災計画に反映させるなど、具体的な施策への寄与を通じて、EBPM(証拠に基づく政策立案)※1を実践していきます。


<動画>
① 神戸市作成市民向け動画
https://www.city.kobe.lg.jp/a46152/bosai/prevention/preparation/kitakukonnan.html
②ドコモ作成動画 
https://youtu.be/kq8tH-tSmNA
③神戸市×ドコモ×理研「デジタルツインシミュレーション」取り組み紹介動画
https://youtu.be/8PsnLxFOtMw

5.参考

プロジェクトの取り組み背景と各社の役割

ドコモは、人々の生活がより豊かになる技術の価値検証をパートナーと実施する「ライフスタイル共創ラボ※2」を推進しています。今回は、神戸市と「交通×防災」の社会課題に着目し、神戸市の再整備に合わせた快適な交通や災害に強い街づくりに向けて取り組みを進めています。理研のR-CCSは、スーパーコンピュータ「富岳」の運用主体であり、また「計算科学」の世界トップレベルの研究センターとして活動しており、「富岳」を用いたシミュレーションにより政府が進めるSociety5.0実現を加速すべく、さまざまな分野で社会実装に向けた取り組みを積極的に行っています。今回は特に兵庫県及び神戸市から支援を受けている「研究教育拠点(COE)事業※3」を活用し本取り組みを行っています。1年目は、三宮周辺地区の再整備が進む中での街の実態に応じた検証を開始しました。2年目にあたる今年度は、主に『交通』『防災』をテーマに、災害発生時に帰宅困難者が一斉に移動した場合の混雑状況の可視化や帰宅困難者をはじめとする避難誘導に焦点をあてた人流シミュレーションを実施してきました。
 
  主な役割
神戸市
  • シミュレーションを活用して、より効果的な市民や来訪者の誘導方針を検討するなど、課題解決をめざす
  • 企業や研究機関との協業による取り組みを政策検討などのエビデンスに活用する
ドコモ
  • 課題発掘から着手し、データ活用による解決策の仮説立案と検証を実施する
  • 人口推定や公共交通、地理の複数のデータを総合的に可視化・分析する
理研
  • 「富岳」を活用しシミュレーションによる最適化を実施する
  • 研究成果を都市計画などの政策検討に活用し地域に還元する

※1 EBPM(証拠に基づく政策立案):「エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング」の略称で、
   政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすること。
※2 ライフスタイル共創ラボ:NTTドコモが研究開発を行う複数の技術を活用し、人々の生活がより豊かで便利になる技術の価値検証を
   パートナーと共に行う取り組みで、2021年9月より開始している。
※3 スーパーコンピュータ「富岳」を活用し、防災・減災や創薬など地域の課題解決等に資する分野において、Society5.0社会の実現を見据えて進められる
   最先端の研究に対する助成事業。本事業により「富岳」を中核とする計算科学分野の研究教育拠点(COE)の形成と、計算科学分野の振興を図るとともに、
   事業の普及啓発を通じて地域への成果還元を促進する。

<参考記事>

  • 神戸市とドコモと理化学研究所が「都市計画や防災計画に資する、「富岳」を活用したデジタルツインシミュレーション」の社会実装に向けた取り組みを実施(2023年1月17日)
(神戸市)https://www.city.kobe.lg.jp/a93584/press/20230117.html
(ドコモ)https://www.docomo.ne.jp/info/notice/kansai/page/230117_00.html
(理研)https://www.riken.jp/pr/news/2022/20230117_1/
 
  • 神戸市とドコモの過去の事業連携協定
【第3期】神戸市とドコモが「ポスト・コロナ社会を見据えた先進技術を活用した令和の社会課題解決実践型のまちづくり」に関する事業連携協定を締結(2022年3月11日)
(ドコモ)https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2022/03/11_00.html
 
  • ドコモ
人々の生活がより豊かになる技術の価値検証をパートナーと実施する「ライフスタイル共創ラボ」を開始(2021年9月30日)
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2021/09/30_02.html

ライフスタイル共創ラボの取り組み事例(神戸市のスマートシティに関する取り組み)
http://smartcity.ad.at.nttdocomo.co.jp/project_detail26

まちの防災対策 このままでいいんだっけ?/ドコモSDGs
https://www.docomo.ne.jp/corporate/anatatodocomo/sdgs/007/
 
  • 理研・R-CCS
理研
https://www.riken.jp/

R-CCS
https://www.r-ccs.riken.jp/
https://www.r-ccs.riken.jp/about/s5-office/
 
  • 神戸市
スマートシティ
https://www.city.kobe.lg.jp/a93584/smartcity/toppage.html
神戸市公民連携ポータルサイト
https://kobeppp.jp/