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日本海側と太平洋側の降雪の違い

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2021年12月の兵庫県の天候は中旬以降、冬型の気圧配置となる日が多く、北部では雪や雨の降る日が多くなり、下旬には冬型の気圧配置が強まり、日本海側を中心に大雪となりました。

この大雪で27日には、アメダス和田山で24時間降雪量が71センチを記録し、観測史上1位の値を更新しました。このように、冬季には寒気の南下の影響により、兵庫県でも北部を中心に大雪に見舞われることがあります。

また、兵庫県の北部全域と南部の一部の地域は豪雪地帯に指定されていることから、今回は日本海側と太平洋側、それぞれの降雪の特徴を説明いたします。(この記事は、2022年2月17日に掲載しています。)

日本海側の降雪

冬になると、大陸で発達したシベリア高気圧(寒候期にシベリアやモンゴル方面に現れる優勢な高気圧)とアリューシャン低気圧(アリューシャン列島を中心にオホーツク海からアラスカ沿岸まで、北太平洋北部を東西に広く覆う停滞性の低気圧)が強まり、西高東低の冬型の気圧配置が形成されます。

この時、北寄りの冷たく乾いた季節風が吹き、この風が比較的温かな日本海をわたってくる途中で、水蒸気の補給を受けて雪を降らせる雲が発生します。さらに、雪雲が高い山を吹き上がることにより、雪雲が発達して大雪となる場合があります。

山雪型と里雪型の降雪のパターン

日本海側に雪を降らせるパターンには、山雪型と里雪型の2種類があります。

山雪と里雪は、日本海側の降雪の特徴を表現する言葉で、山間部を中心に大雪になる場合を「山雪型の大雪」、海岸や平野部を中心に大雪となる場合を「里雪型の大雪」と呼んでいます。

山雪型の大雪は、西高東低の冬型の気圧配置が強まって等圧線がほぼ南北に縦じま模様になり、気象衛星ひまわりの画像では、雪雲が北西から南東に筋状に並ぶときにおこります。このような場合、北西の強い季節風が日本列島の高い山々に吹き付け、強い上昇気流を発生させるため、山の風上側で雪雲が発達して大雪をもたらします。(下図の山雪型の天気図参照)

里雪型の大雪は、冬型の気圧配置が弱まって等圧線の間隔が広がり、上空に強い寒気が流れ込んで、大気の状態が不安定となったときに起こります。このような場合、海岸沿いで雪雲が発達し海岸や平地に大雪をもたらします。一方で、山に吹き付ける風が弱いため、山間部での雪雲の発達は顕著ではありません。(下図の里雪型の天気図参照)
 

日本海寒帯気団(JPCZ)と大雪

日本海寒帯気団収束帯(JPCZ:Japan sea Polar air mass Convergence Zone)とは、冬に日本海で、寒気の吹き出しに伴って形成される水平スケールが1,000km程度の収束帯のことで、この収束帯に伴う帯状の雲域を、「帯状雲」と呼びます。強い冬型の気圧配置や上空の寒気が流れ込む時に、この収束帯付近で対流雲が組織的に発達し、日本海側の地域では局地的に大雪となることがあります。
 
JPCZが発生する要因としては、朝鮮半島北部に位置する長白山脈(最高峰:白頭山2,744m)の存在が大きく影響しています。冬型の気圧配置が強まると、大陸から冷たい風が日本海に流れ込みますが、この冷たい風は、長白山脈によって、いったん二分されます。そして、その風下である日本海で再び合流し、収束帯(雪雲が発達しやすいライン)が形成され、雪雲が発達しやすくなります。この領域が南下し陸地にかかると、その場所では大雪となります。

JPCZの上陸地点は、気圧配置に対応して東西に移動するため、決まった位置というのはなく、東北南部から山陰までの広い範囲に影響を及ぼします。また、寒気が非常に強い場合は、風上の山地を超えてJPCZが流入することがあり、太平洋側でも大雪になることがあります。
 

太平洋側の降雪

冬型の気圧配置が崩れる2月から4月頃になると、日本付近を西から東へ通過する低気圧が多くなります。

太平洋側に雪を降らせる雪雲の多くは南の海上を東~北東に進む低気圧によってもたらされ、この低気圧を南側の沿岸部を通る低気圧という意味で「南岸低気圧」と呼び、「南岸低気圧による大雪」という表現も用いられています。低気圧自体は雨を降らせるものですが、低気圧が引き込む「寒気」によって、雨が雪となって降ってくることが多く、太平洋側の降雪の特徴です。

「南岸低気圧パターン」では気温のわずかの差により、雨になるか雪になるか、雪となっても積雪が増えるか増えないかが変わってきます。また、低気圧の北から寒気が、南から暖気が流れ込むことから、南岸を進行するときにそのコースが陸地に近いほど雨になりやすく、遠いほど雪になりやすいといわれています。(遠すぎる場合は、影響を受けにくくなります。)

南岸低気圧の大雪を予測するには、低気圧の発達度合い、進路や速度、気温の低下、湿った空気の流れ込みといった様々な気象要素を正確に予測することが重要となり、わずかな誤差が降雪量予想の大きな誤差につながることから、予報が難しい場合が多くなります。

太平洋側では雪に不慣れなこともあり、わずかな積雪でも道路の通行止めや公共交通機関の運休などが発生する可能性があります。天気予報をこまめに確認するとともに、早めの対応が可能となるよう、普段から準備をしておくことが大切です。

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