神戸市住宅3か年計画(平成10~12年度)

最終更新日:2022年4月1日

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1.計画策定の趣旨

阪神・淡路大震災は、多くの尊い命と市民生活の基盤である多くの住宅を奪うなど、神戸市内に甚大な被害をもたらしました。神戸市は、失われた住宅の復旧・復興のため、「神戸市震災復興住宅整備緊急3か年計画」(平成7~9年度)を策定し、公的住宅の早期大量供給、民間住宅再建の支援等に全力をあげて取り組んできたところです。市民・事業者との協働の成果として、すまいの復興は着実に進んでいますが、一方で、未だに応急仮設住宅等での仮住まいを余儀なくされている世帯があり、まちなかには住宅再建に至っていない更地が残るなど、残された課題も少なくありません。

同時に、高齢化・少子化の急速な進行をはじめ、世帯構成の変化、所有・利用に関する意識の変化など、住宅政策を取り巻く状況の変化には著しいものがあります。21世紀の「住」政策としては、このようなニーズの多様化に応じて、市場の機能を活用して住宅サービスを効果的に市民に提供していくことが求められており、21世紀を見据えて、新たな施策の展開に取り組んでいく必要があります。

平成10年度以降21世紀までの3か年において、こうした状況に対応し、「第4次神戸市基本計画」及び「神戸市復興計画」の部門別計画として、当該期間のすまい・まちづくりを総合的・効果的に進めるための計画として、「神戸市住宅3か年計画」(平成10~12年度)を策定しました。

また、中長期的な視点からの展望を持って施策の展開を図り、その成果をもとに、平成10~11年度に予定している住宅統計調査・住宅需要実態調査の解析結果等をふまえて、神戸市住宅基本計画の改定にも取り組みます。なお、この3か年は、復興の総仕上げの時期であるとともに、21世紀に向けての過渡期であり、めまぐるしく変化する復興の状況、社会経済情勢の中で臨機応変に対応していく必要があり、この計画では戸数等の数量計画を定めず、施策展開の枠組み及び主要な取り組みについて定めています。

2.現状と課題

(1)仮設住宅等から恒久住宅への円滑な移行

失われた住宅の早期復旧・復興のため、住宅の早期大量供給が図られているところですが、一方でまだ、平成10年2月末現在、約1万7千世帯が仮設住宅に居住しています。
10年4月募集ならびにその後の斡旋など恒久住宅への移行をきめ細かく支援していく必要があります。

(供給目処は1998年2月現在、入居決定は1997年12月現在)
神戸のすまい復興
プランの進捗状況
供給目標 供給目処 うち入居決定 うち入居済
  26,100戸 26,417戸 19,790戸 9,983戸

(2)住宅再建の支援

震災後3年間の住宅着工は、累計で11万戸を超えています。住宅建設ラッシュも峠を超えており、震災前の水準へと落ち着きつつありますが、一方で更地も多く残されています。再建の意欲を持ちながら、未だに再建に至っていないケースもあり、今後もきめ細かい支援が必要です。

住宅着工統計

(3)移行後の公営住宅等における生活支援

公共住宅等への移行が本格化してきていますが、移行後の公営住宅においては、著しい高齢化がみられます。また、福祉のニーズの高い入居者も多く、福祉施策との連帯を強め、適切に対応するとともに、安否確認、閉じこもり防止のほか、地域との交流会などのコミュニティ形成の支援を行っていく必要があります。

市営住宅の高齢化の進展状況

(4)移行後の公営住宅等における生活支援

震災後、多くのまちづくり協議会が結成され、被害の大きかった地域を中心に共同化や協調化、生活道路整備等の住宅整備とともに住宅環境整備が行われていますが、このほかにも住環境に課題を抱える地区が少なくなく、災害に強く安全で安心なまちを形成していくため、総合的な住環境整備を行っていく必要があります。

移行後の公営住宅等における生活支援
事業名 面積(ha) 地区数
住宅市街地整備総合支援事業 869.6ha 8地区
密集住宅市街地整備事業 440.0ha 11地区
震災復興土地区画整備事業 145.2ha 11地区
震災復興市街地再開発事業(市施行) 26.0ha 2地区

(5)増大する公的住宅ストック

震災後の大量供給により、公的住宅のストックが飛躍的に増大しています。市営住宅の管理戸数は、震災前の4万戸から5万5千戸に増加し、全世帯数の約10%を占めます。
今後は、これらのストックを適正に管理し、有効に活用していく必要があります。

市営住宅の世帯数に占める割合

(6)若年層の減少と人口回復の遅れ

震災後人口が約10万人減少しましたが、現在もまだ回復するには至っていません。また、年齢別に見ると、若年層の減少が目立っています。若年層を含むあらゆる世代の市民が住まい、バランスのとれた人口定着がなされるよう、活力を生み出す人口回復策を図る必要があります。

神戸市の推計人口

(7)効果的な施策展開への要請

市税収入は平成7年度を底として徐々に回復し平成10年度においてようやく震災前の水準を確保できる見込みですが、景気の先行きが一段と懸念されるなど決して楽観は許されません。震災復旧・復興事業による市債残高の急増等により財政の硬直化が進み、本市財政は、危機的な状況に置かれています。こうした状況をふまえ、住宅施策についても、より効果的に市民のニーズに対応できるように、その展開を図っていく必要があります。

神戸市の財政状況

3.基本目標

(1)「住みたいまち・住み続けたいまち・神戸」の再生へ向けたすまい・まちづくり

この3か年は、復興の第1ステージの「緊急3か年」(平成7~9年度)に続く第2ステージです。第1ステージにおける様々な問題点や教訓に学びながら、柔軟かつきめ細やかな施策展開により、すまい復興の総仕上げに向けて、残された課題の解決にあたります。

(2)21世紀を見据えた、安全・安心で快適なすまい・まちづくり

社会経済情勢の変化に伴い、すまいに関するニーズや住宅政策の果たすべき役割も大きく変化してきています。この3か年においては、震災の教訓をふまえて21世紀を展望し、従来の施策体系のうち、震災及び復興の過程において明らかになった問題点を見直すとともに、復興の取り組みから生じた新たな施策についても、必要なものについては、積極的に発展させ、中長期的な視点から新たな課題に取り組みます。

4.基本方針

(1)恒久住宅への円滑な移行

震災被災者の仮住まいでの生活も長期化してきており、恒久住宅への一日も早い円滑な移行に向けて、個々の被災者の状況に対応した、きめ細やかな支援策を講じるとともに、恒久住宅入居者が地域で安心して自立した生活を営むことができるように、新たなコミュニティ形成の支援や生活再建支援といった取り組みを行っていきます。
持家・民間借家の再建についても、より一層の支援を行っていく必要があり、個別具体の問題点の解決につながるように、多岐にわたる制度を市民が使いやすいものとしていきます。

(2)福祉等との連携

要援護者を含むすべての市民が家庭や地域で安心・安全で快適に生活できるように、在宅福祉を推進する基盤となる超高齢社会にふさわしい住宅ストックの形成を図るとともに、良好なコミュニティの形成に配慮したすまい・まちづくりを推進します。また、保健・福祉施策との連携を強化し、市民、地域のニーズに対応した、多様な居住スタイルの実現を図ります。

(3)地域特性をふまえたすまい・まちづくりの総合的展開

地域は、その位置や歴史的な成り立ち、地形、敷地、建築物、道路等の種々の構成要素の状態から、それぞれ独自の特性を持っています。すまい・まちづくりを進めていくには、住民との連携・協力のもとで、それぞれの地域特性に対応した、その地域の望ましい地域住環境像を確立し、それに応じた施策の展開を図っていく必要があります。神戸市震災復興緊急整備条例の趣旨を継承し、引き続き市民、事業者及び市の協働による復興を推進するとともに、地域住環境像の実現に向けて地域特性を活かした多面的な取り組みを行います。

(4)増大するストックの有効活用・適正なマネジメント

すまいは、くらしの基盤、まちの基盤であり、21世紀においても良好に保持された住宅ストックは、重要な都市インフラになります。住宅ストック全体の質的向上を図るため、旧来の維持管理にとどまらず、新しい発想で住宅・住宅地のあり方を考え、ストックの再生・再編からソフト面での居住サービスをも含めた幅広いマネジメントに取り組んでいきます。
また、震災後の大量供給により増大した公的住宅ストックの有効活用を図るとともに、民間住宅ストックにおいても適切な維持・管理が行われるよう支援・誘導を推進します。

(5)都市活力・魅力の創造

地域において調和のとれた人口定着がなされるように、まちの活力を創造する世代の定着を図るとともに、多様な手法による良好な住宅・住宅地の供給を促進し、「住みたいまち・住み続けたいまち・神戸」としての魅力・活力の創造に努め、神戸らしい魅力ある都市居住の実現を図ります。

5.主要な取り組み

(1)恒久住宅への円滑な移行

仮設住宅居住者等の公営住宅等への移行

公的住宅の着実な供給

震災被災者のための公的住宅の供給については、これまでに、そのほとんどで事業着手がなされていますが、1日も早い完成・入居に向け、これらの着実な供給を進めていきます。また、公営住宅等に入居する被災者で、特に所得の低い者に対しては、適切な負担となるよう家賃低減化対策を引き続き行っていきます。

募集・斡旋

10年4月下旬に公営住宅5,000戸あまりの募集を行い、さらに、8月末を目処に応急仮設住宅居住者に対する個別の入居あっせんをするなど、一日も早い恒久住宅への移行を図ります。あっせんに際しては、従前居住地等の公営住宅への入居を希望しながら郊外等の住宅へあっせんにより転居する仮設住宅居住者が将来的に希望の居住地へ住み替えできる住宅特別交換制度のほか、恒久住宅の入居待機者に対する支援制度を設けるなど、個々の被災者の状況に対応したきめ細かい支援策を講じていきます。また、応急仮設住宅以外の居住者をも含めた被災者への対応として、当分の間、市営住宅の募集に際して、被災者優先枠の設定を行っていきます。

きめ細かい相談・情報提供

被災者のニーズに臨機応変に対応できるように、引き続き、相談・情報提供に努めます。応急仮設住宅居住者に対しては、新たに設置する入居促進センターにおいて個別あっせん、情報提供等を行うとともに、公営住宅バス見学会の開催、ふれあいセンターでの説明会の開催や個別訪問による申込み指導などにより、きめ細やかな支援に取り組んでいきます。

恒久住宅移行後の生活支援

住み替え後の自立支援

「元気アップ神戸」等の市民運動とも連携して、恒久住宅転居後の被災者に対する生活支援策を引き続き展開し、入居者と地域との交流や入居予定者の事前交流の支援、被災中高年恒久住宅自立支援制度等による支援金の支給など、きめ細やかな支援に努めます。
また、コミュニティ活動の基盤が整備されていない新築の大規模団地においては、生活復興相談員による設備機器・施設の説明や生活相談、巡回連絡員の集会所常駐による入居時のトラブルへの対応など、入居者が新しい環境に早期に慣れることができるように、円滑な生活再建への支援を行います。

地域見守り

相当数の高齢者世帯等の恒久住宅への転居が進んでいる状況をふまえ、恒久住宅入居者が地域で安心して自立した生活を営むことができるように、新たなコミュニティの形成を支援します。また、ボランティア活動とも連携したネットワークづくりなど地域見守り活動を展開します。

生活援助員等の派遣
  1. 生活援助員
    シルバーハウジングにおいては、生活援助員を配置し、入居者の安否確認・生活相談・緊急対応等のほか、コミュニティづくりや地域とのつながりに重点を置いた活動を行います。また、調理困難世帯に対し、生活支援型の配食サービスを行います。
  2. 高齢世帯支援員
    シルバーハウジング以外の新築の災害公営住宅や再開発系住宅に入居する、見守りを要する単身高齢者世帯等に対し、地域コミュニティが形成されるまでの間、高齢世帯支援員を派遣し、コミュニティづくりの支援、入居者間の相互交流とともに、閉じこもり防止や安否確認等を行います。
  3. シルバーフレンド
    恒久住宅に転居した被災高齢者が孤独感を抱かずにいきがいを持って生活できるように、シルバーフレンドの個別訪問による元気付け及び交流事業を実施します。
保健婦等による巡回健康相談

災害公営住宅等の入居者を対象とした巡回健康相談を実施し、更に指導を要する者に保健婦が継続的に訪問指導を行うほか、必要に応じて医療や福祉の関係機関と連携し、入居者の健康確保を支援します。

自力再建支援によるすまいの復興

融資・利子補給等による再建支援

被災者による住宅の建替・購入・補修等を引き続き支援するため、神戸市災害復興住宅特別融資等の低利融資を行うほか、阪神・淡路大震災復興基金による被災者住宅購入支援事業補助・被災者住宅再建支援事業補助等の利子補給など、各種支援事業を推進します。また、不動産処分型特別融資や定期借地権付き再建分譲住宅事業等の新たな発想・手法による支援策についても、きめ細かい相談・情報提供などを通じて、積極的な活用を図っていきます。

共同建替、マンション再建等の支援

「こうべすまい・まちづくり人材センター」による専門家の派遣、優良建築物等整備事業、住宅市街地整備総合支援事業、小規模共同建替等事業補助等による設計費や共同施設整備費の補助、阪神・淡路大震災復興基金の利子補給制度等を積極的に活用し、共同・協調建替による住宅の再建やマンション再建を引き続き支援します。

住宅再建ヘルパー等によるきめ細やかな支援

「こうべすまい・まちづくり人材センター」による建築物共同化計画、まちづくり計画等への専門家の派遣を引き続き進めるとともに、民間住宅の自力再建が遅れている市街地西部での再建支援の拠点として、新長田地区に「住宅再建相談所」を設置します。また、各地のまちづくり協議会等と連携し、「住宅再建相談所」を拠点とする「住宅再建ヘルパー」の派遣を積極的に進め、単なる相談会等でのアドバイスだけでは、住宅の再建が困難な被災者に対して、「住宅再建ヘルパー」を派遣し積極的に再建支援を行います。

(2)福祉等との連携

福祉施策と連携した住宅の供給

シルバーハウジング等の供給

生活援助員の常駐・巡回や緊急通報装置をはじめとする高齢者の身体特性に配慮した設備・仕様により、高齢者が安心・安全に生活できるシルバーハウジングを供給します。シルバーハウジング以外の市営住宅についても、住戸内の段差解消、浴室・便所・共用階段への手すり設置など、バリアフリー化に配慮した整備を進めていきます。

保健福祉施設と併せた住宅の供給

市民福祉の総合的推進を図り、高齢者介護支援センター、特別養護老人ホーム等の整備に併せた住宅の供給を進めていきます。また、一般住戸での自立生活が困難な痴呆性の高齢者を対象とするグループホーム型住宅を高齢者福祉施設との合築により整備し、各種の在宅サービスと専門的ケアを提供することにより、痴呆性高齢者の地域での自立生活を支援します。

住宅再建ヘルパー等によるきめ細やかな支援

「こうべすまい・まちづくり人材センター」による建築物共同化計画、まちづくり計画等への専門家の派遣を引き続き進めるとともに、民間住宅の自力再建が遅れている市街地西部での再建支援の拠点として、新長田地区に「住宅再建相談所」を設置します。また、各地のまちづくり協議会等と連携し、「住宅再建相談所」を拠点とする「住宅再建ヘルパー」の派遣を積極的に進め、単なる相談会等でのアドバイスだけでは、住宅の再建が困難な被災者に対して、「住宅再建ヘルパー」を派遣し積極的に再建支援を行います。

社会的弱者に配慮した住宅の供給

市営住宅の一般募集については、今後、被災者の住宅確保の状況をみながら、順次拡大していくとともに、高齢者世帯、心身障害者世帯、母子世帯といった社会的弱者の居住の安定を図るため、これらの世帯を対象とする特定目的住宅の募集を行っていきます。

良好なコミュニティの形成

安全で安心なコミュニティの形成

地域の特性を生かした地域住環境像の実現を図るためのすまい・まちづくり活動が、防災福祉コミュニティの形成等の地域活動と相まって、防災や防犯など地域の課題に対応できるように、住民の主体的なすまい・まちづくり活動を支援します。
「まちかど広場」などのオープンスペースの確保、新市街地における「まちかど施設」の展開等により、まちのアメニティ増進を図るとともに、市営住宅集会所の地域開放型の運営を推進し、地域活動を支援します。
さらに、すまいを中心に歩ける範囲に福祉・文化・商業などの都市機能を配置し、良好なコミュニティの中で誰もがいきいきと快適に生活できるまち「コンパクトシティ」のあり方を検討します。

バランスのとれたコミュニティ形成

様々な年齢、家族構成の人々が住むことにより、地域においてバランスのとれた人口定着がなされるような住宅・住環境整備を推進します。
また、市営住宅の募集に際しては、コミュニティ優先枠の設定により義務教育就学児童・生徒のいる世帯の優先を図るとともに、新婚世帯向け募集の再開を検討するなど、コミュニティ・バランスに配慮します。

子育て世帯が安心して子どもを産み、育てられるすまい・まちづくり

家庭・地域社会の生活形態が変化していく中で、子どもが安全で健やかに成長することができるように、子どもの成長に適したすまい・まちづくりを推進します。特定優良賃貸住宅などの良好なファミリー向け住宅ストックの有効活用を図るとともに、子どもが安心して遊べる住環境づくりを進めます。

超高齢社会における多様な居住スタイルに対応したすまいづくり

協同居住のすまいづくりの支援

高齢化の進行等に伴う居住形態の多様化に対応したすまいづくりに努め、地縁や血縁を超えた「知縁」による協同居住のすまいづくりを支援し、グループホーム、コレクティブハウジング等の整備を推進します。

親子世帯の同居・隣居・近居等の支援

高齢者が住み慣れた住宅で快適に暮らすことができるように、また、家族とともに安心して生活できるように、住宅改修や同居・隣居・近居のための住宅取得に対する支援を行います。

(3)地域特性をふまえたすまい・まちづくりの総合的展開

人にやさしい安全で安心な住宅ストックの形成

バリアフリー化住宅の推進

人にやさしい安全で安心な住宅ストックを形成し、日常生活の安全性と快適性を考慮したバリアフリー住宅の普及を図るため、公的住宅において「神戸の住宅設計基準」(KObe Housig DEsign Standard:略称KOHDES)に基づく整備を先導的に行うとともに、民間住宅に対する認定制度の導入を検討するなど、コーデスの普及を図ります。

住みつづけたいすまいづくりへの支援

生活機能の低下にかかわらず、住み慣れた地域での在宅生活が可能であるように、既存住宅ストックにおいても日常生活の安全性・快適性へ配慮したすまいづくりを推進し、住宅改造を支援します。(3)地域特性をふまえたすまい・まちづくりの総合的展開

地域住環境像の確立と実現に向けての取り組み

街区を基本とした地域住環境像の確立と実現に向けての取り組み

市民の主体的なかかわりのもとに、地域の特性を把握し、地域ごとにすまい・まちづくりのめざすべき方向を検討して、地域住環境像の確立に取り組んでいきます。地域住環境像の確立・実現にあたっては、地域を1つ1つの街区の集合体としてとらえ、街区をすまい・まちづくりの基本的な単位とする取り組みを展開します。街区内の住民が街区の将来像を共有し、その実現に向けてすまい・まちづくり活動に取り組んでいけるシステムの構築を図るとともに、地域特性を活かした建築規制・誘導手法の検討など、新たな枠組みについて検討していきます。

住環境整備と建築規制誘導の総合的展開

住環境整備事業手法と規制誘導手法を2つの柱としてすまい・まちづくりを推進し、それぞれの地域の課題・方向に応じて、適切かつ効果的な手法を適用していきます。特色のある典型的な街区においてモデル的な取り組みを実施し、地域特性をふまえたすまい・まちづくりの展開を図ります。また、建築相談員制度の充実等による、専門家による地域のすまい・まちづくり活動の支援についても検討します。

住環境整備の総合的展開

下町地域における展開

震災の被害が木造老朽住宅等の密集する市街地において甚大であったという教訓をふまえ、下町地域を対象に、まちづくり協議会等と連携しながら、安全で安心なすまい・まちづくりを推進します。整備にあたっては、住宅市街地整備総合支援事業、密集住宅市街地整備促進事業、土地区画整理事業等の面的事業、基金等を活用した補助制度及び建築規制の弾力的運用を複合的に活用し、地域ごとの課題にあわせた展開を図ります。
また、事業の進捗に伴い、必要に応じて、従前居住者向け住宅を借上方式等により供給します。

  • (1)街区共同再建事業の推進
    道路が狭く木造老朽住宅等の密集する長屋街区等において、住宅の再建と生活道路の整備を一体的に進めるすまい・まちづくりを引き続き支援します。住宅再建については、共同・協調建替等による効果的な再建を進めるとともに、街区単位での新しい街並みの形成をめざします。また、住宅再建にあわせて、建物後退方式、用地買収方式、土地区画整理事業方式など、街区の特性をふまえた方式により生活道路の整備を行います。あわせて、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」に基づく建替促進、土地の交換分合等の手法や、建築規制・誘導手法の活用を図ります。
    <事業実施地区>神前地区、西出・東出・東川崎地区、湊川町東部地区、長田東部地区、野田北部地区 等
  • (2)建築規制の弾力的運用による街区整備の推進
    密集住宅市街地のうち、生活道路の配置が合理的でないなどの理由で住宅再建が困難な街区において、建築規制誘導手法の活用を中心とするすまい・まちづくり支援に着手します。
    街区整備の推進にあたっては、街区内の住民等が建替のルールを定めた場合には、建ぺい率や容積率、高さの制限、道路に関する規制等の緩和を行うなど、地域の特性にあわせた建築規制の弾力的運用を図ります。
    <事業実施地区>駒ケ林地区、尻池北部地区 等
  • (3)関連事業と連携した住環境整備の推進
    密集住宅市街地のうち、広幅員道路等の都市基盤整備と生活道路整備を一体的に進めることが効果的な地区については、土地区画整理事業に合わせた共同・協調建替など良好なすまい・まちづくりを引き続き支援します。
    また、まちづくりスポット創生事業、元気アップ花壇事業などを活用した空地の暫定的利用を図り、地域のまちづくり協議会等が主体となるコミュニティ形成やうるおいのある防災空間づくりを支援していきます。
拠点地区における展開

六甲道駅南地区及び新長田駅南地区では、まちづくり協議会等と連携しながら市街地再開発事業、住宅市街地整備総合支援事業等による拠点整備を引き続き実施します。道路、公園の整備とあわせ、良質な分譲住宅、従前居住者向けの賃貸住宅等、多様な住宅の整備を複合的に進めます。
東部新都心地区では、土地区画整理事業、住宅市街地整備総合支援事業等による拠点整備を引き続き実施し、その民間住宅ゾーンにおいては、ウォーターフロントの立地を活かした高品質の都心型住宅の供給促進を図ります。
また、JR鷹取工場跡地では、土地区画整理事業、住宅市街地整備総合支援事業等を活用しながら、道路、公園の整備と良質の住宅供給を引き続き推進します。

山麓市街地、ニュータウン等における展開

良好な住環境を有する東部山麓市街地、職住近接の住宅供給による人口回復・地域活性化をめざすべき都心周辺等市街地、更新期を迎える郊外ニュータウン等、様々な地域特性を有する市街地について、各々の特性をふまえ、望ましい地域住環境像に向けたきめ細かな建築規制の運用のあり方を検討しつつ、モデル地区での展開にも着手します。

すまい・まちづくり活動の展開と関係機関との連携

住民等によるすまい・まちづくり活動の支援

まちづくり協議会、地域住民、専門家等との協働により、まちづくり協定・地区計画等に基づく施策を総合的に展開します。住民参加によるすまい・まちづくりの推進にあたっては、まちづくり協議会への活動費助成を実施するとともに、まちづくりや共同・協調建替等に関する技術的援助を行うため、こうべすまい・まちづくり人材センターによる専門家派遣を実施します。
また、地域特性をふまえたきめ細かな建築規制の運用に努めるとともに、違反建築物を生じない取り組みとして、まちづくり協議会と市による共同啓発活動や重点パトロールを実施するなど、協働により健全で快適なすまい・まちづくりの効果的な推進を図ります。

公社・公団・公庫の活用

共同・協調建替やマンション再建の支援を推進するため、すまい・まちづくりについての優れたノウハウ、信頼性等を有する住宅・都市整備公団及び住宅供給公社に対し、引き続き積極的な事業展開を要請します。また、住宅金融公庫に対しては、地域特性に応じた公庫融資制度の充実を要請し、その積極的活用を図ります。

(4)増大するストックの有効活用・適正なマネジメント

公的住宅のストック活用

市営住宅マネジメント計画の策定

増大する市営住宅ストックの現況を把握し、住宅ストックのライフサイクル等、属性に応じた適正な管理、再生・再編を計画的に進めていくため、「市営住宅マネジメント計画」を策定し、市営住宅の修繕・建替・有効活用等の方針の検討を行います。

ストックの適正管理と計画的な更新

市営住宅ストックを、長期にわたり、良好な状態で保持し、居住水準の向上を図っていくために、計画的な修繕及び更新を行っていきます。環境への負荷や大規模団地をとりまく周辺のまちづくりにも考慮しつつ、適切な管理、再生・再編を図り、大池団地等での「大規模建替モデル事業」にも取り組んでいきます。また、市営住宅が市民すべての貴重な財産であることをふまえ、市営住宅事業費に特別会計を導入し、経費の明確化、情報の開示を図ります。収支を透明にし、管理戸数の増大にかかわらず経済的・効果的な管理に努めます。

民間住宅ストックの適切な維持管理への支援

住宅の適切な維持管理・リフォームの推進

民間においても、住宅ストックが、良好な状態で保持され、市場での円滑な流通を通じて、居住水準の向上が図られるように、メンテナンスについての啓発や計画的な修繕、リフォーム等に対する支援策について、検討していきます。

耐震化の促進

建築物の地震に対する安全性の向上を図り、耐震診断の実施に対する助成、相談会の開催、建築相談員制度の充実等を行うとともに、耐震改修促進法による建築物の改修認定を積極的に推進します。
また、家具の転倒防止など災害時を含めた家庭内事故の防止策の普及に努めます。

区分所有マンションにおける適切な維持管理

区分所有マンションにおいて日頃からの管理組合運営の重要性や建替の困難さが改めて認識された震災の教訓を生かし、既存のストックを将来的にもできるだけ良好な状態で活用していくため、引き続き、セミナーの開催等を通じてマンションの適正な管理についての啓発に努めるとともに、良好な管理状況のマンションに対する認定やマンション管理に係る相談の充実、老朽マンション改修に対する支援等について研究します。

人・環境にやさしい良好な住宅ストックの形成

良好なすまいづくりの普及・啓発

生活者にやさしいバリアフリー住宅、安全で安心な建材による健康住宅、安全で安心なまちづくりに寄与する不燃性・耐震性の高い住宅、省エネルギー等により環境への負荷を低減する環境共生住宅、限りある資源を有効に活用する高耐久性住宅など、新しいすまいやすまい方の普及・啓発に努め、良好な住宅ストックの形成を図ります。

消費者保護と住宅性能の保証

すまい手が賢い消費者としてすまいづくりを進められるように、住宅・土地の購入や工事契約に関する基礎知識等の啓発に努めます。
また、住宅の性能に関する情報格差の是正、中古住宅等に関する評価の適正化等により、消費者保護を図り、住宅市場の条件整備を推進するため、住宅性能表示・保証制度について研究していきます。

日常的なすまい・まちづくり活動の展開

情報提供・相談体制の充実

公的住宅の情報提供に努めるとともに、新築住宅のみならず、既存の住宅についてもストックとしての質的向上を図るため、耐震診断・改修やリフォームに関する市民相談を行います。また、公民の各種住情報の提供やすまい・まちづくりに関する様々な相談やコンサルティング、セミナーの場となりうる総合的な情報拠点の設置を検討していきます。

(5)都市活力・魅力の創造

活力を生み出す人口回復策

住宅需要の的確な把握

居住する住宅・住環境に対する不満や住宅に関する評価・意向・需要といった主観的な項目を把握する住宅需要実態調査を行うとともに、民間住宅市場についても、関係各方面からの情報収集や動向の把握に努め、情報提供・相談体制の充実とあわせて、市民の適切な住宅の選択を支援します。

まちの活力の担い手への定着支援

震災の影響で減少した、若年層をはじめ、まちの活力を創造する世代の定着を図るため、良質な住宅を大量に供給している神戸のすまい・まちづくりの情報を全国に発信します。特定優良賃貸住宅をはじめとする良好なストックの有効活用を促進するとともに、若年世帯等を対象とする持家や借家の住居費負担軽減策を検討し、まちの活力増進を図ります。
また、スケルトン定借方式など新しい手法による住宅供給についても、いきいき下町推進協議会等と連携して研究するなど、低廉で良質な住宅の供給、今後のライフスタイルを先取りする魅力ある住宅の供給に関する研究にも取り組んでいきます。

良好な住宅地の形成

神戸らしい良好な住宅地の形成

既成市街地において、面的整備やまちづくり活動と連携した住宅整備を進めるとともに、新市街地等においては、計画的・先導的なすまい・まちづくりを進め、良好な住宅地の形成を図ります。
また、建築協定やまちづくり協定の活用、集合住宅のデザインの誘導などを通じて、地域の個性を生かしたまちなみの形成を図るとともに、生垣やベランダの緑化推進等により、うるおいのある住宅地景観の形成に努めます。

建築文化の振興

優れたすまい・いえなみに対し、建築文化賞の表彰などの奨励・顕彰を行い、神戸の恵まれた自然環境や立地条件等の個性を活かした市民に親しまれる優れた建築物による、新しい神戸の魅力・建築文化の創出を図ります。

多様な手法による住宅供給

「所有」よりも「利用」に重点を置いた住宅供給の検討・普及

土地の所有よりも利用に重点を置き、低廉で良質な住宅の供給を可能にする方策として、定期借地権による住宅供給を支援し、「定借バンク」の活用を図るとともに、スケルトン定借方式によるマンション分譲などの普及方策等について検討します。

居住者自らが参画する住宅整備の促進

居住者自らが、すまいづくりやすまい方に積極的に参画する住宅(コーポラティブ住宅、コレクティブ住宅等)の建設を支援し、良好なコミュニティを持つ住宅整備を促進します。また、市民が主体となり、民間の資金・ノウハウを活用して進められるすまい・まちづくりの支援に努めます。

6.施策展開にあたって

  1. 協働のすまい・まちづくりの推進に努め、市民・事業者との連携・協力のもと、きめ細かい施策の展開を図ります。また、専門家等のボランティア、NPO等との連携も視野に入れ、新しい形態の協働にも取り組んでいきます。
  2. 住宅市場全般を視野に入れ、民間活力を積極的に導入し、民間の市場機能を活用した施策の展開を図ります。住宅市場の誘導にあたっては、融資制度の見直しも検討するなど、施策の実効性の確保を図るとともに、きめ細かい相談・情報提供などを通じた市場の条件整備に取り組んでいきます。
  3. 市民のニーズに応え、保健福祉、都市計画をはじめとする他の様々な行政分野や区のまちづくりともよく連携して、施策の総合的展開を図ります。
  4. 公社・公団・公庫等の関係機関との連携を充分に行い、公的セクターの総力を結集して、施策の総合的展開を図ります。
  5. 国に対しては、必要に応じて、さらなる支援を要請するとともに、地域の自発性と創意を活かした施策の展開を図ります。また、被災都市としての経験を活かし、情報発信に努めます。

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